“OCBD” は “Oxford Cloth Button-Down”
1976年創刊,米国の,自動車,航空機,ボート,不動産,時計などの製品を取り上げるラグジュアリー・ライフ・スタイル誌,“Robb Report” の電子版,Sept. 30, 2021付けに興味深い記事がありました。
題して “How the Oxford Cloth Button-Down Became a Menswear Staple That Never Goes Out of Style”
「オックスフォード・クロスのボタンダウンが,時代遅れになることのないメンズウェアの主要製品になった経緯」
下記,拙訳・転載します。
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“Brooks Brothers” と多数のインディーズの新興企業によって新たに再導入された(re-introduced) OCBDは,ルネッサンスを味わっている。

メンズウェアで,“OCBD” ほど研究された,または精査された(scrutinized)頭字語はないかもしれない。“oxford cloth button-down” の省略形で,前世紀の変わり目にブルックス・ブラザーズによって最初に導入されて以来,数え切れないほどの模倣を生み出してきたカジュアルなスポーツシャツを指す。
伝説によると,このシャツは,ブルックス・ブラザーズのジョン・ブルックス社長が英国でポロの試合を目撃し,プレーヤーのシャツの長い襟のポイントが風になびくのを防ぐために体に固定されていることに気づいた後に生まれた。ブルックスはテイラーにシャツをコピーしてもらい,1900年に米国本土(stateside)で販売を開始した。
しかし,シャツを際立たせたのはボタンのポイント(buttoning point)だけではなかった:襟は裏地(unlined)がなく柔らかく,その当時,支配していた堅くて取り外し可能な襟とはまったく異なった。そして,たっぷりと(generously)カットされたシャツは,オックスフォードの布で作られており,オックスフォードの布は,他の綿生地よりも細かくなく,耐久性のある丈夫なバスケット織り(basketweave)だった。

要するに,OCBDは完全に米国のオリジナルだった。そのカジュアルな無頓着(nonchalance)はアイビー・リーグの学生の間で人気のある選択肢となり,キャンパス・ショップはすぐに独自のバージョンをデザインして販売した:J.PressのOCBDは象徴的なフラップ・ポケットで区別され,Gantはロッカー・ループとバック・カラー・ボタンを導入した。このシャツはジャズ・ミュージシャンの間でも人気があり,マイルス・デイビスは1958年のアルバム「マイルストーンズ」のカバーにエメラルド・グリーンのOCBDを着ていることで有名である。
しかし、20世紀の終わりまでに,このシャツの先祖(progenitor)は糸を失ったように見えた。
1988年にマークス&スペンサーに買収された後,ブルックス・ブラザーズは徐々にその最も有名な製品を微調整し,ノン・アイロンの生地,スリム・フィット,裏地(or 芯地)と融着した襟(fused collar)を導入した。
その結果,シャツの支持者の間で,怒りが起こった(ensued)。
それに応えて,小さな家内工業(cottage industry)界は,昔の柔らかく,裏地がなく,融合していないブルックス・ブラザーズのOCBDを再現することを中心に成長した。
最初のものの中には,1982年に設立され,ブルックス・ブラザーズのトラディショナル・フィットのスタイルでシャツを裁断するマーサー&サンズ(Mercer & Sons)があった。探求は今日も続いており,8月に裏地なしのオーダーメイドOCBDを発表した “Junior's” や,50年代と60年代のブルックス・ブラザーズのシャツをモデルにして生活感(lived-in feel)のために何度も洗った “Wythe” などの若いブランドがある。
8月,“Rowing Blazers” は,11のオックスフォード生地と1つのカラー・オプションを備えたオーダーメイドのシャツ・プログラムを開始した。創設者のジャック・カールソン(Jack Carlson)は言う,「昔のブルックス・ブラザーズからインスピレーションを得た,裏地なしのボタンダウンシャツで,米国製で,襟が正しい形だった頃に戻る。」
MTO(Make To Oeder,オーダーメイド)シャツは国産だが,“Rowing Blazers” は,従来のボックス・プリーツの代わりに滑らかなサイド・プリーツなどのアングロ機能を追加することで,OCBDの慣習に逆らった。
「それは正統派のアメリカの古い学校ではないが,私の意見ではもっと長所を目立たせる。」とカールソンは続ける。「それはウィリアム王子が着るものでもあるので,間違いはない。」
伝統的なOCBDメーカーは大西洋(the pond)の向こう側にも存在し,特に “Drake’s” と新しい “Jake’s” がある。後者は,2020年のロックダウンの低迷の中で,フリーランスのズボンメーカーであるジェイク・ウィガム(Jake Wigham)によって設立された。ジェイク・ウィガムは,より充実した伝統的なカットを好み,「私が適切なボタンダウンと呼ぶものには完全に本質的です」と述べている。ウィガムは,ガント,ブルックス・ブラザーズ,トロイ・ギルド・シャツメーカー(Troy Guild Shirtmakers)などの多くのクラシックな米国のブランドや,時代の記録からインスピレーションを得ている。
「クラシックにできるだけ忠実なシャツを作りたかった」とウィガムはRobb Reportに語る。「真正性(authenticity)が鍵となるので,私はキャンパスの画像や黄金時代のジャズ・ミュージシャンのアーカイブ画像から多くのインスピレーションを得ている。」
2016年,ブルックス・ブラザーズは,オリジナルのポロ・ボタンダウン・オックスフォードと呼ばれるOCBDを,柔らかく,裏地がなく,融着していない襟付き(unlined and unfused collar)の国産モデルとして再導入した。しかし,同社の2020年の破産により,ノース・カロライナ州のシャツ工場が閉鎖され,再導入のシャツが不足した。
「それらを並べて配置すると、変化するものと変化しないものがあることに気づきます。それらが私たちが焦点を当てたいものです」とバスティアンは言う。
そのために,新しいOCBDは,融着していない,裏地のない襟と袖口に加えて,7ボタンのフロント,ストレート・ボックス・プリーツ,袖口に6プリーツのシャーリングを備えている。おそらく最も根本的に,バスティアンは会社の多くの “fits” を省き(dispensed),ゆったりした(roomy)オリジナルを思い起こさせる(harkens back)単一の惜しみない(generous)カットを支持した。
これらのフィットはブランドのドレスシャツのタイプとして残るが,XS-XXLの襟と腕のサイズを廃止する(ditching)ことで,単一のOCBDがさらに合理化された。ただし,バスティアンは,顧客が間もなく国内のオーダー・メイド・プログラム(made-to-order program)を通じて,首と袖の正確なサイズで注文できるようになることを明らかにしている。
今のところ,伝統主義者は,かつてのブルックス・ブラザーズOCBDに似ているか,少なくとも覚えているだろうから,ホッとするだろう(relieved)。バスティアンが言うように,「実際には常に小さな方法で変化しているのに,人々が決して変わらないと考えるのはこのシャツである。」おそらくそれが,この最もノスタルジックなスタイルの永続的な魅力の鍵である。OCBDが変更されるほど,同じままに留まる。
(転載了)
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1980年代,“Brooks Brothers” のドレス・シャツを買い始めた頃は,サイズ(襟×袖)は充分揃っていましたが,Fit Type に種類はなかったような気がします。
その後,“Slim Fit”,“Extra Slim Fit” などが加わり,現在,4,5種類の Fit Type があって,既製シャツとしては限界に達しているのでは?
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