“Take Ivy” を撮った写真家・林田昭慶氏,その逝去の年に-
米国のファッション・サイト ‘IVY STYLE’,AUGUST 8, 2013付けで-
“Take Ivy Photographer Teruyoshi Hayashida, 1930-2013” の見出し記事がありました。
下記,拙訳・転載します。
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伝説の写真集 “Take Ivy” とその続編 “The Ivy”,“Take 8 Ivy” を制作した日本人写真家・Teruyoshi Hayashida(林田昭慶)は,8月8日にガンとの戦いで亡くなった。彼は83歳の誕生日までわずか15日達しなかった(shy of)。
林田は1930年に東京で生まれ,明治大学で政治経済学を学んだ。卒業後,カメラの使い方を学び,すぐにフリーランスの写真家になり,日本初のメンズ・ファッション雑誌「男子専科」と「メンズクラブ」で最も有名になった。後者を通じて,林田はVAN Jacketの石津謙介と親しい友人となり,1960年代初頭に「メンズクラブ」でほぼすべてのVAN広告写真を撮影した。
VANの従業員である石津祥介,くろすとしゆき,長谷川ポールが1965年春にアイビー・リーグのキャンパスの短編映画を撮影する計画だったとき,「メンズクラブ」は彼らにプロモーション用のスティル写真を撮るために写真家も連れてくるように頼んだ。林田は当然のように選ばれ,その任務は彼に初めて米国を訪問する機会を与えた。林田は,撮影クルーの邪魔にならない限り,好きな写真を撮ることができた。
帰国して数百枚の写真を現像後,「メンズクラブ」の編集者である西田豊穂は,彼らが素晴らしい仕事をしていたことを知り,VANに,出版社の婦人画報に林田の作品の別の本を映画に添えてリリースさせるよう説得した。
どちらの作品も1965年8月に “Take Ivy” というタイトルでデビューした。映画は本質的に公の場から姿を消したが,林田の本は生き続け,日本,そして後には米国でも,新世代のアイビー・ファンのスタイル・バイブルになった。
日本での林田の伝説は,アイビー・リーグのキャンパスと密接に(inextricably)結びついており,1970年代から1980年代にかけて,東海岸の特定の8つの場所を撮影するためにさまざまな出版物で何度も戻ってきた。彼は年をとるにつれて,アイビー・リーグへの関心は,学生のファッションから伝統的な建築への崇拝(veneration)へと広がった(broadened)。彼の1983年の作品,“The Ivy” は,ほとんど人が写ってない大学のツタに覆われたレンガと石の建物に焦点を当てている。
2010年に “powerHouse” が英語でリリースした “Take Ivy” により,林田の作品は以前よりもさらに多くの,そのほとんどは本が出版されたときには生まれていなかった読者をインスパイアした。
1965年,日本人の海外旅行のごく初期の頃,林田と若いVANの従業員は,彼らの愛するアイビー・スタイルの国である米国を訪れる機会を得ることができてとても幸運だった。VANと「メンズクラブ」を中心としたこの “アイビー・カルト” にとって,“Take Ivy” の旅はメッカへの巡礼だった。林田の学生への深い敬意は,学年末の怠惰な日々(lazy days)の大雑把なスナップであったかもしれないものを永続的な文化的人工物(cultural artifacts)に変える。林田はファインダーを通して,当時の米国人が当たり前のように片付けていたであろう魔法のようなものを見た。
そして彼の作品のおかげで,60年代後半の反体制文化の(countercultural)の波の前のアイビー・スタイルの最後の苦闘(throes)である時代のスタイルの,視覚的な証拠資料(documentation)は永遠に生き続ける。— W. DAVID MARX
(転載了)
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映画の Still Photo.が 雑誌となったこと,発行40余年後に米国で評判となり,英語版が出版されたこと,いずれも故人には予想外のことだったでしょう。
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