« 見出しに見る勘違い(その696) | トップページ | 見出しに見る勘違い(その697) »

2021年4月 4日 (日)

スエズ運河で “Ever Given” はどのようにして離礁したのか。

3月23日にスエズ運河で,幅 300mの水路に斜めになって前後端を座礁させた 長さ 400mの大型コンテナ船 “Ever Given” は,329日に 満潮を利用して離礁し,多くの足止めになっていた船舶は順番に運河に入って正常に戻りつつあると思います。

  座礁した船: コンテナ船  “Ever Given
      ・船主:正栄汽船(株)(愛媛県)
      ・オペレーター:Evergreen Marine(台湾)
      ・20,388TEUTwenty-foot Equivalent Unit
                             20feet コンテナ換算積載個数)
      ・L400mB=59m

この離礁作業が どのように進められたか,知りたくなりました。

多くのメディアが報道していますが,これらの多くのメディア情報を参考にまとめられているのが ‘Wikipedia’ で “2021 Suez Canal obstruction”(2021年スエズ運河の閉塞)の見出し記事があります。

内容は “Background”,“Incident”,“Response”,“Global economic impact”,“In popular culture” の項に分かれており,ここでは 復旧作業の経緯示している “Response”(対応)を紹介します。

以下,拙訳・転載します。

********************

Response”(対応)

座礁の直後,スエズ運河庁(the Suez Canal AuthoritySCA)は,子会社の,海洋サルベージ作業を管理しているSMITサルベージを通じてオランダの会社 「 ロイヤル・ボスカリス・ウエストミンスター(Royal Boskalis Westminster)」を雇った。彼らの専門家チームは運河当局と緊密に協力し,取り組みのタイミングと方向性を計算し,エジプト,オランダ,日本の作業員のチームを編成した。曳航(towing)または押し込み(pushing)によって船を動かすために力を加えるためにタグボートが必要であり、船の船首と船尾の下から砂と沈泥(silt)を取り除くために吸引浚渫船(suction dredger)が必要とされた。大容量ポンプは,船の燃料油と水バラストの重量を減らすか,再分配する(redistribute)ためだった。
これが船を再浮上させるのに不十分である場合,コンテナを降ろすために大型のフローティング・クレーンを持ち込むことができるが,これは船の安定性を維持し,船が壊れないように注意する必要があるため,時間がかかる難しい作業になる。一部の当局者は,重量物つり上げヘリコプターを使用する可能性を示唆したが,満載の40フィートのコンテナを持ち上げることができるものはない。

最初のステップとして,タグボートは “Ever Given” の後方から移動され,再浮上作業のためのスペースを確保した。掘削機(excavator)を含む重機が船首を掘り出す作業を開始したため,燃料と9千トンのバラスト水が船から降ろされ船を軽くした。3月25日までに,8隻のタグボートがそれを解放する試みを支援していた。ボスカリスの最高経営責任者であるピーター・ベルドウスキー(Peter Berdowski)は325日,このような作業は「数日から数週間かかる可能性がある」と述べた。

3月25日】,SCA(運河庁)は,“Ever Given” が再浮上するまで,スエズ運河の航行を一時停止した。同日,エジプトのアブデル・ファッタ・エル=シシ大統領の港湾顧問は,運河が「最大4872時間」で開通することを期待していると述べた。翌日,スエズ運河庁は、浚渫作業が約87%完了したと述べた。

3月26日】 運河庁は,浚渫専門家(dredging experts)の米国海軍評価チームによる,船の撤去の取り組み支援の申し出を受け入れた。:

3月27日,運河庁は,14隻のタグボートがその日の満潮を利用しようとしており,この試みが失敗した場合,翌日にはさらに多くのタグボートが到着すると述べた。正栄汽船(株)社長の檜垣幸人氏は,「浸水してないので,一旦,浮けば運航できるはずだ」と述べ,損傷は見られなかったと報告した。運河がいつ再開されるかについてのタイムラインはなかった。しかし,グリニッジ標準時の午後5時までに,‘Egypt Today’ によると,船は北に向かって30m100フィート)移動していた。“Ever Given” が現在の窮状(predicament)から解放された後も,船は混雑した港に入って,荷降ろし前に更なる遅延が発生する可能性があるため,出荷の遅延が続く可能性がある。

3月27日】の時点で,300隻以上の船が運河の両端と中央で遅れており,他の船が更に接近しており,一部の船は進路を変更している。

記者会見で,スエズ運河庁長官のオサマ・ラビー(Osama Rabie)氏は,気象条件が船の座礁の「主な理由ではない」と述べ,「技術的または人為的エラーがあった可能性がある」と付け加え,事故のすべての要因が調査されるだろうと付け加えた。

3月28日】船を離礁させる努力により,満潮時に船尾と舵がある程度動くことが可能になり,運河庁のラビー長官は,水が再び船の下を流れており,「いつでも船は滑って,現時点の位置から動かすことが可能」,さらに,強い潮流と強風が復旧作業を複雑にしているにもかかわらず,船上の18,300個のコンテナの一部を降ろす必要がないことを望んでいることを指摘した。この談話は,エジプトの大統領アブデル・ファッタ・エル=シシが船の貨物を軽くするための予備的な準備をするように命じたときに行われた。
その朝,285トンのボラード牽引力を備えたオーシャン・タグボート(seagoing tug) “Alp Guard” が到着し,タグボートの曳航能力はほぼ2倍になった。

「船のサイズの進歩と実際の経済の発展との完全な断絶(complete disconnect of ship size development from developments in the actual economy)」(OECD報告書,2015年),およびそれらを処理するための既存のインフラストラクチャの対応限界 -運河の北端で拡張が行われるスエズで明らかなプロセスが進行中だが,事故は,“The Guardian” のマイケル・サフィ(Michael Safi)によって「多くの人が来るのを見た最悪のシナリオ」として説明された。運河が封鎖された数日間の出来事は,より多くの時間とより多くの設備を必要とし,巨大船を救うことの難しさを浮き彫りにした。
Ever Given” がいくつかのコンテナを取り除くためにフローティング・クレーンの介入を必要とした場合(十分な容量のクレーン船が現実的な時間枠内で利用可能であると仮定して),プロセスはより長い間 作業するより大きな機器を必要とし,「数日,さらには数週間」閉鎖が長くなる可能性があった。

3月29日】 “Ever Given” の船尾は 現地時間04.30UTC 02:30)に再浮上し,オーシャン・タグボートの “Carlo Magno” が到着したことにより,牽引能力がさらに大幅に増加した。バラストを調整し,引き潮の流れを最大限に活用するように曳航のタイミングを調整した。
現地時間15:05UTC 13:05)に,満月の大潮(king tide)の後,船は自由になった。224,000トンの船を離礁させる(dislodge)ために満潮時に,14隻のタグボートが働いた。

衛星データによると,船の船首は運河の端に引っかかったままだったが,部分的に岸から移動していた。船尾は揺れ動き,水路の真ん中にあった。船は最終的に自由になり,現地時間の15:05に移動を始め,検査のためにグレート・ビター湖(Great Bitter Lake)に曳航された。

運河局は,運河の底と土壌を調査した結果,運河が健全で問題がないことを確認した後,現地時間の19:00UTC 17:00)から運河を再開することを船舶代理店に通知した。

スエズ運河の航行が再開するまでに,400隻以上の船が待機していた:紅海では約200隻,地中海では200隻以下,“Great Bitter Lake” 内で約50隻。
(転載了)

*******************************
1日に スエズ運河を通過できるのは 上り・下り(あるいは 南進・北進)合わせて 80隻程度であり,最大待機隻数は 400隻を超えていたので これらを通すのに5日間かかり,更に 毎日 通過すべき船が押し寄せてくるので 正常になるのには しばらくかかるでしょう。

36,7年前,台湾の船で紅海側からスエズ運河を通過した時,順番待ちで 2日ほどスエズ湾で錨泊していたことがあります。この時,小舟がやってきます。この中には 運河庁の船があるので,何者か分からないまま全ての人をデッキに上げるのですが,多くは商売人で,旅行業者もいます。
1等航海士が 「『ピラミッド見物 日帰りバスツアー US$100』というのを持ってくる旅行業者が来るはずなので,一緒に ピラミッドを観に行こう。」と誘われて,行く気でいました。
しかし,船長に,「途中で 錨地が変更になって,船を動かす必要がありそうなので,下船禁止。」命令が出て,計画は流れました。

あとは 座礁した原因の究明です。

|

« 見出しに見る勘違い(その696) | トップページ | 見出しに見る勘違い(その697) »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 見出しに見る勘違い(その696) | トップページ | 見出しに見る勘違い(その697) »