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2021年12月16日 (木)

韓国人は “Konglish”,シンガポール人は “Singlish” そして日本人の英語は ・・・ 。

2020年の東京オリンピック前に,日本人の英語について書かれた ‘CNN.travel’ ,26th February 2020付け “How Japanese and English merged to create a new language” (日本語と英語がどのように融合して新しい言語を生み出したか)と題する記事です。

下記,拙訳・転載します。

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東京(CNNジョン・ドゥギル(John Dougill)が30年前に初めて日本に来たとき,彼は京都の近所の精肉店を飾っている奇妙なフレーズを見つけた。"meat shop(肉屋)"の代わりに,その看板は "flesh shop" と書かれていた。ドゥギルは,店のスタッフが英語の誤りに気付いていないと考えた。しかし,オーナーにそれを告げたとき,彼は丁寧にうなずいた。

「看板に 'flesh'(肉)とか 'fresh’(新鮮)とか'meat'(肉)とかは問題ではなかった」と,日本で英語の使い方を研究している龍谷大学のドゥギル教授は振り返る。「それは人々の注意を引くためだけにあった。人々は,外から肉屋であるのを見ることができたので,それはコミュニケーションに使われていなかった。」
ドゥギルは,“Engrish” 又は “Japanglish” という日本の現象との最初の出会いだった。“Engrish” は,英語の間違いが日本の広告,Tシャツや文房具などの製品,またはレストランのメニューに表示されたときに起こるものである。

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日本語を話す人が犯す間違いの多くは,単語を発音するときに “r” と “l” を区別するのが難しいことに起因する - ここから “English” ではなく “Engrish” と呼ばれる。単語の先頭にある “s” は,“shi” と発音される日本語のひらがな文字に関連付けられている。 そのため,“baby-sitter” のつづりを “baby-shitter” と間違えることがある。
また,英語をつなぐ言葉の中には日本語に相当するものがないものもあるので,“I feel like a hamburger”(ハンバーガーのように感じる)は “I feel hamburger”(私はハンバーガーを感じる」になる。
欧米では,英語を母国語としない人を嘲笑する(mock)ことを目的とした日常の人種差別の例として,“Engrish” がよく見られる。

それは完全に日本の現象でもない。韓国には “Konglish”,シンガポールには “Singlish”,中国には “Chinglish” があり,これらはすべて,地元の人々が英語を別の目的で使う(repurpose)さまざまな方法を表している。しかし,日本では,海外の “Engrish” に関連する人種差別的な意味合い(connotations)を誰もが知っているわけではない。それは2つのカテゴリーに分類される:装飾英語(Decorative English)は気分を作り出すために使用され,純粋に日本人を対象としている。一方,コミュニケーション英語は外国人に説明を与えることを目的としているが,文法的に間違っているか,つづりが間違っていることがよくある。この現象はしばらく前からあったが,来たる東京2020オリンピックは,日本での英語の使用方法に新たな “Engrish” は今でも 紛れもない事実(fact of life)であり,翻訳で意味や気分が失われる余地がある。

English as a design element
デザイン要素としての英語

英語は多くの国際機関の作業言語であり,世界で最も広く教えられている外国語である。世界経済フォーラムによると,英語を話す約15億人のうち,4億人未満が英語を第一言語と呼んでいる。これは,世界の75億人の住民のうち約15億人が,それを第2,または第3,または第4の言語として話すことを意味する。さらに,さまざまな国が自国の文化や感性に合うように英語を適応させている。たとえば,英国英語と米国英語には違いがあり,「elevatorエレベーター」と「lift リフト」のように,同じ対象に異なる単語が使用されている。

Engrish” には,アジア以外の製品,道具,入れ墨に中国語と日本語の文字を正しく,あるいは誤って使用する西洋人の平行した傾向もある。“Engrish” は英語以外の話者を嘲笑するために長い間使用されてきたが,近年,コミュニティは、英語の影響を強く受けて独自の方言となったスペイン語の一種である “Spanglish” のように,独自の言語の“mashup” を取り戻している。(*“mashup”:性質・機能の異なる二つのもの(技術・情報・コンテンツなど)を組み合わせて新しく作られた音楽やサービスなど。)2016年の調査によると,全米で40以上の大学が,言語を正規化する(normalize)ために “Spanglish” または “US Spanish” のコースを提供している。

米国では,「“Spanglishはイデオロギーの線に沿って議論されている」とラテン系米国人が米国に同化するのを妨げると主張する,言語学の名誉教授であるドムニタ・デュミトレスク(Domnita Dumitrescu)は書く。対照的に,“Spanglish” の支持者は,「障害ではなく,代わりに,ラテン系とアングロの新しい文化への足がかりになる」と主張している。

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世界中の “Engrish” の例を紹介している(showcases)ウェブサイト ‘engrish.com’ によると,日本の英語は製品や広告のデザイン要素として,モダンな見た目(look and feel)(または単に「クールに見える」)を提供するために使用される。特定のメッセージを伝えるためではなく,雰囲気を伝えるために使用される。これは,意味が明確(explicit)ではなく暗示される(inferred)ことが多い日本の文化に特有のものである。「多くの場合,“Engrishを正しくしようとする試みはなく,日本人の大多数が問題の英語のデザイン要素を読み込もうとすることもない」とWebサイトは述べている。

How "Engrish" was born in Japan
いかにして “Engrish” は日本で誕生したか

ドゥギルにとって,“Engrish”は,カルチャー・ショックの「ハネムーン」期間中に彼が経験した日本文化の奇妙(bizarre)で面白い(entertaining)側面のように見えた。彼が日本に適応し始めたとき,すべてが変わった。その後,“Engrish” はうっとうしくなった(annoying)。
「これは,人々が自分の言語が誤用されていると感じ,帝国主義的(imperialistic)になり,自分たちがよく知っていること,そして物事は特定の方法で行われるべきだと考える不合理的な(irrationality)状態である」とダギルは言う。「私はその典型的な外国人のステージを通過した。」

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しかし,彼が社会に,より溶け込み始めたので,日本人の英語の使用と誤用はもはや不快に(jarring)感じなくなった。それは単に風景に溶け込んでいったので,ドゥギルはすべてが正しく書かれていれば退屈だと言う。

Old roots of a new style
新しいスタイルの古いルーツ

1641年から1853年の間,日本は国民の出国と外国人の入国を禁じたため,自主的に(self-imposed)孤立した。この期間に長崎の港で許可された部外者は,中国人とオランダ人だけだった。
日本は明治時代(1868-1912)の間に世界に門戸を開いた。英語を話す外国人が流れ込み,日本の社会と言語に影響を与えた。“Engrish” という用語は,1940年代に “English” という単語のアジアの誤発音として最初に登場した。1980年代に誤ったアジア英語を表すために使用され始めた。
英語とフランス語は,第二次世界大戦後,特に1970年代と80年代に日本経済が軌道に乗ったときに,日本人が西洋の影響を吸収したのと同じくらいシックでエキゾチックであると見なされていた。たとえば,日本の電子書籍出版者(e-book publisher)である宮崎綾子は,祖父が帽子を指すのに日本語の「帽子」ではなく,日本語でフランス語の chapeau” または「シャッポ(shappo)」を使用したことを思い出す。

しかし,宮崎がウェールズで,日本人が “heaters” を指すために使用する採用された英語の単語である“stove” という単語を使用したとき,人々は完全に混乱しているように見えた。
「それは私自身の 'lost in translation' の瞬間だった」と彼女はCNN Travelに語る。

No immediate need to speak English
すぐに英語を話す必要はない

日本では,学童(schoolkids)は第二言語として英語を最長5年間勉強する必要がある。しかし,多くの日本人は,日常的に英語に触れる機会が少ないため,流暢に話すのに苦労する。日本の英語教育は,実生活で使える実践的なスキルを身につけるためではなく,試験に合格させることに重点を置いている。
2003年,政府はスピーキング・スキルの向上に焦点を移すようにデザインされた5ヶ年計画を導入した。
しかし,日本の “Engrish” と言語教育について書いた東洋大学の田口賀也教授によると,古い習慣は簡単には死なず(die hard),文化は異なった行動をする人々を支持(endorse)しない。

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[学生たち]は今,もっと話したいと思っている。しかし,彼らは おそらく文化のせいで,クラスで発言することをためらっている- 群衆から目立つことは美徳とは見なされない」と田口氏はCNNトラベルに語った。その上,英語と日本語は文法,音声学(phonetics),構文(syntax)の面で離れた世界である。「日本に住む多くの人にとって,英語はそれほど重要ではないことを忘れることはできない。私の両親は英語をまったく話せないが,彼らはそれで完全に元気である。日本では,英語をすぐに学ぶ必要はない」と田口氏は付け加える。

それは,文法上の誤りと厄介な単語の選択が依然として外国人を対象とした英語の記号に忍び寄る理由を説明することができる。
また,プロの翻訳者を雇う企業もあれば,ネイティブ・スピーカーではない社内スタッフ,または費用を節約するために「Google翻訳」などのアプリの利用に依存している多くの企業もある。

Engrish” は,人気のある西洋文化とも関係がある。たとえば,ブラッド・ピットは日本で “Brapi” になり,ジョニー・デップは90年代に “Jyonide” として知られていた,と田口は言う。:

Shifting attitudes
態度の変化

20年以上日本で教鞭をとっている田口さんにとって,学生の英語力(English proficiency)は変わらないが,コミュニケーションや欧米に対する態度は変化している。彼は,若い日本人の間では西洋への畏敬の念が少なく,1990年代後半の日本のバブル崩壊以来急落した(plummeted)人口の高齢化と収入に直面しながら,多くの人が彼らの願望について現実的にとどまろうとしていると言う。
しかし,オリンピックを見越して,日本の地方自治体(municipalities)は,40歳以上の多くのオリンピック・ボランティアに会話英語を教える無料のセッションを提供している。このような英語のセッションで配布されるリーフレットには,ヴィジターを助けるための一般的なフレーズが含まれていると田口氏は説明する。しかし,それは語彙だけではない。

目標は,ボランティアが助けを必要としているように見えるヴィジターに,文法上の誤りや発音の誤りを気にせずに,自信を持って接触できるように教え込む(instil)ことである。“Engrish” に関しては,若い人たちは,その言葉がどこからどのように生まれたのかをあまり考えずに,自分の考えや気持ちを仲間に伝える言葉を選ぶことを優先する(prioritize)と言う。

Engrish” を使用するコピーライターやデザイナーも同様の動機を持っている可能性があると彼は言います。「彼らは単語が文法的に正しいかどうか気にしないかもしれないが,単語が文脈に合うことができるかどうかは気にする。あるいは,英語が上手なので,単語をチェックする必要がないと思うかもしれない」と田口氏は言う。

「東京オリンピック2020の期間中は,もっと “Engrish” を聞いたり見たりすることになるかもしれない。」

(転載了)
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「おまえの英語は “Engrish” だ。」と言われても, “r” と “l” の区別がつかないので,嘲笑されているかどうか 分かりません。残念でした。

添付された写真を見ると-
・“Rapping” は “Wrapping” の間違いでしょう。
・“LET'S MERRY” ?,“Let’s” の後は 動詞でしょうね,“merry” は形容詞です。
    但し,米国のスターバックスでもこの広告があるようです。
・“BAR ROUND” は? “ROYAL DRUNKARD” の部分でしょうか。忠実に訳すと「高貴な飲んだくれ」?
・「犬のおしっこ禁止」は そうはっきりと書け,ということでしょうか。
   そのままだと,「植物に水をやらないでください」?

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