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2021年11月 7日 (日)

Brooks Brothersのシャツの売り上げの90%は 「ノン・アイロン・シャツ」!

Noniron リタイアして8年目,もう Brooks Brothers のシャツ,特に ドレス・シャツを購入することはありませんが,現役時代の末期, どうしても好きになれない「ノン・アイロン・シャツ」の洪水で困りました。止むを得ず,最後の約5年間は 「パターン・オーダー」で オックスフォードのシャツを注文していました。

世の中には「ノン・アイロン・シャツ」が許せない,と考えている方が 10% いるようです。
これに関連して-
ファッション・サイト ‘IVY STYLE’,Oct.4,2021付けの記事-
The Brooks Oxford, And What’s Wrong With 90% Of American Men
ブルックス・オックスフォード,そして米国人男性の90%の何が悪いのか
を読んでみました。

下記,拙訳・転載します。
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男性の10人中9人が,化学的に処理された,ファニーに感じ,純粋な混じりけのない(unadulterated)綿よりも人工的に完璧に見えるノン・アイロンのシャツを好むことをご存知か?そして,私は一般の人々について話しているのではなく,特にその伝統主義の「とりで(bastion)」であるブルックス・ブラザーズの買い物客について話している。

数年前,ラルフ・ガードナー(Ralph Gardner)は,ウォール・ストリート・ジャーナルに,彼が「共和国の基盤(the bedrock of our republic)」と呼んでいる,古典的なブルックス・ブラザーズ・オックスフォードに関する興味深い記事を掲載した。

ガードナー氏は,1970年代にポリエステルで育った後,ブルックス・ブラザーズのクラシックなオックスフォードを発見し,それ以来 熱心な(devoted)ファンである。 ここで彼はマディソン・アベニュー346に必需品(supplies)を買いに行っている:

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stepping through its brushed-steel double doors, like those of a bank vault, you felt as if you were crossing from the chaos and flimsy values of the outside world into something immutable, almost a private club, its members united not by religion or politics or a passion for stamps or sports, but by clothing and men’s accessories that flattered the wearer as much for their ethical values as for their quality and cut.
… 銀行の金庫室のようなつや消し鋼の両開きドアを通り抜けると,外の世界の混沌とした薄っぺらな価値観から,何か不変の,ほとんどプライベート・クラブに足を踏み入れたように感じる。そのメンバーは 宗教や 政治や切手やスポーツへの情熱で結ばれたものではなく,その品質やカットだけでなく,倫理的価値についても着用者を喜ばせる衣類やメンズアクセサリーにより結ばれるメンバーである。

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ガードナーは,同じシャツを着ていた過去のブルックスの男性と共有された共通(kinship)関係の感慨に慰めを見出し続けている:

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I have no idea whether there was any connection between Brooks Brothers and writers and editors such as Max Perkins, Harold Ross, Fitzgerald and Cheever.
ブルックス・ブラザーズと,マックス・パーキンス,ハロルド・ロス,フィッツジェラルド,チーバーなどの作家や編集者との間に何らかのつながりがあったかどうかはわからない。

But it always felt as if their ghosts were roaming the aisles alongside you, debating with themselves whether they should stick to white or whether they could pull off pink or pinstripes this season.
しかし,彼らの幽霊があなたと一緒に通路を歩き回っているように常に感じ,彼らが白に固執するべきかどうか,または彼らが今シーズンピンクやピン・ストライプを採用するかどうかを彼ら自身と議論した。

The store served as connective cultural tissue between different generations of New Yorkers: What we all had in common was an eye for authenticity and an intellect capable of seeing through the fads and false gods of our fellow man.
この店は,さまざまな世代のニューヨーカーの間の結合組織として機能した。私たち全員に共通していたのは,本物への目と,仲間の流行や偽りの神々を見通すことができる知性だった。

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しかし,ガードナーは,ブルックスの旗艦店に,クラシックなオックスフォード・クロスのボタンダウンに充てられたテーブルが 現在1つしかないことを知って戸惑っている。他のすべてのテーブルには,ノン・アイロンのシャツが積まれている。彼がブルックスの担当者に説明を求めて電話をかけると,担当者は ノン・アイロンのシャツが店のシャツの売り上げの90%を占めていると言った:

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Today, that’s now the Brooks Brothers shirt.”
「今日,それがブルックス・ブラザーズのシャツになった。」

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これは,80年代以降にどれだけ大きく変化したかを示している。プレッピーはかつてないほど主流になっている可能性があり,全国のショッピング・モールで,骨抜きになった(watered-down)ものの,見つけることができるファッション商品である。もちろん,失われているのは,服の背後にある精神(ethos)であり,ガードナーはこれを「倫理的価値観(ethical values)」と呼んでいる。そして,これらは服の作り方だけでなく,服の着方にも深く関わっている。

あなたがそれに生まれていなかったなら,メンズシャツに関しては資産家(Old Money)の価値観はあなたが途中で学ぶものです。当時のプリンストンの学生についての逸話(anecdote)がある。彼らは,メリットはあったものの、レガシーからスタイルの手がかりを得て,ボタンダウンの襟を紙やすりで磨いて,着古したように見せることを余儀なくされた。
ちょうど先週,私の父,古典的なきちんとしたフリークが,私が最近彼に送ったブルックスのシャツの襟がすでに彼の首の無精ひげをこすりつけて 擦り切れ始めていると私に言った。彼はそれらを交換すべきかどうか考えた。
私は彼に,彼の髪は細くて灰色で,顔は日焼けしてしわが寄っていること,そしておそらく彼のシャツも少しの人生経験があり,プラスティックの袋からそのまま来たものではないように見えるはずだと思い出した。

ボタンダウン・オックスフォードには小さな特徴があり,端周りの擦り切れ(fraying),前立てのしわ(puckering),袖をまくり上げたり,生活することから生じる縮みがあることは,あなたが理解することを学ぶ必要があるものである,ちょうど新しい家具のショールームの床の輝きに対する,アンティーク材の鈍いが高貴な艶(patina)のように。

ブルックス・ブラザーズは1980年代よりもはるかに大きな会社になっており,その顧客基盤ははるかに広くなり,自然な生活感のある服などの古いWASPyWhite Anglo-Saxon Protestants,北米の上・中流人)の価値観をほとんど認識していないと思える。きれいなもの(spic-and-span)を見たいという欲求は,ポール・ファッセル(Paul Fussell)が非常に中流階級の「清楚さに対する不安(anxiety over neatness)」と呼んでいるものから発せられる(emanates)。

ノン・アイロン・シャツには支持者(adherents)がいるが,個人的には我慢できない。そして,時間と利便性が何よりも,熟成されたオックスフォード・クロスの豊かなキャラクターよりも,価値があるとされているとき,残念ながら,あなたは逆の価値観を持っていると思う。

シャツの売り上げの90%が,ノン・アイロンのカテゴリーであるため,ブルックスは明らかに顧客に欲しいものを提供している。しかし,ガードナーが示唆していることは他にもある:

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what made Brooks Brothers great wasn’t that it catered to the public’s taste; it created taste.
…ブルックス・ブラザーズを素晴らしいものにしたのは、それが一般の人々の好みに迎合したからではなかった;それ自身が好みを創出した。

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メアリー・マッカーシー(Mary McCarthy)の物語「ブルックス・ブラザーズ・シャツの男(The Man In The Brooks Brothers Shirt)」の主人公は,疑う余地のない趣味の良い調停者(arbiters)から特別なものを着ていると感じているように思われる。彼は確かにノン・アイロンのシャツを着ていなかったが,そのとき,まだ発明されていなかった。もし 既にあったら,90/10の分裂のどちら側に彼がいるのか誰が知ることができるだろうか。

(転載了)
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去年(2020年)公開された映画 『TENET テネット』で ‘Brooks Brothers’ を含む台詞がありました。

Look, no offense, but in this world, where someone is claiming to be a billionaire, Brooks Brothers won't cut it.
「いいか,悪気はないが,聞いてくれ,この世界,億万長者だと言い張っている者がブルックス・ブラザーズはないぞ。」

「億万長者に扮するつもりなら Brooks Brothers の服じゃあダメ(オーダーメイドの服を着ろ)」と言う意味のようです。

歴代の大統領が好んで着た服が,既に 特別な服ではなく,誰でもが着る服になっているようです。

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