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2020年12月27日 (日)

誂え服は “bespoke” か?

近年,「ビスポーク」(bespoke)という言葉を聞くようになりました。私の理解としては,「完全誂えの」の意味の形容詞で,特注スーツを,“bespoke suits” として使われます。因みに 注文服 order madeは和製英語で,英語では made-to-measure(MTM)” ,“made-to-order”, “custom-order” などです。
これらの言葉と “bespoke”  との違いは?

bespoke” の正しい意味と歴史を知るため Wikipediabespokeを読んでみました。

下記,拙訳・転載します。

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Bespoke
ビスポーク

bespoke”(/ bəˈspoʊk /)という言葉は,「何かを話す」(to speak for something)という意味の動詞から,最初のテーラーメードのスーツや靴の説明から,後に特定の仕様に委託されたものすべてを表す形容詞としての現代的な使用法に進化した( 個々の購入者の習慣,好み,または使用法に合わせて変更または調整されたもの),最近では,独占性と限定された実行を意味する一般的なマーケティングおよびブランディングの概念に合わせて変更されている。

Origin
起源

Bespoke”は,「何かのために話す」(speak for something)という意味の動詞 “bespeak” から派生している。動詞形式の特定の意味は,1583年から最初に引用され,オックスフォード英語辞典に記載されている:「話す,手配する,事前に関与する:「注文する」(商品)」。形容詞 "bespoken" は,「注文(ordered),委託(commissioned),手配(arranged for)」を意味し,1607年に,最初に引用された。

コリンズ(Collins)英語辞典によると,この言葉は2008年の一般的なイギリス英語だった。アメリカ英語は,カスタム・カーやカスタム・バイクのように,代わりにカスタムという言葉を使用する傾向があった。それにもかかわらず,“bespoke” は21世紀になってアメリカ英語での使用が増加した。

History
歴史

bespoke” という言葉は,オーダーメイドのスーツ(tailor-made suits)との「何世紀にもわたる関係」(centuries-old relationship)で最もよく知られているが,オックスフォード英語辞典は,1800年代半ばの靴作りにもこの言葉を結び付けている。
現在は形容詞として使われているが,もともとは “bespeak” の過去分詞として使われていた。

コリンズ英語辞典のスポークスパーソンによると,「後に話し合うこと」を意味するようになり,次に「事前に話し合ったもの」を説明する形容詞になり,これが,“tailor-made” のアパレルと関連付けられるようになった理由である。この言葉は,1755年に女優シャーロット・シャルク(Charlotte Charke)の自伝である「シャーロット・シャルク夫人の生涯の物語」(A Narrative of the Life of Mrs Charlotte Charke)で形容詞として使用され,「ボークスのストラタゲム」(The Beaux' Stratagem)を "a bespoke play" と呼んでいる。その後,この形容詞は一般的に男性のテーラーメードのスーツ(tailor-made suits)に関連付けられた。

19世紀頃まで,ほとんどの衣料品は,プロの仕立て屋(professional tailors)や洋裁師(dressmakers)によって作られたものであれ,自宅で作られたものであれ,“made to measure” または “bespoke” で作られていた。同じことが他の多くの種類の商品にも当てはまる。工業化された既製服の出現により,“bespoke” は市場の最上級品(the top end)に大きく制限されるようになり,少なくとも先進国では通常,かなり高価になっている。

その後のある時点で,正確な時期は不明だが,“bespoke” という言葉は,仕立て“tailoring” 以上のものに適用されるようになった。
ニューヨークのファッション工科大学 “the Fashion Institute of Technology” のマーク-エヴァン・ブラックマン(Mark-Evan Blackman)は,2012年にウォール・ストリート・ジャーナルに,「“bespoke” の急増(proliferation)は,約10年前にカスタム・スーツに夢中になっている(enamored)若いハリウッド関係者(Hollywood types)に関係している可能性がある」と語った。ウォール・ストリート・ジャーナルの記事によると,「言語の純粋主義者」(language purists)は満足していなかったが,スーツ・メーカーはその言葉が「ろくでもない」(bastardized)だったと述べた。

Contemporary usage
現在の用法

1990年,アメリカの作家ウィリアム・サファイア(William Safire)は,ニューヨーク・タイムズの記事で,「カスタム(custom),イギリスの使用法の猛吹雪(blizzard)の中で,我々のファッション用語から消えていく言葉」がどうなったかについて質問した。言葉遊びの中で,彼はその言葉のスノッブの魅力について次のように書いている:「適切に最新流行を追いかけるために,オーダーメイドの仕立て(bespoke tailoring)について私に話してください(bespeak)。」
GQGentlemen's Quarterly)誌は,この言葉は「『人気が高まっている』,つまり『既製服の反対』(the opposite of off-the-rack)を意味する」と書いている。その現代的な使用法では,独占性を意味し,マーケティングとブランディングの補助として使用される。2014年のインディア・トゥデイの記事では,マーケターが受け入れる必要のある新たなブランディング・トレンドとして “bespoke”について説明した。

2001年の "bespoke and software" のグーグル検索は50,000ヒットあったが,その多くは英国や米国ではなかった。ニューヨーク・タイムズは、「グローバルなコミュニケーション・ブーム」が「英語の語彙の上位集合(superset)」に貢献したと述べたとインドのテクニカル・ディレクターを引用した。 別のビジネス・ライターは,インドのソフトウェア会社はクライアントに応じて言語を適応させることに慣れているため,“bespoke software” と “custom software” を切り替えることは,リフトとエレベーター,または “queue” と “line” を切り替えることと同等であると説明した。

2008年までに,この用語は,スーツ,シャツ,靴よりも,ソフトウェア,データベース,およびコンピューター・アプリケーションを表すために使用されることが多くなった。

BBC News Magazineは,2008年に,この言葉がWebサイト,スーツ,靴以外のもの(車や家具など)を表すためにますます使用されるようになったと書いている。 単語の使用例は次のとおり

bespoke medicine (個々の患者により適した治療への動き)
bespoke portfolio (投資ツール)
bespoke shoes (お客様の仕様に合わせて作られた靴)
bespoke software (顧客の特定の要件に合わせて作成されたソフトウェア)
bespoke tailoring (顧客の個々の測定に合わせて作られた服)

ジョージタウン大学の言語学教授であるデボラ・タネン(Deborah Tannen)は,ニューヨーク・タイムズに「アメリカ人はそれをイギリスの上流階級と関連付けている」と語り,アメリカ人の言葉は「私たちの個人主義を利用したと付け加えた。私たちはすべてを私たちのために特別なものにしたいと思っている,サラダバーに関しても。」2012年の時点で,米国特許商標庁で “bespoke” の用語を使用した39件の出願があり,そのうちの半分は過去18ヶ月間にのみ出願されている。ウォール・ストリート・ジャーナルは,その数年前にこの用語が企業や投資家の間で広まり始めたと述べた。
The Independent” 紙のライターは,消費者はもはや「ジョーンズに追いつく」ことを望んでいないが,“bespoke” への動きは反伝統であり,他の人と集合的に識別するのではなく,自分たちを際立たせたいと思っていると述べた。

ニューズウィークはこの言葉を「ひどく(monstrously)歪められ,虐待され,さもなければほとんど無意味に壊された(mangled)」と説明し,今では何でも "bespoke" とラベル付けできると述べた。

同じニューズウィークのライターは,カスタム・メイドの眼鏡の注文を説明する動詞としてこの単語を使用した「眼鏡を話す」("bespeaking a pair of spectacles")。あるフランスの “bespoke” のシャツメーカーは,ベンダーと顧客の関係とカスタム・メイドのアイテムへの欲求を満たすために,400の色合い(shades)の白を提供すると言われていた。

ニューヨーク・タイムズは,“bespoke” のカクテルに記事を捧げ,「顧客の正確な,時には独特の仕様に合わせてその場で考案されたもの」と説明した。別の記事で,ニューヨーク・タイムズは,“bespoke” の香水が「パーソナライズの世界をまったく新しいレベルに引き上げる」と説明した。

2016年のニューヨーク・タイムズの記事では,“bespoke” の水と観察された風刺的な(satirical)ビデオについて説明している。

「このBワードは,インテリアデザイン会社,出版社,外科医,ポルノグラファーによって採用され,ますます一般的なブランディング・ルアーになった。“bespoke wines, bespoke software, bespoke vacations, bespoke barber shops”, “bespoke insurance plans”, “bespoke yoga”, “bespoke tattoosbespoke medical implantsさえある。」

UK tailoring controversy
英国の仕立て論争

英国サヴィル・ロウ・ビスポーク協会(Savile Row Bespoke Association)には,bespokeという用語を使用するための衣服の要件があるが,一部のメーカーはこれらの要件に準拠してない。

2008年、英国広告基準局(the British Advertising Standards Agency)は,Sartorianiという会社がスーツを説明するために bespokeという言葉を使用することを許可し,その用語を使用してカスタムの手作り(hand-made)スーツを説明したサヴィル・ロウの仕立て屋(tailors)と論争を引き起こした。

(転載了)

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bespoke” という言葉が 確固とした地位を得たのは 21世紀になってからのようです。しかし,英語社会においては 氾濫して制御が効かないようになっている感があります。

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