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2021年4月21日 (水)

職業としての “STEM” とは?

STEM” を「幹」と訳してはいけません。

Pew Research Center’ の ‘FACTTANK’,Apr.14,2021付けに “6 facts about America’s STEM workforce and those training for it”(米国のSTEM労働力とそのための教育に関する6つの事実)のタイトルの調査報告がありました。

下記,拙訳・転載します。

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STEMの労働力(science, technology, engineering and math)は,ここ数十年で急速に成長している。コロナウイルスのアウトブレイクが始まって以来の労働統計局(the Bureau of Labor Statistics)による最新の分析は,米国の多くのSTEM職業,とりわけ(among others)疫学者(epidemiologists),医学者(medical scientists),生化学者(biochemists)と生物物理学者(biophysicists),および生物学技術者(biological technicians)の力強い成長を予測している。

しかし,米国政府のデータに関する新しいピュー研究所の分析によると,黒人とヒスパニック系の労働者は,米国の労働力のシェアと比較して,STEMの仕事には少数しか存在しない(underrepresented)ままである。女性の割合は,STEMの労働力を構成する職種によって大きく異なる:健康関連の仕事では,女性は全体の労働力の47のシェアと比較して大きな割合を占める(overrepresented)が,コンピューティングおよびエンジニアリングの仕事では著しく少数に甘んじている。

STEM労働力の多様性が高まる見通しは,教育システムと密接に関係している。2010年以降,すべての学位レベルで米国の大学のSTEM卒業生の数が劇的に増加したとしても,関連する仕事の多様性が短期的に大幅に変化する兆候はほとんどない。

STEMの労働力とSTEMトレーニングに関して6つの事実がある。

1. 黒人とヒスパニック系の労働者は,彼らの米国の労働力全体でのシェアに比べて,STEMの仕事で少数しか存在しない。黒人労働者はSTEM労働力の9しか占めておらず,米国で雇用されているすべての成人の割合(11)よりも少ない。彼らは,工学と建築の労働力のわずか5と,生命・物理科学の仕事のそれぞれ6 のみを構成する。

002h_20210416161701 全体として,健康関連の仕事に就いている人の11が黒人である。特定の健康関連の職業における黒人労働者の割合は,准看護師の26から,検眼医,獣医,カイロプラクターのわずか2にまで及ぶ。黒人労働者は,医師と外科医の5,歯科医の4を占めている。
ヒスパニック系労働者はSTEM労働力の8を占めており,彼ら全雇用者の17を大幅に下回っている。ヒスパニックの割合は,STEMジョブ・クラスター全体でも同様に低い(8から9)。

アジア系米国人は,彼ら全雇用者のシェア(6)と比較して,STEM労働力(13)で大きな割合を占めている(overrepresented)。彼らは,コンピューター労働者(20),生命科学者(19),物理科学者(18)の大きな割合を占めており,健康関連の仕事に従事している人の10を占めている。各STEMジョブ・クラスターを構成する職種によって,さまざまなバリエーションがある。 エンジニアリングと建築の職業では,アジアの労働者の割合は,コンピューター・ハードウェア・エンジニアの31から測量およびマッピング技術者の1にまで及ぶ。

ネイティブ・アメリカン,ネイティブ・ハワイアン,太平洋諸島民,および2つ以上の人種グループと区別される人々は,STEM労働者の3を占めている。

白人労働者は,すべての職業にわたる労働者の63のシェアと比較して,STEMの仕事(67)で大きな割合を占めている。彼らはエンジニアの71とコンピューターワーカーの62を占めている。

2. 黒人とヒスパニック系の卒業生は,すべての学位のシェアと比較して,STEM分野の学位取得者の間では少数しか存在しない(underrepresented)。STEM労働力のパターンと同様に,STEMの学位を取得している黒人およびヒスパニック系の学生の割合は,一般に,すべての学位取得者の割合よりも低い。

003h_20210416161701 黒人学生は,20172018年度のSTEM学士号の7を取得した。これは,情報入手可能な最新の年であり,すべての学士号のシェア(10)よりも少なくなっている。STEM分野で学士号を取得したヒスパニック系学生の割合(12)は,どの分野の学士号を取得した割合(15)よりも下回っている。

ヒスパニック系の成人は,20172018年度に米国市民と永住者に授与されるSTEM修士号の9を獲得した。これは,すべての修士号の11のシェアよりも少ない。ヒスパニック系の学生は,STEMで研究博士号の6,専門博士号の7を獲得した。

黒人学生は,STEM分野で修士号の9,研究博士号の6,専門博士号の6を取得した。

アジア系の学生は,すべての分野でのシェア獲得の学位と比較して,すべてのレベルでSTEMの学位を授与された学生の中で大きな割合を占める(overrepresented)。 たとえば,アジアの学生は2018年にすべての修士号の7を取得した一方で,STEM分野での修士号の11を取得した。

白人の学生は,STEM分野で学士号の62を取得したが,大学レベルの学位は60だった。白人の成人は,20172018年度にSTEM分野の研究博士号の67を獲得し,これは,すべての学位の63より多い。

3. 女性の割合はSTEMの職種間で不均一であり,女性はSTEM労働力の半分を占めており,労働力全体に占める女性の割合(47)よりもわずかに大きくなっている。しかし,女性の割合はSTEMジョブ・クラスター間で大きく異なる。

004h_20210416161701 女性は医療従事者と技術者の約4分の374)を占め,この分析でSTEMとして分類された最大の職業クラスターで,980万人の労働者がおり,そのうち約730万人が女性である。

生命科学(48)と数学(47)における女性の割合は,労働力全体における女性の割合とほぼ一致している。

女性は,工学(15),コンピューター(25),物理科学(40)の職業で依然として少数しか存在しない。

4. 女性は生命科学と物理科学の仕事で大きな進歩を遂げたが,他の分野ではほとんど増加していない。生命科学(生物科学や農学など)で働く女性の割合は,1990年から14パーセントポイント増加している。現在,女性は生命科学の全労働者の48を占めており,1990年の34から増加している。

物理科学(天文学,物理学,化学など)における女性の割合も,1990年の22から2019年の40に上昇し,最新の年のデータが利用可能である。

他のSTEMジョブ・クラスターでは,女性の割合はほぼ安定している。エンジニアリングでは,女性のシェアはわずかに上昇し,1990年の12から今日では15になった。そして,コンピューターの職業における女性の割合は,この期間に減少した。 1990年には,コンピューター業界の労働者の32が女性だったが,今日,女性が占める割合は25で,2016年以降変化はない。

5. 女性は,健康関連および生命科学の分野で大きなシェアを獲得しているが,他のSTEM分野でははるかに少ない。女性は2018年にSTEMの学士号の過半数(53)を取得したが,それはすべての学士号の割合(58)よりも小さかった。2018年の時点で,健康関連分野の学士号取得者の大多数(85)と,生命科学の大学卒業生の61が女性だった。

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しかし,女性は他のSTEM分野で取得している学士号は少数である。 20172018年度,女性は工学の学士号の22,コンピューター・サイエンスの学士号の19しか取得してない。女性はこれらの分野で高度な学位の10分の3未満しか獲得してない。

6. STEM労働者は通常,他の仕事よりも収入が多く,アジア人男性の賃金中央値が最も高く,黒人およびヒスパニック系女性の賃金が最も低くなっている。STEM労働者は,他の非STEM職業の労働者よりも高い中央値の収入を享受している。

2019年,STEMの仕事に従事する25歳以上のフルタイムの通年労働者の収入の中央値は約77,400ドルだった。他の非STEM職業の労働者の同等の中央値は46,900ドルだった。

006h_20210416161701 STEMの仕事では,人種や民族のグループ間だけでなく,女性と男性の間にもかなりの賃金格差がある。

STEMの職業における女性の収入の中央値は,STEMにおける男性の収入の中央値の約74である。

黒人のSTEM労働者の収入の中央値は,白人のSTEM労働者の収入の中央値の78である。典型的なヒスパニックSTEM労働者は,典型的な白人STEM労働者の83を占めている。
STEMの典型的なアジア人労働者の収入は99,100ドルで,同等の白人労働者(78,000ドル)の127である。

STEM労働者間の男女賃金格差は,人種および民族グループ全体で保持されており,STEM労働者の収入の中央値は、アジア人男性で最も高く(103,300ドル)、黒人およびヒスパニック系女性で最も低くなっています(それぞれ57,000ドル)。

(転載了)

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underrepresented” が多用されています。和訳としては 「過少評価された」の意味があるようですが,ここでは「少数しか存在しない」が適当と考えます。
同様に 一般に「過大評価」と訳される “overrepresented” を,「大きな割合を占める」としました。

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