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2021年3月10日 (水)

世界の国の労働時間の比較,先進国は労働時間が短い。

オックスフォード大学が運営する国際統計情報サイト ‘Our World in Data’ に “Do workers in richer countries work longer hours?” (より豊かな国の労働者は より長い時間働くのか?)(December 21, 2020付け)のタイトルの調査報告がありました。興味深いデータが公開されています。

下記,拙訳・転載します。

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Summary
概要

豊かな国の労働者は,貧しい国の労働者よりも労働時間が短い傾向がある。これは,より豊かな国では,労働者は同じ労働時間でより多くの生産を行うことができ,それがより高い収入とより少ない労働につながるためである。国ごとの労働時間の大きな違いは,過去2世紀の経済発展と,今日の国間の不平等の性質についての我々の考え方に重要な影響を及ぼす。

今日,我々の世界のさまざまな場所での経済的繁栄は非常に(vastly)不平等である。世界で最も裕福な国の1つであるスイスの人々の平均所得は,カンボジアの人々の20倍以上である。 これら2つの国での生活は,まったく(starkly)異なって見える可能性がある。

このような繁栄の違いを考えるとき,当然の質問は,スイスのような豊かな国の人々とカンボジアのような貧しい国のどちらがより多く働くのかということである。

入手可能なデータを見ると,答えは明らかである:貧しい国の労働者は,実際 より多く,時にはもっと多く働く傾向がある。

こちらのグラフでは,横軸に1人当たりGDPGDP per capita),縦軸に労働者1人あたりの年間労働時間が示されている。

カンボジア(左上隅の国)やミャンマーのような国では,一人当たりのGDPは最低だが,労働時間は最高である。カンボジアでは,平均的な労働者は年2,456時間 働いており,グラフの右下にあるスイス(1,590時間)よりも900時間近く長い。カンボジアの労働者にとってより多い900時間は,より長い労働日とはるかに少ない休日を意味する。

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Working hours tend to decrease as countries become richer
国が豊かになるにつれて労働時間は減少する傾向がある 

国民所得と平均労働時間の間には,特定の時点での世界全体の国だけでなく(上のグラフに示されているように),時間の経過に伴う個々の国に関連がある。産業革命以来,多くの国の人々はより豊かになり,労働時間は過去150年間で劇的に減少した。

ここのグラフでは,国ごとに,所得と労働時間の関係を時系列で示している。これは上記と同じチャートだが,現在,国の単一のデータポイントが線になっており、1950年から今日までの時間の経過に伴う観測を接続している。たとえば,ドイツは1人当たりGDP10倍以上(4,644ドルから47,556ドル)増加したため右端に移動し,労働時間が半分近く減少したため(毎年2,427時間から1,354時間)最下部に移動した。

これは理にかなっている:人々の収入が増えるにつれて,余暇の増加や仕事に費やす時間の短縮など,楽しむものをより多く購入できるようになる。

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People are able to work less when they work in more productive economies
人々は,より生産的な経済下で働くとき,人々はより少ない働きでよい

国民所得の増加と労働時間の減少の主な推進力は,生産性の向上である。生産性とは,入力が出力に変わる率(rate)を指す。労働時間を理解するための重要な指標は,労働生産性:つまり1時間の労働に対する経済的利益である。

最も具体的なレベルでは,労働生産性は,パン屋が1時間に焼くパンの数や,工場労働者が1時間に組み立てる車の数などを記録する(captures)。最も包括的なレベルでは,経済の総生産量(GDP)を総労働投入量(年間総労働時間)に関連付け,労働生産性,つまり1時間あたりのGDPの総計を示す。

横軸に労働生産性,縦軸に年間労働時間を示したグラフに示すように,労働生産性が高いほど労働時間は短くなる。グラフには現在,利用可能な最新の年のデータが表示されている。

ドイツやスイスのように,前に指摘した労働時間の短い同じ豊かな国では,労働生産性が非常に高く,どちらも1時間あたり70ドル近くになる。労働者が1時間の労働でより多くを生産できれば,労働者はより少ない働きが可能になる。

これは必ずしも実際に仕事が少ないことを意味するわけではないが,たとえば,米国とシンガポールの労働者は,同様の生産性を持つ国の労働者よりもはるかに多くの時間を労働している。

対照的に,このグラフの左上にある国では労働生産性がはるかに低く,たとえばカンボジアは1時間あたりわずか2ドルであるため,そこで働く労働者はそれを補うためにさらに多くの時間を費やす必要がある。

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At the heart of the link between productivity, incomes, and working hours is technological innovation
生産性,収入,労働時間の間のリンクの中心にあるのは技術革新である

物理的な機械だけでなく,アイデア,知識,プロセスを含むようにここで広く定義されている技術革新により,各労働者の生産性が大幅に向上する。そして,生産性の向上は,収入の増加と労働時間の減少の両方を促進するのに役立つ。

技術革新が生産性の成長を促進する方法の代表的な例は農業である。作物収量(Crop Yields)に関するエントリで詳細に示しているように,より優れた機械,作物の品種,肥料,土地管理などの革新により,農家の生産性が大幅に向上した。たとえば米国では,労働時間あたりの農場生産は1948年から2011年にかけて約16倍に増加した。この生産性の向上により,農業に従事する人々の割合がかつてないほど少なくても,急速に増加する人口を養うことができる。

ここのグラフは,農業だけでなく経済全体の労働生産性の伸びを示している。より豊かな国々の技術的,経済的,社会的構造により,そこでの労働者はより少ない労働でより多くの生産を行うことを可能としている。

技術革新に加えて,より少ない時間で働くこと自体が生産性をより高く保つことができ,労働時間と生産性の自己強化(self-reinforcing)の間のリンクを作ることができるという証拠がある。たとえば,経済学者のジョン・ペンカベル(2015)は,戦時中の英国の軍需労働者を調査し、彼らの生産性は一定の時間のしきい値(threshold)まで高いままだったが,そのしきい値を超えて著しく低下したことを発見した。我々は皆,非常に長い一日の仕事の終わりに,生産性の低下を経験したことがあると思う。

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What we learn from this
これから何を学ぶか 

データは,貧しい国の労働者が,豊かな国の労働者よりも多く,時にはかなり多く働く傾向があることを示している。これは,過去2世紀の経済発展と,今日の国間の不平等の性質についての我々の考え方に大きな影響を及ぼす。

これは,カンボジアやミャンマーなどの,今日の貧しい国々,そして過去に貧しかった今日の豊かな国々の住民は,消費が貧しいだけでなく,食料や薬などの必需品を買う余裕がないことを意味する。それは,彼らの余暇も貧しいことを意味する:生産性が低く,かき集めるためだけの多くの仕事をしなければならないため,状態を改善したり,教育を受けたり,単に余暇を楽しんだりするのに多くの時間を費やす余裕がない。

貧しい国の人々が豊かな国よりもはるかに多く働いているということは,繁栄の違いが労働倫理の違いによるものではなく,主に状況と機会の違いによるものであることを示している。別の投稿で尋ねているように,「スティーブ・ジョブズが中央アフリカ共和国で生まれたとしたら,どのようなチャンスがあったのだろうか?」どんなに一生懸命働いても,どんなに頭が良くても,スティーブ・ジョブズがこのような不平等の急な山に登ることで彼の可能性を実現できたとは想像しがたい。また,今日の最貧国のすべての優秀で恵まれない人々を含む,非常に才能のある人々が彼らの可能性を実現する機会がないことを,世界が見逃していることもわかる。

したがって,生産性を上げる方法を見つけることは,生産を増やすためだけでなく,社会が繁栄するために必要な労働時間の短縮にも重要である。

(転載了)
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日本が 他の先進国に比べ 労働時間が長く,生産性が低いのは?
資源が乏しく,国土(有効な)が狭いことが関係している?

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