さらば “iPOD”。: 浮世逍遥録

2022年5月22日 (日)

さらば “iPOD”。

初代 “iPhone” を発売してから間もなく15年になるAppleが，姉妹製品 “iPod touch” の販売を終了します。同社は米国時間 5月10日， “iPhone” と “iPod” のハイブリッド・デバイスとして2007年に発売した “iPod touch”の販売を，在庫限りで終了すると発表しました。これにより，20年前に登場し，エンターテインメント業界の改革に寄与した “iPod”シリーズの歴史が幕を閉じます。
これを伝える各メディアの報道の中から ‘The Washington Post’ （May 10，2022付け）を読んでみます。
下記，拙訳・転載します。

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“The iPod is finally dead. Long live the iPod.”
「iPodはついに死んだ。 iPodに長生きを。」

Appleの名高い Mp3プレーヤーは間もなく消滅するが，一部の人々はそれらを実行し続けることに取り組む

2000年代に生き，働き，育った世代にとって，“iPod” という言葉は音楽の代名詞だった。それらの白いイヤ・フォン（ear buds）の光景を逃れることはほとんど不可能だった。そして，スマートフォンが私たちの生活を引き継ぐスピードにもかかわらず，Appleは大騒ぎせずに（without much fuss）デジタル・メディア・プレーヤーを作り続けた。

Not anymore.
もうこれ以上。

火曜日（5月10日）の声明の中で，同社は第7世代 ‘iPod touch’ を「供給が続く間（while supplies last）」販売し続けると告げた。これは，“iPod”の時代がついに終わるかもしれないという静かな確認である。

この動きは，特定の年齢の技術者（techies）にとってはほろ苦いもの（bittersweet）だが，まったく驚きではなかった。何年もの間，Appleはポータブル・メディア・マシンのラインをゆっくりと間引いてきた（culled）。クラシックなクリック・ホイールを備えた最後の “iPod” は2014年に製造中止になり，3年後にはかつて人気のあった ‘iPod nano’ がそれに続いた。

「今日，“iPod” の精神は生き続けている」と，Appleのワールドワイド・マーケティング担当シニア・バイス・プレジデントであるグレッグ・ヨスウィアックは述べている。「‘iPhone’ から ‘Apple Watch’，‘Home Pod mini’まで，そして ‘Mac’，‘iPad’，‘Apple TV’まで，すべての製品で素晴らしい音楽体験を統合した。」

今のところ，“iPod” のような単一目的のデバイスの考えは絶望的に過ぎ去ったと感じることができる。ある程度，Appleは同じように感じた。オリジナルのモデルは，購入，リッピング，海賊版の音楽のみを再生したが，その後にビデオを再生するバージョンが続き，最終的には今週まで続くタッチ・スクリーン・モデルが続いた。しかし，“iPod” が最終的に，（そして完全に）‘iPhone’ の影に隠れたとしても，‘iPod’ が会社とそれらを使用する人々に与えた影響を誇張することは難しい。

最近，Appleは2兆ドル以上の価値があり，コンピュータ・プロセッサの設計からオスカーに値する映画制作まですべてに注意を向けている。しかし，オリジナルの “iPod” のリリースに至るまでの数年間，Appleは，“iPod” の作成者であるTony Fadellが彼の新しい本で「デス・スパイラル」と呼んだものから生まれたばかりだった。

一連のかなり正しくない（not-quite-right）リーダーの後，物惜しみしない（prodigal） CEOであるスティーブ・ジョブス（Steve Jobs）が会社に戻り，1998年に多数の安価でカラフルな ‘iMac’ でコンピュータのラインアップを揺るがした。

しかし，2001年10月に発表された最初の “iPod” は，復活したAppleを別の道へと導いた－それは，机の上だけでなく，人々のポケットの中にその場所を築くものだった。

過去に，Appleは，失敗した（ill-fated）デジタル・カメラや初期のPDAなどの他のスーパー・ポータブル・ガジェットに手を出して（dabbled）おり，その永続的な遺産は，“The Simpsons” の使い捨てジョークだった。しかし，本 “The Cult of iPod” の著者であるリアンダー・カーニー（Leander Kahney）によれば，同社の最初の MP3プレーヤーは違っていた。

「それは本当に素晴らしいガジェット（gadget）だった」と彼はワシントン・ポスト紙に語った。「とても使いやすく，たくさんの喜びと楽しみの元だった－もちろん，それが搭載する音楽によった。そして，それはAppleを完全に変革し，‘iPhone’ の基礎を築き，大規模な成長を開始した製品だった。」

その後の20年間で，Appleは2ダースを超える “iPod” モデルをまとめてリリースしたが、ストレージ容量の異なるタイプ（variants）は含まれていない。そして，“iPod” の保有期間中，数え切れないほどの技術トレンドが行き来した－ここでは，あなた，ネットブック，3Dテレビを見ていこう。それが，企業が次の製品と同じくらい優れている業界でのやり方である。

しかし，Appleがこれまでに製造する予定の最後の “iPod” が現在販売されているとしても，それらのデバイスがすぐに文化的意識から完全に消えるようには思えない。

「私は “iPod” を成長させなかった」と，アイダホ州ボイジーに住む，Appleが最初に “iPod” を発表した後に生まれた19歳の学生である Bee Shipinskiは言った。「それらは本当に高価だった。」しかし，いじくり回す傾向に加えて，ダンス・シルエットのコマーシャルに子供時代に頻繁に触れることで，Shipinskiはこの専用の音楽マシンのファンになった。

「“iPod” では，音楽を再生するだけだ。インターネット接続は気にせず，ライセンスも気にしない」と “they/them” の代名詞を使用するShipinskiは語った。
「ファイルを探して読み取り，そう，これが私たちがやろうとしていることだ。私たちはあなたの音楽を再生するつもりです，そして私たちはそれを本当に再生するつもりだ ---。」

Shipinskiは，Appleストアの計算された滑らかさに挑戦するのではなく，2019年にリサイクル・ショップで最初の “iPod” を購入し，最終的には新しい “iPod” を試してみることにした。“iPod” やその他の2000年代初頭の音楽プレーヤーに関心のある100万人以上のチャンネル登録者を集めた ‘Dank Pods’というYouTuberの修理ガイドの助けを借りて，Shipinskiは最初の変更（modifications）または，‘mods’ を行った。

シピンスキーだけではない。彼らは，修理を始め，場合によっては，古い “iPod” を以前よりもうまく機能するようアップグレードする人々の集団の1つである。これらの微調整された（tweaked）モデルは，古くて比較的繊細なハードドライブではなく，安価で広々としたSDカードから音楽を読み取るように変更されている。アイルランドのウェスト・コーク出身の17歳の “Leek Soup” －別名（a.k.a.：as known as） Adam Warner－ によると，“iPod” ファン向けのDiscordチャンネルで会ったことがある－人々は，ハードドライブが使用していたスペースに大きなバッテリーを取り付けることがよくある。

「他の改造には，“iPod” の外装をさまざまな色のフェースプレート，クリック・ホイール，リア・ケースでパーソナライズすることが含まれる」とWarner氏は述べている。「人々はまた，“iPhone” から [古い“iPod” ]にタプティック・エンジン（taptic engines）をインストールして，少し触覚的なフィードバックを提供している。」

つまり，そうです。Appleの発表は公式に一つの時代の終わりを示している。しかし，eBayで販売されている多くのモデルと，新世代のファンがそれらをより良くすることへの熱意から判断すると，人々が最終的に貴重な “iPod” から移行しなければならなくなるまでには，しばらく時間がかかるかも知れない。

（転載了）
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下に，“iPOD” シリーズを年代別に示します。