“Pontcysyllte Aqueduct” を「ポントカサステ水路橋」と訳すのは - 。
11月6日 放送の「世界遺産」は 『ウェールズ北西部のスレートの景観 〜 山の形を変えた ウェールズの鉱山』がテーマで,この中で「ポントカサステ水路橋」が紹介されました。
番組では「スレート」の,港までの運搬用に作られたと説明がありました。
“Pontcysyllte Aqueduct” / ポントカサステ水路橋(水道橋)の概説を英文Wikipedia で次のように示しています。
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ポントカサステ水道橋 (Pontcysyllte Aqueduct,ウェールズ語の発音: [ˌpɔntkəˈsəɬtɛ] ; ウェールズ語: Traphont Ddŵr Pontcysyllte) は航行可能な水道橋で,ウェールズ北東部のスランゴレン渓谷(Vale of Llangollen)の ディー川(River Dee)を横切ってスランゴレン運河に達する。
18 のアーチ型の石と鋳鉄の構造は,細長い船(narrowboats)で使用するためのもので,設計と建設に 10年を費やして 1805年に完成した。幅は 12ft (3.7m) で,英国で最長(1,007ft - 307m)の水道橋であり,世界で最も高い(126ft - 38m)運河の水道橋である。水路の片側に遊歩道(footpath)が通っている。(橋脚部:石,桁部:鋳鉄)
水道橋は提案されたエルズミーア運河 (Ellesmere Canal) の中央部分の重要な部分であり,工業用水路であり,シュローズベリー (Shrewsbury) のセバーン川(River Severn)と,マージー川 (River Mersey) のリバプール港の間の商業的接続を作り上げた。より安価な建設コースがさらに東で測量されたが,ウェールズ北東部の鉱物に富んだ炭田を通る運河を通るためスランゴレン渓谷を横切る西向きの高地ルートが好まれた。
1805年にポントカサステ水道橋が完成した後,ほとんどの主要な工事は中止された。構造はグレード I の指定建造物であり,ユネスコの世界遺産の一部である。
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構造的に 興味深い橋です。
又,水路を通して 船を航行させる構造は,琵琶湖疎水の一部である南禅寺の水路閣と同様です。
この名称に対して 興味を持ったのは “Pontcysyllte” の,英語でどう発音していいのか分からない綴りの日本語表記が「ポントカサステ」で,Wikipedia にあるように 発音記号が [ˌpɔntkəˈsəɬtɛ](ウェールズ語)になっていることです。
初めて見る発音記号(右記)は ウェールズ語 発音記号表(下表)において “no English equivalent”(相当する英語の発音無し)と書かれています。英語にすらない発音なので 日本語にはー ないでしょう。
この発音記号で示される「音」は “Voiceless dental and alveolar lateral fricatives”(無声歯および歯槽外側摩擦音)と言われ,簡単には「摩擦音」のようです。
これについて 英文 Wikipedia では次のように説明しています。
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“The voiceless alveolar lateral fricative”(無声歯槽外側摩擦音)は子音の一種で,一部の話し言葉で使用される。無声歯(voiceless dental),歯槽(alveolar),および歯槽後側の摩擦音(postalveolar lateral fricatives)を表す国際音声記号(IPA:the International Phonetic Alphabet)は [ɬ] であり,同等の X-SAMPA(Extended SAM Phonetic Alphabet:拡張SAM音声記号)記号は K である。
記号 [ɬ] は “belted l”と呼ばれ,“l with tilde”[ɫ] とは区別される。[ɫ] は別の音,軟口蓋化した(velarized) (または咽頭化した(pharynɡealized)) 歯槽外側近似音(alveolar lateral approximant)で,しばしば “dark L”と呼ばれる。
一部の学者はまた,摩擦音とは異なる無声歯槽外側近似音を仮定している。近似(approximant)は,IPA で ⟨l̥⟩ として表すことができる。
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英語の,学問としての基礎知識の無い者には 難しい内容です。
とにかく 英文のサイトでも “Pontcysyllte” をどう発音するかが,かなり取り上げられており,ランク別にいくつかの発音を聞くことができます。しかし,最高ランクの発音を聞いても なぜ カタカナで「ポントカサステ」になるのか,よく分りません。
“Vale of Llangoren” も 「ランゴレン渓谷」ではなく「スランゴレン渓谷」です。
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