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2022年9月10日 (土)

3年前,自動車運搬船 ‘Golden Ray’ が転覆した真の理由

2019年98日の早い時間にジョージア州ブランズウィック(Brunswick)の港を出てすぐに 韓国の自動車運搬船Golden Rayが転覆してから 2年後,2021年9月17日に 国家運輸安全委員会(NTSBthe National Transportation Safety Board)は事件に関する最終報告書を発表しました。

事故は,乗船したパイロットの監督下で,船が外洋に向かって68度旋回したときに発生しました。
この報告書には転覆した理由- 不適正な安定性-が示されましたが,何故,その状態で出港したのかが示されていませんでした。

SAFETY4SEA’,February 4, 2022付けで
Why did MV Golden Ray Capsize?
「‘Golden Ray’ は何故 転覆したのか?」
のタイトルで何故 転覆する不安定な状態となったのかが示されました。

下記,拙訳・転載します。
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事故は,乗船しているパイロットの監督下で,船が68度の方向転換を行ったときに発生した。

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MV Golden Ray’ は,201998日の早朝,ジョージア州ブランズウィック(Brunswick)の港を出発中に転覆した。2年後,国家運輸安全委員会 (NTSBthe National Transportation Safety Board) は,転覆の考えられる原因として,一等航海士がバラスト量を安定性計算プログラムに入力する際に誤りを犯したことー その結果,船の安定性について誤った判断を下すことになった - に言及した調査報告書を発表した。報告書の発表後,サル・メルコリアーノ(Sal Mercogliano)博士は,多くの問題が絡んでおり,NTSB が「誰が」,「何を」,「どこで」,「どのように」に関して調査した一方で,最大の疑問である「なぜ?」に対処できなかったことを強調している。

ビデオでは,歴史,刑事司法,政治学部門の議長であり,元商船員であり,米国商船アカデミーの海事産業政策の非常勤教授であるサル・メルコリアーノ博士が,ロール・オン/ロール・オフの車両運搬船 ‘MV Golden Ray’ の転覆に関する NTSB の報告を確認し,その日の出来事と,NTSB に提示された証拠とその分析を検証し,一等航海士の肩にまともに責任を負わせた彼らの最終決定に疑問を呈している。

「ほとんどの NTSB レポートと同様に,「誰が」,「何を」,「どこで」,「どのように」 -を広範囲にわたって調査し,詳しく説明している。しかし,明らかに(glaringly)欠けているのは,“Why”である。」メルコリアーノ博士は言った。

さらに,IIMS による最近の出版物で,メルコリアーノ博士は,NTSB が天候,輸送中のバラストまたは燃料の移動,推進システムとステアリング・システムの異常(malfunction),貨物の移動,海峡内の障害物,あるいは貨物艙内の火災を除外していると書いている。
他に誰も現れず,当局は,船の21個のバラスト・タンクからの測定値を船上の安定性コンピューター(LOADCOM)に適切に入力できなかった,積み付け担当士官でもある,一等航海士の行動,またはより適切には,不作為(inactions)に焦点を当てた。 このエラーにより,船舶の復原性が誤って決定された。そのエラーと,船が速度を上げ,外洋に向かう最終ターンで船を適切に正すための適切なメタセントリック(metacentric)高さ (GM) を船が欠いていたため,船の(横)横傾斜(heel)が8°を過ぎたときに重心と浮心(浮力中心)が船を転覆させる結果になった。

事故に関して,メルコリアーノ博士は,「IIMS 2021 安全と損害防止状況概要」(IIMS 2021 Safety & Loss Prevention Briefings Compendium)に掲載された記事で,NTSB レポートが回答を提供していない次の ‘WHY’ について質問している:

 一等航海士(First Officer)として10年間経験があり,自動車運搬船に 6年間,本船に6ヶ月以上勤務していた一等航海士(Chief Mate)が,バラスト・タンクから ‘LOADCOM’ に正しいデータを入力できなかったのは何故か?

 操舵士(quartermaster)に,コンピューターの水位と実際の測定水位が一致することをタンク水位を確認するよう命じた後,彼が間違ったデータを入力したのは何故か?

 このデータを LOADCOM コンピューターに自動的に直接リンクするシステムの自動化機能を使用できなかったのは何故か?

最後に,NTSB はこれらの質問をしなかったのは 何故か?

「報告書で一度も議論されていないのは,船のバラスト水処理プラントである。これは,船の水バラスト・システムの詳細を示す 46 ページの図に示されている。」 メルコリアーノ博士は,‘Golden Ray’ がブランズウィックの前の港であるフロリダ州ジャクソンビル(Jacksonville)に入港するとき,船を浮かせて必要な喫水31フィートを作るために1,500 MTのバラストを降ろしたと説明した。
出港後,バラストを積むことはなかった。ブランズウィックに到着したとき,最大許容喫水は 33 フィートで,36 フィートの水路を航行するときにバラストを積むことができなかった。ブランズウィックでは,船は車両を降ろして,更に積み込み,貨物重量を 373 MT 増やしたが,バラストを積むことができなかった:何故?

「その答えは,船がバラストを積むとき,水がバラスト水処理プラントを通過するという事実にある。

水がタンクに積み込まれる前に,水から堆積物(sediment),沈泥(silt),および生物を除去するのに時間がかかる。セント・サイモンの茶色の水と比較して,大西洋の開けた青い水にはこの物質が少ない。
さらに,米国沿岸警備隊によると,バラスト水処理プラントで集められた物質は,米国の水域に排出することはできず,さらに処理するために陸上にポンプで送られる。では,経験豊富な一等航海士が,コンピューターの測深が確認されたことを知っていたのに,なぜ ‘LOADCOM’ に誤った読み取り値を入力したのだろうか?」彼は記事を続けた。

LOADCOM’ データが事故で破壊されたため,確実なことはわからないが,一等航海士は,船が最悪の(catastrophic)傾斜運動に苦しむことを考えずに,船が許容できる GM を示すことを意図していたようである。彼はおそらく,バラスト水を海岸から離れて青い海で積み込むつもりだった。一等航海士がブランズウィックを離れたらバラストするつもりだったのか,それともボルチモアでの最終的な貨物操作が完了するまで待つつもりだったのかはわからない。

NTSB がこの問題に対処できていないということは,現在,過去 2 年間,ジョージア州ブランズウィックに出入りする自動車運搬船,および米国内の他のすべての港に乗船している職員が,彼らのバラスト水処理プラントの汚れを避けるために誤ったデータを入力している可能性があることを意味する。

LOADCOM’ コンピュータをバラスト・タンク センサーに直接リンクし,測深(soundings)で検証し,その後,船舶の安定性を判断するために会社のエンジニアリング部門にアップリンクし,負荷と安定性のデータの検証を待つことすることをしなかった失敗は,本報告では扱われなかった。しかし,これらの要素が事故の原因となった。

「一等航海士のみに焦点を当て,‘G-Marine Services’ が船の安定性に関する効果的な船舶管理システムを持っていないことに焦点を当ててないことによって,米国海域で別の自動車運搬船が転覆する可能性は排除されていない,あるいは 大幅に減少さえしていない。」メルコリアーノ博士はこう締めくくった。

(転載了)
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船舶 および その運航(安定性,バラスティング,バラスト水処理装置,・・・ )などに関するある程度の知識がないと理解が難しい内容かも知れません。
例えば GMM(メタセンター)とは何か,など・・・ 説明するのが大変なので省略します。

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