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2021年6月 1日 (火)

スエズ運河庁指摘の “Ever Given” 座礁原因の疑問。

REUTERSMay 27,2021付けで-
Amid dispute, Suez Canal blames ship's grounding on speed, rudder
紛争の最中,スエズ運河当局は船の座礁を速度と舵のせいにしている
の見出し記事がありました。

下記,拙訳・転載します。

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3月にスエズ運河で動けなくなったコンテナ船は,高速と,舵のサイズが原因で操縦に苦労しており,悪天候時には運河に入らない選択があった,と運河当局の長官はロイターに語った。

木曜日のスエズ運河庁 (SCASuez Canal Authority) のオサマ・ラビー長官(Chairman Osama Rabie)によるコメントは,コンテナ船 “Ever Given”のオーナーと保険会社との補償を巡る紛争の最中に行われたものである。

Ever Given3 23 日に強風で運河を横切って座礁し,両方向の交通を遮り,世界貿易を混乱させた。

日本人オーナーの正栄汽船の弁護団は,船舶の拘束(detention)と補償請求に異議を唱え,船舶の運河への進入を許可し,曳船を提供しなかったのはSCAの責任であると述べている。

ラビーは,船長が船の進入を引き留めることができた可能性があると言った。

「船長は自分の船の能力を知っている...だから彼が来て,『入りたくない,天候が適切ではないと思う』と言うことができる」と彼はイスマイリアのSCA本部でのインタビューで語った。

座礁する前,巨大な船は時速約 25 キロ(≒13.5kt)で航行しており,これは,南側の狭い運河に適した時速 8 9 キロをはるかに超えていた,とラビー 氏は述べている。

速度が速かったため,“Ever Given に同行した 2 隻のタグボートは助けることができなかった。

「その速度は非常に高速で,方向舵が合っていなかった」と彼は言った。「多くの技術的な過失があった。その中には,舵のサイズが船のサイズに適していない(the rudder's size was not appropriate to the size of the ship)というものがあった。」

正栄汽船の法務チームのメンバーは,土曜日にロイターに対し,当局は船による過失を証明できなかったと語った。

SCA は,法廷で,封鎖に対して 9 1,600 万ドルの補償を求めまたが,その後,その要求を 5 5,000 万ドルに減額した。

オーナーは15000万ドルの補償を申し出たという。 正栄汽船は交渉についてコメントしていない。

「金額を約 40% 値下げした。また,彼らのために物事を円滑に進めよう(facilitate)とも言ったが,正直なところ,彼らが行った提案は,私たちが話しているレベルには達していない」と ラビー 氏は述べている。

重大な物質面と評判の損失を被ったSCAは,“Ever Given の貨物の価値について 7 7,500 万ドルの見積もりを受け取った後,求めていた金額を引き下げた。これは,当初に使用した見積もりの 30 億ドルをはるかに下回っている。船の価値は14000万ドルだった,と彼は言った。

「もちろん,あなたが求める補償の価格が船と貨物の価格よりも高いというのは非論理的です」と彼は言った。

補償請求に関する法廷審問は土曜日(529日)に予定されている。司法決定を待って,裁判所だけが船またはその貨物を解放する権限を持っていた,と ラビー は言った。

(転載了)
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ラビー長官の,「船速」と「舵の大きさ」に対する指摘に疑問があります。

  • スエズ運河を通航する際は船団(convoy)で動きます。一隻だけ 通常ではない船速(適した速力の2倍以上)で走れるはずがありません。他船も同じ速力で走っていたら別ですがー。 “Ever Givenは先頭ではなく,前後に船がいました。
  • 舵の大きさ(正確には舵表面積)は 船級協会規則により,船の大きさに従って規定されていると思います。そして,設計段階と実物で承認を得,更には試運転時の操縦性試験をクリアしているはずです。勝手に 造船所が設計するものではないでしょう。おそらく船級が変わっても舵面積要求値に大差はないでしょう。もし,疑問があれば 船級協会に問い合わせるといいでしょう。
    Ever Given” の船級は ‘the American Bureau of Shipping(ABS)’ 。 
  • 又,速力に関しては,スエズ運河庁のパイロットが乗っており,速すぎたなら彼が忠告したはずで,そうでなければパイロットの過失です。
  • 悪天候で運河に入らない選択を提案するのはスエズ運河庁のパイロットの役割で そのために乗船するのでは?

事故発生は 南行の船団とすれ違う,紅海よりの “Great Bitter Lake” に達してない時刻,まだランチ・タイムには早すぎて,パイロットがブリッジのソファで食後の昼寝をしていたはずはありません。

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