小松左京「アメリカの壁」を読んだ。
3月2日,NHKBSプレミアム,「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」で 「“復活の日” の衝撃 ~ コロナ “予言の書”~」を観ました。
小松左京さんは そのSF小説「復活の日」(1964年)で「新型コロナ」を予言し,「日本沈没」(1973年)で「阪神・淡路大震災」および「東日本大震災」を予言していましたが,この番組で もう一つの予言小説に「アメリカの壁」(1977年)があることを知りました。
学生時代は 『S-Fマガジン』を購読し,資金の都合で,かなり早く断念しましたが 大学に入学した1968年に刊行が開始された『世界SF全集』を揃えようと何巻か購入した,それなりの SF小説購読者でしたが,就職して専門書を読むのに(?)時間をとられて遠のいてしまい,「アメリカの壁」を知りませんでした。
図書館で検索すると 単独の「アメリカの壁」は貸し出し中,掲載された短編全集が書架ではなく 書庫にあったので借りました。
ほぼ新品同様で,書庫に入っりっぱなしというのはもったいことです。
1977年に発表されたこの作品は,「輝けるアメリカ」「美しいアメリカ」というスローガンを掲げて当選した孤立主義者のアメリカ大統領が登場,そして突然,外の世界とのつながりが,一切絶たれる状態が発生する,という話です。
つながりとはー 通信を含め,航空機などによる行き来であり,米国の周りには高さ数百キロの霧のような壁が出現します。その霧の中に入った航空機(戦闘機,偵察機含む),艦船は消息不明になり,当然,他国からの航空機は飛来せず,外部の世界の様子は分かりません。
米国にとって他国との関りは負担になることはあっても 利益になることはほとんどなく,世界のメンドウは見ておられない,外の世界との関りを絶っても,自国だけでやっていけるーという思想があって・・・ 。
霧の壁の正体は? これはサイアンスと言うより ファンタジーです。
前大統領の考えに繋がるところがあって,小松左京さんの 未来予言小説の一つと言われるようです。
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