« 眉刷毛万年青が今年もー | トップページ | 見出しに見る勘違い(その851) »

2022年10月26日 (水)

米国とドイツの関係,そして -

米国人とドイツ人は 互いをどのように見ているのか,
Pew Research Center’,Oct.18, 2022付けで
The U.S.-German Relationship Remains Strong
「米独関係は 依然 強い」の見出し調査報告がありました。

下記,拙訳・転載します。
***********************

両国の人々は大西洋横断の安全保障に引き続き取り組んでいます。

001m_20221020050801 ロシア,中国,そして低迷する(flagging)世界経済からの困難な課題が世界中に波及する(ripple)中,米国人とドイツ人は,両国間の関係は良好であると言い続けている。実際,米国との関係は良好であると答えたドイツ人 (82%) は,ピュー研究所とケルバー財団(Körber-Stiftung)がこの問題について質問を始めた 2017年以降よりも多くなっている。米国人の 81% もまた、大西洋横断関係(the transatlantic relationship)を良好であると特徴付けているが,パートナーシップの特定の側面や,ロシアと中国がもたらす脅威があるとすれば,それに対する認識については,両国間に相違が残っている。

ほとんどの米国人とドイツ人は、ヨーロッパの安全保障を守る上でお互いをパートナーと見なし続けており、各国の国民は、自国と同盟国を守るために軍事行動を利用することを喜んで支持している。各国の大多数はまた,ロシアとの取引において相手国を良きパートナーと見なしている。しかし,ドイツ人は,米国のパートナーシップが環境を保護する方法についてより懐疑的であり(skeptical),米国人は,中国との取引において,ドイツがパートナーであることを比較的確信していない。

民主党や民主党寄りの無党派層は、共和党や共和党に傾く人々よりも、ドイツはさまざまな問題でパートナーであると言う傾向があります。両国の人々はまた、迫り来る冬がヨーロッパのエネルギー供給を圧迫する恐れがあるため、ヨーロッパはロシアのエネルギーから独立するのに十分なことをしていないと考えている。

002_20221020051001

ドイツ人は,米国人が英国を最も重要なパートナーであると考える傾向があるにもかかわらず,米国が彼らの卓越した外交政策のパートナーであると言う傾向がある (調査は,エリザベス女王 2世が 最近亡くなる前に行われた)。また,米国人はドイツ人よりもロシアと中国を自国に対する軍事的脅威と見なす可能性がはるかに高い。特に年配の米国人は,ロシアと中国を主要な軍事的脅威と見なす可能性が高い。

ロシアのウクライナ侵攻のより直接的な影響の 1つについては,米国人とドイツ人の両方がスウェーデンとフィンランドの NATO加盟を強く支持している (それぞれ 60% 75%)。またドイツ人は,ロシアや中国よりも米国との緊密な関係を望む傾向が強い。しかし,どちらの国民も民主主義を促進するために軍隊を利用することに懐疑的(skepticism)であり,どちらも民主主義国家からのエネルギー供給の購入のみを完全には支持していない。

これらは,ピュー研究所が718日から821日にかけて米国で12,147人を対象に行った調査結果の1つと,2022 81日から 14日までの米国の 7,647 人,および 202282 日から 11日までにドイツで実施された 1,088 人の成人の Körber-Stiftung 調査を含む。これは、ピュー研究所のアメリカン・トレンド・パネルで米国の調査がオンラインで実施された最初の年である。それ以前の 2017年から2021年まで,米国の調査は電話で実施されていた。Körber-Stiftung 調査の追加結果は,新しくリリースされた「Berlin Pulse」の出版物で確認できる。ドイツの調査は,2022年を含むすべての年に電話で行われた。

The bilateral relationship between the U.S. and Germany
米国とドイツの二国間関係

米国人とドイツ人のどちらも,現在の二国間関係について圧倒的に肯定的であり,両国の大多数が2022年には関係がある程度または非常に良好であると考えている。

003m_20221020050801 2021年の両国の首脳陣の交代後,ドイツ人は二国間関係についてかなり楽観的になった。ドイツでは前向きな感情が高まり続けており,米国との関係は良好であると回答した人の割合は過去最高の 82% に達している。これは,昨年から 11ポイント増加し,過去 2年間で肯定的な評価が 4倍以上になったことを表している。

関係に対する米国人の評価も2021年に大幅に改善され,今年も圧倒的に肯定的である。全体として,民主党と共和党は,ドイツの関係が良好かどうかについて同様の感情を持っている (それぞれ 84%80%) が,民主党は関係についてより強く肯定的である。特に,民主党支持者と民主党寄りの無党派層は,ドイツとの関係が非常に良好であると回答する割合が 2倍以上になっている (22% 10%)

The American-German partnership on key issues
主要問題に関する米独パートナーシップ

米国人の約半数以上が,テストされた 5つの重要な問題すべてにおいてドイツがパートナーであると述べており,68% がドイツをヨーロッパの安全保障を守るパートナーであると考えている。また,約10人中6人の米国人が,ドイツは環境保護とエネルギー源へのアクセスを確保するためのパートナーであると述べている。しかし,ロシアと中国との取引でドイツをパートナーと呼ぶ米国人は,それぞれ56%52%にすぎない。

004m_20221020050801 共和党員と共和党寄りの無党派層の過半数は,ほぼすべての問題でドイツをパートナーと見なしているが,民主党支持者と民主党寄りの無党派層は,テストされたすべての問題でドイツをパートナーと見なしている可能性が高い。この格差は,エネルギー源へのアクセスを確保し,環境を保護する上で最大のものである。

多くのドイツ人が,2つの重要な問題で米国をパートナーと考えている。約10人に8人のドイツ人が,米国はヨーロッパの安全保障を守るパートナーであると考えており,約10人に6人が,ロシアとの取引において米国をパートナーと考えている。

ドイツ人は,米国がエネルギー源へのアクセスを確保するパートナーであるかどうかについて意見が分かれている。調査対象のドイツ人の半数近くが米国をエネルギーのパートナーと見なしている一方で,45% は米国をパートナーとは見なしていないと答えている。2021年からわずかに増加したが,米国が中国との取引においてパートナーであると答えたドイツ人はわずか48%で,米国が環境保護のパートナーであると答えたのはわずか40%だった。

さらに,若いドイツ人は,環境に関する米国とのパートナーシップに批判的である (59% が,米国はパートナーではないと述べている)。また,すべての問題について,旧東ドイツの人々は,旧西ドイツの人々よりも米国とのパートナーシップに批判的である傾向がある。政治的には,緑の党の支持者は,社会民主党 (SPD) CDU/CSU を支持する人々よりも,米国を中国との取引におけるパートナーと見なす可能性が高くなる。

Most important foreign policy partner for U.S. and Germany
米国とドイツにとって最も重要な外交政策パートナー

005m_20221020050901 米国とドイツの関係は比較的堅固な基盤にあるが,自国の最も重要な外交政策のパートナーを指名する際に,各国民は異なるイメージを描く。米国人は,英国が自国の最も重要な外交政策のパートナーであると言う可能性がはるかに高く,これは 2つの英語圏の国の間の歴史的なつながりを浮き彫りにしている。

4分の1 の米国人は,英国が米国の外交政策にとって最も重要なパートナーであると述べている。リストの次に下にあるのは,11% が中国を米国の最も重要な外交政策のパートナーだと考えており,6% がイスラエル,5% がカナダを挙げている。ドイツが米国にとって最も重要な国際パートナーであると答えたのはわずか 3% で,今年の調査の自由回答形式の質問で 5 位にランクされた。米国のパネリストの 3 分の1以上がこの質問に回答しなかった。

ドイツ人の間で,最も重要な外交政策パートナーは米国で 36%,フランスが 32% と僅差で続く。これら 2つの伝統的な同盟国に大きく遅れをとっているのは,ロシア (3%),欧州連合 (2%),中国,トルコ,ポーランド (それぞれ 1%) である。

006h_20221020050701 調査方法が2022年に電話から Webパネルにモードが移行したため,米国での以前の調査との比較はできないが,2017年から 2021年にかけて,この質問に関して米国人の間で同様のパターンが見られ,英国が常にトップで,中国が通常 2位だった。 

2022年には,共和党は民主党よりもイスラエルを外交政策のパートナーとして挙げる可能性がはるかに高くなる。また,18歳から 29歳の米国人は中国を外交政策における最も重要なパートナーとして挙げており,年配の米国人は圧倒的に英国を挙げている。

ドイツの人口動態(demographic)の違いは,最も重要な国際パートナーに関して深刻ではないが,旧西ドイツの人々は,旧東ドイツの人々と比較して,米国を最も重要なパートナーとして挙げる可能性が高くなる。

2020年以前のドナルド・トランプ大統領時代,ほとんどのドイツ人はフランスを最も重要なパートナーとして選択し,米国は通常2番目だった。しかし,ジョー・バイデン大統領が指揮を執って以来,ドイツ人は米国が彼らの最も重要なパートナーであると言う可能性がはるかに高くなった。これは,過去 5年間のピュー研究所の世論調査と分析における,ドイツと西ヨーロッパにおける米国とその大統領に対する全体的な態度を反映している。

China and Russia as a military threat
軍事的脅威としての中国とロシア

10人に1人の米国人が中国を最も重要な外交政策のパートナーとして挙げているにもかかわらず,約3分の2 の人が中国を米国の安全保障に対する軍事的脅威と考えている (64%)。また,米国人がロシアの,ウクライナ侵攻に対する懸念を共有し続けているように,同様の割合がロシアを軍事的脅威として挙げている (66%)

他方で,ロシアまたは中国のいずれかが自国の安全保障にとって主要な軍事的脅威であると言うドイツ人の割合は,はるかに少ない。ロシアが主要な軍事的脅威であると答えたドイツ人は約10人に2(22%) に過ぎず,中国について同じことを言った人はさらに少数 (7%)だった。これは,米国人がロシア軍について重大な懸念を表明する可能性がドイツ人の3倍,中国について懸念している可能性が約9倍であることと同じである。しかし,ドイツ人の44% は中国を少なくとも小さな軍事的脅威と見なしており,72% はロシアについても同じことを言っている。

007_20221020051001

年配の米国人は,若い米国人よりも,中国とロシアからの潜在的な軍事的脅威についてはるかに懸念している。ドイツの年齢差はそれほど劇的ではないが,年配のドイツ人は,若いドイツ人よりもロシアを軍事的脅威と見なす傾向がある。

008_20221020051001

共和党員は,民主党員 (58%) よりも中国による軍事的脅威 (75% が重大な軍事的脅威と答えている) を懸念しており,民主党員 (69%) は共和党員 (64%) よりもロシアを脅威と見なす可能性がやや高い。これは,米国の 2 つの主要政党の支持者の間での中国とロシアに対する全体的な態度と一致している。

Involvement of American and German military forces in foreign conflicts
外国紛争における米国軍とドイツ軍の関与

009h_20221020050701 米国人とドイツ人の圧倒的な割合は,自国とその同盟国の安全を守るために外国の紛争で自国の軍隊を利用すべきだと信じている。ほぼ 10人中9人の米国人が,米国の安全を守るために軍隊が関与すべきだと言い,約4分の3 が,米国の同盟国を守ることに同様に言っている。ドイツ人のおよそ 4分の3 が,自国とドイツの同盟国を守ることについて同じことを言っている。

しかし,国外で民主主義を促進するために軍隊を利用することに関しては,米国人の過半数 (58%) が,この目的のために米軍を利用すべきではないと答えている。国外での民主主義の推進に軍隊の居場所があると考えている米国人はわずか 38% である。これは,他の国で民主主義を促進することを外交政策の優先事項の中で最も重要度の低いものとしてランク付けしている最近の米国の世論と一致している。

ドイツ国民は,民主主義の拡大のためにドイツ軍を利用するかどうかについてほぼ均等に意見が分かれており,49% がそうすべきであると答え,46% がそうすべきではないと答えている。

年配の米国人は,若い米国人よりも軍隊による民主主義の促進を支持する傾向があるが,65歳以上の年配者でも半分未満である。また,民主党は共和党よりも,米軍が海外での民主主義を強化すべきだと考える傾向がわずかに高い (それぞれ 42% 35%)

NATO’s expansion
NATO
の拡大

010m_20221020050901 ロシアのウクライナ侵攻を受けて,スウェーデンとフィンランドはNATO(北大西洋条約機構)への加盟を申請した。この申請は,NATO加盟30ヶ国による批准の過程にあるが,米国とドイツの両方が昇格を承認している。両国の国民は,スウェーデンとフィンランドのNATO加盟を心から支持しており,反対する人はほとんどいない。

ドイツ人の 4分の3 が,スウェーデンとフィンランドが NATO加盟国になる可能性を認めていると述べており,米国人の10人に6人も賛成している。各国で,加入(ascension)に反対する人は 10人に1人未満である。米国では,3分の1 NATOメンバーシップの変更に賛成も反対もしていないが,ドイツでは 16% がこの問題について中立である。

ドイツでは,主要な人口統計グループ全体で,スウェーデンとフィンランドの NATO加盟への支持が高くなっている。しかし,西側 (78%) と比較して,旧東ドイツ (65%) の人々の間では,加盟に対する支持がわずかに低くなっている。そして,年配のドイツ人は,若いドイツ人よりも潜在的な拡大をより承認しているが,違いの多くは,若いドイツ人が,加盟に反対するのではなく,賛成も反対もしないと言う可能性が高いためである。

011h_20221020050701 同様に,この質問に対する米国人の人口統計上の違いは,主に賛成する人と中立を保つ人との間で生じる傾向があり,反対するのは少数派だけである。たとえば,男性の 10人中7人が,フィンランドとスウェーデンが NATOに加盟することを認めると答えているのに対し,女性は 53% である。しかし,これは女性の 41% がスカンジナビア諸国の NATO加盟に賛成も反対もしていないと答えているのに対し,男性のその割合は 23% しかない。(女性はまた,外交政策の知識に関する最近のピュー研究所の調査で,国際問題の詳細に関する質問について確信が持てないと言う可能性が高かった。 )

教育水準が高く,年配の米国人は,スウェーデンとフィンランドの NATO加盟を支持する可能性も高くなる。しかし,繰り返しになるが,違いの多くは,若くて教育を受けていない米国人が,NATOの拡大を承認も不承認もないと言う可能性が高いためである。

この問題については,党派間のわずかな違いもあり,民主党は共和党よりもスウェーデンとフィンランドの NATO加盟を支持する可能性が高い。これは,NATOに対する米国の党派的態度に関する他の世論調査と一致しており,民主党員は共和党員よりも組織に対して好意的であり,加盟に利益をもたらす可能性が高いことを示している。

Energy security
エネルギー安全保障

012m_20221020050901 ロシアのウクライナ侵攻とそれに続く世界のエネルギー市場の混乱により,迫り来る冬と,ロシアの大量のエネルギー輸出なしで対処するヨーロッパの能力についての懸念が生じている。そのために,今年の調査では,米国とドイツの国民がどの国からでもエネルギーを輸入する気があるのか,それとも民主主義国だけからエネルギーを輸入するのか,そしてヨーロッパがロシアのエネルギー供給から独立するために十分なことを行っているのかについて,2つの新しい質問が行われた。

後者については,米国とドイツの人々が,ヨーロッパ諸国がロシアのエネルギーからの撤退を十分に行っていないと考えていることは明らかである。ドイツ人の 10人に6人,アメリカ人の 3分の2 は,ヨーロッパがロシアのガスと石油から独立するのに十分なことをしていないと言っている。ヨーロッパは十分にやっていると答えたのは,各国で約10分の3 だけだった。米国では,若者や民主党員は,高齢者や共和党員に比べて,ヨーロッパは十分にやっていると言う傾向がやや高いが,すべての人口統計学的カテゴリーのほとんどで,ヨーロッパはロシアのエネルギーからの脱却を十分に行っていないと考えている。

また,すべての国からエネルギーを輸入するか,民主主義国のみからエネルギーを輸入するかというより広範な問題については,米国人の意見はほぼ均等に分かれているが,ドイツ人の過半数は,政治体制に関係なく,すべての国からエネルギー市場を探すべきだと述べている。興味深いことに,若いドイツ人は民主主義国からのみエネルギー供給を購入すべきだとより積極的に言うが,若い米国人はすべての国からエネルギーを得ることに前向きである。

(転載了)
***********************

| |

« 眉刷毛万年青が今年もー | トップページ | 見出しに見る勘違い(その851) »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 眉刷毛万年青が今年もー | トップページ | 見出しに見る勘違い(その851) »