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2021年3月 7日 (日)

日本では「スパゲッティー・ウエスタン」ではなく「マカロニ・ウエスタン」と呼ぶのは何故か?

最近,TV各局で 「マカロニ・ウエスタン」 が放映されていました。

Wikipedia には「『マカロニウエスタン』は 1960年代から1970年代前半に作られたイタリア製西部劇を表す和製英語」と定義されています。

他方,英文 Wikipedia の “Spaghetti Western” の緒言に 次のように書かれています。

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The Spaghetti Western, also known as Italian Western or (primarily in Japan) Macaroni Western, is a broad subgenre of Western films that emerged in the mid-1960s in the wake of Sergio Leone's film-making style and international box-office success.

The term was used by American critics and those in other countries because most of these Westerns were produced and directed by Italians.

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スパゲッティー・ウエスタンは,主に日本では「マカロニ・ウエスタン」とも呼ばれるイタリアン・ウエスタンとして知られ,1960年代半ばに登場した幅広い西洋映画のサブジャンルで,米国やその他の国の批評家によって使われた言葉。」のように書かれています。

何故 日本では「スパゲッティー・ウエスタン」ではなく 「マカロニ・ウエスタン」と呼ばれたのだろうかと,特に 若い方は思うでしょう。
現代 日本においては パスタは 「マカロニ」より「スパゲッティー」の方がはるかに優勢だからでしょうが,1960年代の日本において,よりポピュラーなパスタは「マカロニ」だったのです。

1965年に初版が発行された 伊丹十三氏のエッセー集 「ヨーロッパ退屈日記」(ポケット文春)に「スパゲッティーの正しい食べ方」という項があります。この内容が成立するほど まだ日本では一般的ではなく,これからー の時代だったと言えます。

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自身のイラスト入りで「スパゲッティーの正しい食べ方」が詳細に示されています。
「吸い込んで,音をたてて食べてはいけない。」という当然のことを「ごくひそかに吸い込む音すら,絶対に許されないのだ,ということを前提として話を進めましょう。」として 正しい食べ方が指南されます。

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コツは二つ示されー
第一のコツ:スパゲッティーの一部分を押しのけて,皿の一隅に,タバコの箱くらいの小さなスペースを作り,これを,スパゲッティーを巻く専用の場所に指定する。
第二のコツ:(スパゲッティーの長さによるが)長ければ 2,3本 短ければ 7, 8本をフォークの引っかける。次に,フォークの先を軽く皿に押しつけて,そのまま時計回りの方に静かに巻いてゆく。そして,フォークの先の四本の先は,スパゲッティーを巻きとるあいだじゅう,決して皿から離してはいけない。
ー とあります。決して,「スプーンを左手に持って その上で ・・・ 」などとは書かれていません。スプーンの上で巻き取るような,おかしな食べ方をする人が現れることなど伊丹十三は予想だにしなかったに違いありません。

1965年,高校2年生だった私はこれを読んで,その要領を深く心に刻み,スパゲッティーを食べるときは この教えに忠実にと思っていましたが,実際にスパゲッティーを食べたのが,それから何年経ってからだったのか,記憶にありません。
同じく この本の「スパゲッティーの正しい調理法」には 「・・・ スパゲッティー1本を前歯で噛んで,スカッと歯ざわりのある感じ,これをイタリア人はアル・デンテと呼ぶ。」と,おそらく日本で初めて(?),今では子供でも知っている「アル・デンテ」を紹介していますが,記憶に留めたこの「アル・デンテ」という言葉を口にしたのは就職してからでしょうか?
Wikipedia には 「1960年代 当時は大都市部を除けばまだイタリア料理を出す店がなく,本格的な食材の入手も容易ではなかった。」とあります。

とにかく,1960年代半ば,日本においては 「スパゲッティー」よりも「マカロニ」がメインだったのです。

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