米国大統領は連邦刑務所の囚人数に影響を及ぼす。
‘Pew Research Center’ の ‘FACTTANK’,2021/2/17付けで “Under Trump, the federal prison population continued its recent decline” (トランプの下で,連邦刑務所の受刑者数は最近の減少が続いた)と題する調査報告がありました。大統領の施策が連邦刑務所の収容人数に影響を及ぼすのかと 読んでみました。
下記,拙訳・転載します。
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バラク・オバマ大統領の下で数十年ぶりに減少した連邦刑務所の受刑者数は,ドナルド・トランプ大統領の政権の間にさらに減少した。トランプ大統領の就任1年目である2017年から,司法統計局(the Bureau of Justice Statistics)から入手できる最新の年である2019年末までの間に,1年以上の禁固刑を宣告された連邦囚人の数は5%(または7,607人)減少した。2020年の暫定値は,トランプの最後の1年間の在職期間中,減少が続き,さらに加速したことを示している。つまり,最終データが有効になると,在職中の受刑者の全体的の削減は5%を超える可能性がある。2020年の囚人の減少の一部は,コロナウイルスのパンデミックに対応した政策変更に起因している可能性がある。
オバマは刑事司法問題(criminal justice issues)を彼の大統領職の焦点とし,ジミー・カーター以来,就任したときよりも少ない囚人となってホワイトハウスを去った最初の大統領になった。とりわけ,彼は司法省(Justice Department)の主導権(initiative)を監督した。司法省の主導権は,低レベルの犯罪で有罪判決を受けた人々に対するより軽い判決を際立たせ(emphasized),現代のどの大統領よりも頻繁に行政権を使用した。オバマ大統領の在任中,囚人の数は10%(または14,988人)減少した。これは,記録上,大統領として絶対数で最大の減少である。
いくつかの点で,トランプはオバマが就任したときとは著しく異なるアプローチを取った。トランプの司法省は,一部の犯罪容疑者に軽い刑を求めるというオバマ時代の方針をすぐに覆し,彼は他のほとんどすべての現代大統領よりもはるかに少ない恩赦(clemency)しか認めなかった。同時に,トランプは,連邦刑務所の収容者数を減らすことを目的の一部とした刑事司法政策の大幅な見直しであるファースト・ステップ法に署名した。米国量刑委員会(Sentencing Commission)からの2020年の報告によると,その最初の年に,法律は数千人の連邦犯罪者の量刑を短くし,他の多くの人の釈放を早めた。
大統領の政策は,連邦刑務所の収容人数に影響を与える可能性のある多くの要因の1つにすぎないことに注意することが重要である。犯罪率(crime rates),法執行慣行(law enforcement practices),司法判決パターンはすべて,その役割を果たす。たとえば,犯罪率は1980年代から1990年代初頭にかけて急激に上昇したが,それ以降は劇的に低下している。また,米国の鉄格子の後ろにいる人々の大多数は,連邦制度ではなく,州および地方の矯正施設に収容されていることを覚えておくことが重要である。司法統計局(the Bureau of Justice Statistics)によると,2019年末の時点で,連邦制度は1年以上の懲役を宣告された全米国の受刑者(inmates)の11%を拘束していた。
それでも,大統領は連邦刑事司法政策(federal criminal justice policies)の設定を支援することができ,それらの政策は刑務所の収容人数に影響を与える可能性がある。ロナルド・レーガンは,連邦刑務所システムの仮釈放(parole)を排除するものを含む,連邦刑事罰を増加させるいくつかの措置に署名した。レーガンの8年間の在職中に,有罪判決を受けた連邦受刑者の数は78%(16,539人の囚人)増加した。これは,記録上のどの政権に比べても最大の増加率である。絶対数では,連邦囚人の最大の増加はビル・クリントン政権下で発生した。刑務所への資金提供を増やし,10万人の追加警察官を承認する主要な犯罪法案に署名したクリントンの下で,有罪判決を受けた受刑者の数は38,769人(または56%)増加した(ただし,法律の規定の多くは,連邦制度ではなく,州の矯正システムに焦点を当てていた)。現在のジョー・バイデン大統領は当時,上院司法委員会(the Senate Judiciary Committee)の委員長であり,クリントンが1994年に署名した法律の作成を支援した。
ジミー・カーターは,わずか4年間の任期にもかかわらず,記録上の大統領の中で最大の連邦囚人の減少率(-34%)を統括した(presided)。
(転載了)
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米国大統領の力,影響力の大きさを改めて認識しました。
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