“comity” の和訳は 「礼譲」だがー
英語の文を読んでいて “comity of nations” という言葉が出てきました。
“comity” が分からず 英和辞書を見るとー
発音[US] kɑ́məti | [UK] kɔ́miti
‘international comity’ :国際礼譲
‘negative comity’:消極的礼譲
‘positive comity’:積極的礼譲
英語のサイトで “comity” について書いてあるサイトを見るとー
名詞 ‘comity’ は,人,組織,および国の間の礼儀正しさ(civility)または礼儀(courtesy)の状態を意味する。政治やビジネスではめったにあることではないが,相互の尊重と友情が期待される。
‘comity’ は,古くからその本来の意味を保持している珍しい言葉の1つである。ラテン語の形容詞 ‘cōmis’,「礼儀正しく(courteous),友好的(friendly)」は,「礼儀(courtesy)または友好(friendliness)」を意味する名詞 ‘cōmitātem’ に発展し,最終的には16世紀に英語の ‘comity’ に発展した。1862年に造られた "comity of nations"(国際礼譲)というフレーズは,国家間の友好的な行き来(back-and-forth)を奨励する互いの法律や制度の相互尊重(mutual respect)を指す。
Definitions of comity:
a state or atmosphere of harmony or mutual civility and respect
調和または相互の礼儀正しさと尊敬の状態または雰囲気
types: comity of nations
courteous respect by one nation for the laws and institutions of another
ある国の,別の国の法律や制度への丁寧な尊重
恥ずかしながら,浅学にして 日本語の「礼譲」も ほとんど馴染みがないので調べるとー
『礼儀正しく,へりくだった態度をとること。』とあり,
例文
・・・さもなければ我我はとうの昔に礼譲に富んだ紳士になり,世界も亦とうの昔に・・・ 芥川竜之介「侏儒の言葉 」
・・・旨とし清潔を貴び能く礼譲の道を修め、主客応酬の式頗る簡易にし・・・ 太宰治「不審庵 」
・・・順と倨傲と、あるいは礼譲とブルタリティと、二つの全く相反するもの・・・ 寺田寅彦「雑記」
「国際礼譲」(by 平凡社 世界大百科事典)
『国家間の関係を円滑にするために,儀礼上,諸国によって尊重されている慣行。広義の国際慣行に含まれるが,礼儀,便宜,好意に基づく行為という点で,国際慣行よりは狭い概念である。国家の代表者の敬称,国家の代表者の公式の会合における席順,国家の代表者や軍艦の公式訪問に対する礼砲,犯罪を犯した外国の軍隊構成員の身柄引渡し,などがこれにあたる。国際礼譲は国際法の規則ではないので,これに反する行為を国家が行ったとしても,それによってその国家が国際法上の責任を問われることはない。せいぜい道義的非難をあびるにすぎない。もっとも,国際礼譲が諸国の法的信念を伴うことによって,国際法の規則に発展することも少なくない。たとえば,今日の外交使節や外国人の待遇に関する国際法の規則の多くは,国際礼譲が慣習国際法に発展したものである。』
「礼譲」を校訓とする中学や高校もあるようです。
私が「礼譲」と言う言葉に馴染みがない理由は,浅学もさることながら,「礼儀正しく,へりくだった態度をとること」に縁遠いから?
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