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2022年10月 5日 (水)

『天声人語』で気になった「パスタ」と「人ごと」。

10月2日(日),朝日新聞の天声人語は 「イタリアでの光熱費節約のためのパスタの新しい茹で方論争」について書いていました。

「沸騰した湯にパスタを入れ,2分後に火を止めて蓋をする。そのまま通常のゆで時間より1分だけ長く置く。年間 数千円の光熱費が節約できるというパスタ調理法」に対してー
① ウクライナ侵攻のあおりを受けたインフレで国民食のパスタの調理法まで手をつけるようになった深刻な状況。
② ベタベタして 本来のパスタではないとする調理人の批判。
を書いていました。

この一文では ずっと「パスタ」と書き,最後に一度だけ「スパゲッティ」が出てきました。
私は 最初から 「スパゲッティ」のつもりで読んでいて,それでも今どきは 天声人語子も「スパゲッティ」を「パスタ」を呼ぶのだと思っていました。

先日のTV番組で 「スパゲッティ」の写真を見せて 「何か?」と尋ねて,年齢別に「スパゲッティ」と呼ぶか「パスタ」と呼ぶかを調べていました。結果は 若い世代は ほぼ「パスタ」,60歳代でも「パスタ」と呼ぶ人が多く(特に女性),驚きました。
私なら「スパゲッティ」と答えます。「パスタ」には「マカロニ」も「ペンネ」も「ラザニア」もあります。
「スパゲッティ」を見て 「パスタ」と言うのは 「向日葵」を見て「花」と言うようなもので,間違いではありませんが 大雑把すぎます,「象」を見て 「哺乳類」と言うほどではありませんが。

古希を過ぎた私の世代では 子供の頃,パスタ(こんな呼び方はなかった)では 「スパゲッティ」よりも「マカロニ」の方が優勢でした。
1960年代のイタリア製西部劇を 米国では「スパゲッティ・ウエスタン」と呼んだのに対して 日本では「マカロニ・ウエスタン」と呼んだのは当然です。(*映画評論家の淀川長治が「スパゲッティでは細くて貧弱そうだ」ということで「マカロニ」と呼び変えたという説がある。)

因みに日本で「パスタ」という言葉が一般的になったのがいつか知りませんが,「アルデンテ」を知った のは 1965年(私は高校2年生)に読んだ,伊丹十三氏(当時は “一三”)のエッセー集「ヨーロッパ退屈日記」ででした。

話を天声人語に戻し,もう一つ「日本も人ごとではない。」の一文も気になりました。
他人事」と書くべきところを「人ごと」と書いていました。
最近は,何の障害もなく(?)社会生活をおくっていると思われる方が「他人事」を何の疑いも躊躇いもなく「たにんごと」と読んだり,言ったりすることが多くなったので,正確を期すため,止むを得ず「人ごと」と書くようになったのでしょうか,これが 朝日新聞社の標準記述法とするなら,世間の誤りへの迎合性が残念です。

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