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2021年5月10日 (月)

2010年,“TAKE IVY” 英語版出版時のあれこれ-

001_20210508124401 2010年8月,米国の出版社(‘powerHouse Books’,NY)から1冊の本が出版されました。
1965年に 婦人画報社から出版された写真集TAKE IVYの,45年を経た英語による復刻版でした。‘powerHouse Booksは,1965年版の著作権所有者である「アシェット・コレクションズ・ジャパン」(Hachette Japan)の承認を得た後,できる限り正確に複製することが目指し,1965年版と同じ紙,製本,ブックカバー(dustcover)などを使いました。
この英語版は,2010723日の出版前に,The New York Timesの “Fashion & StyleThe Look”(新書紹介?)で取り上げられて,「・・・ online で 数千ドルで取引されていた “TAKE IVY” が,来週からは 誰でも $24.95 “TAKE IVY”の ‘odd influence’(奇妙な影響?何と訳すべきか?) を経験できるようになり ・・・」などと評判になっていました。

もともとこの本は,1965年に,著者:くろす としゆき,長谷川 元,石津 祥介,写真: 林田 昭慶が 米国東海岸を訪れた後に執筆されました。彼らは,アイビーリーグの8つの大学(ハーバード大学,イエール大学,プリンストン大学,ペンシルベニア大学,コロンビア大学,ダートマス大学,ブラウン大学,コーネルル大学)の学生のライフスタイルのポートレートを撮影することを企図していました。

この英語版の出版に至る経緯などを ‘powerHouse Booksの編集者が,2010年の出版前にインタビューに答えている記事が ‘IVY STYLE/NewsNostalgia Since 2008Oct. 22, 2019付けで,‘The Rights Stuff: The Publication Of “Take Ivy”’(権利に関するもの:“Take Ivyの出版)と題して掲載されていました。

下記,拙訳・転載します。
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ミステリアスな日本の写真本 “Take Ivyが出版されてから9年になる。
以下は,口コミで広がった(viral)現象がどのように発生したかについて,‘powerHouse Books’ の副社長兼準出版者であるWes Del Val氏への2010年のインタビューである。

Q :Take Ivy”はあと1ヶ月間発売される予定ではないが,最初の印刷物はすでに事前販売されている。 出版前に何部販売したか?
A : すでに,再度,印刷に戻らなければならなかったと言おう,これは,特に写真集では非常にまれである。 ブロゴスフィア(blogosphere:ネット上のコミュニティ)のおかげで本当に離陸した。皆さんは情報を取得して実行しているだけであり,それはただのバイラル(口コミで広がる)であり,すべての出版社の夢である。

Q : この本の元々のうわさ(過剰宣伝:hype)は,主にインターネットによって引き起こされた。
A :
私はこの本を新しいメディアで見つけた。‘Timesがそれについて書いているのを見た,そしてそれを “A Continuous Lean” か “The Trad” のどちらかで見た。“The Tradは本全体をスキャンしており,私はそれを見て,「我々はこれをしなければならない」と思った。
数週間にわたって,私は夜10時に電話をかけて,日本の出版社を探し,誰がこの権利を持っているかを突き止めようとした。我々ははついに彼らをを見つけ,我々が権利を得たことに,ただ大喜びした(elated)。 非常に多くの人がオンラインでそれについて話していたので,手遅れかもしれないと思っていたが,そうではなかった。ここにいる我々全員がスキャンを見て,それが好きだと知っていた:我々の誰もコピーを見たことがなかった。実際にコピーを持っている人はほとんどいないので,我々は皆スキャンに夢中になっていて,そのことが本当に素材について何かを語っている。
そして今,我々は多くの人々が本当にこれに夢中になっているのを見ている。タイミングも完璧である。一部の人々がそれを呼ぶように,アメリカン・クラフト運動の真っ只中で,またはアメリカのすべてのもののお祝いである。

Q予約注文の数に驚かされましたか?
A我々は,それがかなりニッチな読者,すなわち熱心な(die-hard)プレップ・ファンがターゲットになるだろうと考えた。そして,私はそれがかなり多いことを知っていたが,実際の多さは知らなかった。歴史家,マニア(fanatics),コレクターなどのニッチな分野だけでなく,もっと広い範囲が対象になると見ていた。そして,それは,どんな出版社も,明白な読者を超越することを望んでいることだ。
我々がオンラインで見ているコメント,人々はそれに対してとても興奮していて,我々はわくわくしていた。

Q日本の出版社である「アシェット(Hachette)」は,この本の米国でのカルト的地位を知っていましたか?
A彼らは意識はしていた(on their radar)が,それがどれほど大きいかを知らなかった。彼らはブログがスキャンで何をしたのか理解していなかった。私が彼らにいくつかのリンクを送ると,彼らは「うわー,これはすごい(amazing)」と言った。“Take Ivyをググった(googled)だけで見られただろうが,見ていなかった。私は,再出版する必要があると叫んだだけである。「アシェット」は,ニューヨーク・タイムズが記事にした頃,一部の米国の出版社が関心を示していたが,それが適切である(right fit)とは感じていなかったと述べた。
そして,我々は提案を進め,彼らは 我々の出版プログラムがうまくいくだろうと考えた。

Q最終的にどのようにして権利を取得しましたか?
A: 昨年,約1ヶ月間,電話とメールをした。毎日ではなかったが,「アシェット」へのリンクを見つけて本社にメールを送信しても,返事が来るかどうかはわからなかった。あることが別のことにつながり,ついに日本人インターンの助けを借りて彼らを追跡した。

Q : なぜアシェットが,今まで ずっと権利を保持しているのですか?
A : わからない。3回目の印刷は2006年で,彼らはまだ権利を保持していた:権利は著者に戻っていなかった。 

Q: 何に対する権利を あなた方は得ましたか?
A : 英語版発行の権利。つまり,オーストラリア,英国,北米で発行できる。そして,私たちがビジネスのほとんどを行っている国(フランス,ドイツ,日本),これらの地域で本を販売することが許可されている。そして,新しい地域が知って,注文があると,私は その地域で販売する権利を得るため日本の出版社に依頼しなければならない。彼らは広く販売可能になることが彼らに利益をもたらすことを知っているので非常に協力的だった。私はすでに関心を示している他の12ヶ国に対して彼らに依頼して,そして全ての国への承諾を得ている。

Q : 他の言語への翻訳はどうですか?
A :powerHouse’ が発行するすべての本は英語版になる。しかし,誰かがそれを別の言語で出版したいのであれば,私は彼らを日本の出版社と連絡を取らせることができる。

Q: 契約の種類は? 彼らはあなた方の売り上げの歩合を得ていますか?
Aその通り。

Q : この本の人気の理由は何だと思いますか? それは,本の希少性(rarity)と神秘性(mystique)のせいもありますか?
A : それら一部であり,時代を超えたスタイルということがある。そして,それが 今,やって来たという事実。プレップ人気は上下し,今,人気が再び高まっている。プレップ・スタイルは衰退し(wane),何か他のものがやってくるだろうが,プレップはとても持続性(enduring)があり,常にその頑固なニッチを持っている。

Q : この本の何が特別だと思うか?
A : この本にある1821歳のちょうど楽なスタイル。ここで,彼らは起床して,授業に行くところである。彼らは着ているものに頓着してない。彼らはちょうどその日のスタイルを身に着けており,そしてそれはたまたまそれが楽で時代を超越したスタイルであるということである。そして,服が合っている(fit)という事実,私はただ大好きである。今日,非常に多くの人が体に合わない(ill-fitting)服を着ている。それが最も印象的なことである:誰もが自分に合った服を着ている。
肩の縫い目はフィットし,皆,適切なサイズのパンツを着用している。現在,彼らは短い,トム・ブラウンのズボンを穿いているが,彼らはそれについて考えていない。それらは,J.Pressや地元の店で手に入れたものである。不自然な(contrived)ことは何もないと思う。今,人々はプレップに向かい,そして彼らは実際にそれを酷使する(overdo)ことができる。彼らは無頓着に服を着る。 快適さは何よりもまず重要な(first and foremost)ようである。彼らはキャンパスを出入りし,‘Weejuns’(ペニー・ローファー)を履いたり,コンバースを履いて靴下を押し下げてボートを漕ぎに行くだけで,すべてが素晴らしく見える。
それから,日本人がそれをしたという大きな部分がある,まるでそれが人類学的(anthropological)であったかのように。そして,彼らはこの研究を行い,それを日本に持ち帰った。そして,日本人が創造的に物事をねじる(twisting)のがとても得意であることを誰もが知っている。あなたが彼らに何かを与え,そして彼らがそれをもって走る方法はただ驚異的(astounding)である。その結果,我々は,我々のオリジナルのコピーをコピーすることになる。
彼らがそれをしたという事実,これらの写真を撮り,これらにコメントをするのが仲間の学生ではなかったという事実が大好きである。 

Q作成者たちはまだ存命か?
A : 存命であるが,多くの人はそのことを知らない。カメラマンと3人の著者は皆,生きている。彼らは かなり年配になっていると,私が接触した出版者は言った。私が改訂した本を彼女(出版者)に送るたびに,彼女は改訂版を彼らに渡している。彼らのうち1人だけが少し英語を話す。彼らは,新しい世代がそれに触れる(got on to)ことをとても喜んでいる。

Q : 元のプロジェクトがどのようにして生まれたのか,あなたは何か知っていますか?
A : 残念ながら,出版社は本と英語に翻訳されたテキスト以外の情報を私たちに提供することができなかった。本文に示されたものが,我々がそれについて知っているすべてである。いきさつなどはオリジナルから今のところ削除されており,オリジナルに取り組んだ人は周りにいない。
著者らが働いていた衣料品会社[VAN Jacket]は,本物のカタログ(look book)ルックブックを手に入れたいと思っていたと思うが,確かにはわからない。しかし,当時,彼らはアイビー・スタイル(レコードカバーや映画)に出くわしただろう。彼らは自分たちの目的のためにルックブックを望んでいたと思う。

Q 翻訳したのは誰ですか?
A : 彼らは 翻訳された原稿を用意してくれた。

Q : それから,正しく翻訳されてないかもしれない衣類の用語のようなもののためにそれを編集したか?
A : はい,我々の編集者は日本の出版社と緊密に協力した。何か目立ったものがあれば,「これでよろしいですか?」と訊き,彼らは「はい,その通りです」と言うか,元に戻って少しやり直した。

Q : 冒頭のページには,元のテキストのエラーは修正されていないという免責事項(disclaimer)がある。
A : 彼らは、いくつかの強硬派(die-hards)に備えてそれを付け加えた。これは,歴史家やコレクターではなく,商業出版社(trade publisher)によって作成された。そのため,一部の専門家が「いいえ,それは正しくないと思う」と言った場合に備えて,これが追加された。

Q : ステラの先行販売に加えて,あなたはメディアの注目に満足しているに違いないと思うが-。
A : 口コミで広まるとき,それは夢が叶うことである。

Q : 宣伝費用を必要としなかったと言う意味?
A : 我々は小さな出版社なので宣伝はしなかった。費用は本の製作に回した。

CHRISTIAN CHENSVOLD
(転載了)

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私は 1965年発行のオリジナル版は持っていません。
しかし,大学に入った1968年から卒業するまで4年間読んでいた「MEN’S CLUB」(婦人画報社)に度々 “TAKE IVY” の名前と その中の写真が掲載されていたので ほぼこの写真集に載った写真を見た気でいました。

2010年に出版された英語版は,N.Y.Times の記事を参照して 日本の新聞で紹介されたので知っており,2011年,たまたま東京に出張に行ったとき,銀座のセレクトショップに積まれているのを見て購入しました。

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