モーリシャスで座礁・燃料油流出事故を起こした日本船主のばら積み船に対する裁判で判決
昨年(2020年)7月,モーリシャスのサンゴ礁に座礁,燃料油を流出させ,その1ヶ月後,船体が分離して離礁,前部船倉部を曳航して領海に沈めた,日本の海運会社(長鋪汽船(株))所有,(株)商船三井がチャーターする大型(載貨重量 約20万トン)バラ積み貨物船 “MV Wakashio” の 船長と一等航海士に対する危険な操船に対する裁判で,モーリシャスの裁判所は12月27日,2名にそれぞれ1年8ヶ月の禁固刑を言い渡しました。
‘BBC’ 電子版が Dec.27,2021付けで これを報じています。
下記,拙訳・転載します。
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“Mauritius oil spill: MV Wakashio ship captain sentenced”
「モーリシャスの油流出:MV Wakashio船長に判決」
モーリシャスの珊瑚礁に座礁した船の船長と1等航海士は,それぞれ20ヶ月の禁固刑を言い渡された。2020年7月に日本所有の “MV Wakashio” から約1,000トンの燃料油が海に流出し,モーリシャスで最悪の環境災害を引き起こした。
治安判事(magistrate)は,この判決が被告やその他の潜在的な犯罪者にとって「教訓となる(serve as a lesson)」ことを望んでいると述べた。
両被告とも安全な操船(navigation)を危険にさらした罪を認めた。2020年7月25日に “MV Wakashio” が座礁する前,船長であるインド国籍の Sunil Kumar Nandeshwarは,船上での誕生日パーティーで多くはないが,飲酒したことを認めた。彼は引き起こされた損害についてモーリシャスに謝罪した。
一等航海士であるスリランカ国籍の Hitihanillage Subhoda Janendra Tilakaratnaは,法廷に寛大さ(leniency)を訴え,逮捕以来家族に会うことができなかったと述べた。
判決の中で,治安判事Ida Dookhy-Rambarunは,有罪の罪状認否と「正しい記録と個人的な状況(clean record and personal circumstances)」にもかかわらず,判決は「完全に当然である(warranted)」と述べた。2人の被告は16ヶ月近く拘留されており,これは彼らの判決に考慮される。
船長の弁護士は,刑務所当局は受刑者に「裁量的寛解(discretionary remission)」を与える権限を持っており,彼の依頼人は「家族との再会を願っている」と述べた。刑務所筋は,船長が火曜日に釈放される可能性が高く,一等航海士は1月15日に釈放される可能性があることを確認した。
モーリシャスは世界的に有名な珊瑚礁の生息地(home)であり,観光客に人気がある。船は,珍しい野生生物の聖域として知られているポワント・デスニー(Pointe d'Esny)に座礁した。 この地域には,ラムサール条約によって国際的に重要な場所として指定された湿地も含まれている。流出の影響に関する科学的研究結果は発表されていないが,環境保護論者(environmentalist)は,それがモーリシャス沿岸で最悪の油流出であったことを認めている。何千人ものボランティアが何日もかけて油をすくい上げ,その広がりを抑えようとした。それは約300m(1,000ft)の珊瑚礁を傷つけ,多くの魚が死んだ。
漁師たちは,自分たちの生活が影響を受けており,以前ほど多くの魚を捕まえられくなったと言う。日曜日に,水産大臣の Sudheer Maudhooは,船の保険会社が,約1,000人の漁師それぞれに,約112,000モーリシャス・ルピー($ 2,580; £1,920)を補償することに同意したと述べた。
災害に関連して他の誰も起訴されていない。座礁船の調査結果,当直士官は誕生日パーティーにとどまることが許可されていたため,船の安全な航行を確保できなかったことが判明している。
(転載了)
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1等航海士が起訴されたことは 彼が事故時の当直士官だったからだと思います。
航海時,このような大型船のブリッジには 当直士官(1等 or 2等 or 3等 航海士:4時間交替)と操舵手,見張り(ワッチ)の3人が常駐するのでは? 航海士不在のブリッジは考えられません。
本判決に対する長鋪汽船(株)と(株)商船三井からのコメントはないようです。
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