スティーブ・マックイーンが愛用したチャッカ・ブーツ “Hutton Chukka Boots”
‘ICONIC/ALTERNATIVES’ サイトより 拙訳・転載します。
“The Hutton Playtime Chukkas Review”
「“Hutton Playtime”チャカ レビュー」
ハリントン・ジャケット。 ショール・カラーのカーディガン。 素晴らしいサングラス。スティーブ・マックイーンのスタイルについて考えるとき,非常に多くのアイコニックな製品がすぐに思い浮かぶ。そして,キング・オブ・クールのフットウェアに関して言えば,リストを作成できるブーツは 1種類だけである。彼のスエード “Hutton chukkas”である。
マックイーンのチャッカのメーカーについては,多くの議論があった (詳細は後述)。しかし今日,ほとんどの人はハットン・オブ・ノーサンプトン(Hutton of Northampton)を,彼が実生活や多くの映画で着用していたブランドとして認識している。
素晴らしいニュースは,“Hutton”が最近 そのドアを再開し,最も有名なブーツ・モデルの 1つであるプレイタイム(The Playtime)の新しいバージョンを提供していることだ。
ダーク・ブラウン・ウェルトのスナッフ・スエード(Snuff Suede)の新しい “Playtime” を試す機会があった。
“Hutton”は,その伝統ふさわしいブーツを提供することに成功したか? この最新バージョンの “Playtime”は,私たちが求めるマックイーン・スタイルを正確に捉えているか? 続きを読んで見つけてください!
The Story of McQueen’s Chukkas
マックイーンのチャッカの物語
象徴的な “Hutton”ブーツのデザインの歴史は複雑であると言うのは控えめな表現(understatement)ではない。「オリジナル」を持っていると主張するメーカーはたくさんある。そして,当然のことながら,誰が正しいかについて混乱が生じている。したがって,確立された事実として私たちが知っていることは次のとおり:
・‘Phillip Hutton’ は,1933年にノーザンプトンで ‘Hutton Shoe Company Ltd.’ を設立した。1936年,彼は重要なブーツ・デザインの 1つで特許を取得した。特に,クレープ・ソールとレザー・トリムまたはウェルトの周りの「パイピング」を備えたユニークな構造に焦点を当てた。その後,数十年にわたり,ハットンはそのデザインで国際的に大きな成功を収めた (当時は “The Play-boy”と呼ばれていた)。
・もちろん,スティーブ・マックイーンのブーツへの愛は,“the Play-boy” の人気を損なうものではなかった。俳優でありスタイル・アイコンでもある彼は,映画や実生活で頻繁に“Huttons”を着用した。最も有名なのは,1968 年の『ブリット(Bullitt)』 と『華麗なる賭け(The Thomas Crown Affair)』,そしてウィリアム・クラクストン(William Claxton:写真家)の写真である。
マックイーンはコレクションにいくつかの異なるスタイル (ロー・トップとハイ・トップの両方) を持っていたが,裏地のないスナッフ・スエードのアッパーと幅の狭い甲皮(foxing)を備えた,ハットンが “the Playtime” と呼んだ“the Play-boy”の少しスリムなバージョンを好んだようだ。
・さて、これは物事が少し面倒(messy)になるところである。1960年代後半から 1970年代前半にかけて,“Hutton” は チャッカのブランドを,おそらく,模倣者を食い止める(stave off)ために,「オリジナル・プレイボーイ(The Original Playboy)」に変更した。しかし 1973年,特許を守るための財政的圧力の高まりに直面した ハットンは,ブランド名,靴型(lasts),“Playboy” プレイボーイの製造に使用された工具をスウェーデンの会社に売却した。その時点から,製造はアイルランドからスペインへ,そして英国へと戻った。
・もはや最も有名なブーツ・モデルを製造してなかった “Hutton” は,1990年にノーサンプトンでの操業を最終的に停止した。“the Original Playboy” チャッカについては,1973年にその特定のデザインの権利を購入したスウェーデンの会社が,2005年にデンマークの靴会社に売却した。私の知る限り,そのデンマークの会社は今でも “the Original Playboy” の名前を所有しており,ポルトガルでそのバージョンを製造しているが,ヨーロッパ以外ではそのブーツを販売していない。
・今,私たちはほんの数年前まで時間をさかのぼる。1960年代に “Hutton” の生産ラインで働いていたデビッド・コーベン(David Corben)という名の紳士は,1990 年の工場閉鎖後,ハットン・シュー・カンパニー(the Hutton Shoe Company)の名前の権利を保持していた。
2015年頃,デビッドの息子ゲイリーは,究極のデザート・ブーツを作るために靴会社を立ち上げる決意をした。ゲイリーによるちょっとした調査により,彼の父親が実際に “Hutton” の名前を所有していたことが明らかになった。ゲイリーはすぐに,かつての偉大な ヘリテージ・ブランドを復活させる機会をつかんだ。そして25年後,“Hutton” は事業を再開し,最初の新しいフットウェアである ‘Type 01 Desert Boot’ を生産した。
・数年後,デビッド・コーベンの孫である Thomas Xavier が “Hutton” チームに加わり,象徴的な “Playtime”チャッカを再現するという具体的な目標を掲げた。ゲイリーとトーマスのチームは,ブーツの新しい反復(iteration)がオリジナルによって確立された基準を満たすことを保証するためにすべての努力を捧げた。2021年,すべての努力が報われ,新しい“Playtime chukka”が発売されした。
これが今日のレビューと重要な質問につながる:ハットンは古典を再現することに成功したか? 続きを読んで見つけてください!
What I’m loving about the Hutton Playtime Chukkas
“Hutton Playtime”チャカの好きなところ
It’s what McQueen wore (kind of)
それはマックイーンが履いていたもの(好みの)
我々は認めてもいいと思う。キング・オブ・クールのスタイルのファンなら,彼が実際に履いていたブランドのブーツを所有することには,ある種のマニアの(geeky)喜びがある。
‘Baracuta G9’ ジャケットや ‘Persol PO 714’ サングラスを所有するのと同じ種類の満足感である。ただし,注意事項(caveat)が 1つある。
“Hutton” が元のデザインにいくつかの変更を加えたという事実を回避することはできない。したがって,今日の “Playtime” は,マックイーンが履いていたブーツとまったく同じではない。これらの変更が良いか悪いかについては,このレビューの後半で詳しく説明する。ここでは,特に際立っているいくつかの重要な違いを明確にしたい。
About that sole color …
ソールの色に関して
まず,すぐに気が付くところ(the elephant in the room):ソールと甲皮(foxing)の色。
マックイーンの最も有名な “Hutton”「ハットン」が黒いソールと甲皮を持っていたことは明らかである(「ブリット」からの彼の有名な写真に見られるように,机の上に足を上げている)。
“Playtime”には,自然な「ブロンド」のソールと甲皮がある。現在,これらは確かに,経年と摩耗により大幅に暗くなる。しかし,黒くなる可能性はほとんどない。
しかし,マックイーンのブリット,チャッカのソールが実際にどのように黒くなったかについても,多くの不確実性がある。主な問題は,“Hutton” がブラック・ソールのブーツを作ったことがないことだ。1930年代から 1970年代初頭まで,常にブロンドのクレープだった。したがって,マックイーンがブリットで “Hutton” を履いていた場合 (そして彼はほぼ間違いなくそうだった),色の変化を説明するには 2つの理論を考慮する必要がある。マックイーンが履きすぎたせいで,靴底が自然に黒ずんでしまった。または,ブリットのコスチューム担当がそれらを暗くして,映画の中で明るい自然な色が目立たないようにした。個人的には,2番目の説の方が説得力がある(plausible)と思う。
Some other changes
その他の変更
2つ目の違いについては,“Hutton” が 英国ではなくイタリアで “Playtime” を作っていることである。個人的には,これで何の問題もない。しかし,一部の純粋主義者(purists)を悩ませる変更である。
ブーツを見ただけでは,3つ目の違いに気付かないだろう。しかし,それは重要なものだ。“Hutton” は “Play-boy” ではなく,元の “Playtime” モデルを再現した。 2つのモデルの違いは何だろうか? “Playtime” は バンプ(vamp)よりもやや低く,甲皮は少し短くなっている。そのため,より滑らかに見える。“Playtime” も裏地なしである。ただし,“Playtime” には,我々が望む重要な機能の多くがまだある:ウェルトの周りの革のビーディング(beading),ヒール・カップの周りのスイープ・ステッチ(sweeping stitching),そしてもちろん,素晴らしいクレープ・ソールとフォクシングなど。そう,マックイーンは両方のモデルを履いていた。
sweeping stitching
スイーピング・ステッチ
The Suede
スエード
往年のマックイーンのブーツについて詳しく説明したので,“Hutton” の現在の “Playtime” モデルの評価に焦点を当てよう。彼らが使用した皮革に関して言えば,私はこれをシンプルに保つことができる:それは素晴らしい!
スエードは厚みがありながらもしなやか(supple)で,豊かな “nape”(?)が美しく,暗黄褐色(Snuff color)の色を際立たせている。“Hutton” がチャッカの裏地を付けていないことを上述した。これにはいくつかの説明が必要である。 通常,裏地のないスエード・ブーツについて考えるとき,レザーの外面に似たテクスチャーを備えたより粗い内部を想像する (“Clark’s desert boots”のようなものに見られるように)。これは、スプリット・スエード(split suede)として最も一般的に知られている。そして,それは “Hutton” が使用するものではない。
代わりに,元の革のトップ・グレイン (滑らかな部分) を維持しながら,チャッカの内側にその面を使用する高品質のリバース・カーフ・スエードを使用している。それは基本的に裏地付きのブーツのように見える。しかし,リバース・カーフ・スエードは,薄い革を 2枚貼り合わせるのではなく,1 枚の厚い革を使用しているため,軽くて柔軟性があり,耐久性にも優れている。“Hutton” は “Playtime” の内部をヒール・カップの周りに別のスエード・パッチで仕上げ,滑りを軽減する。
“Hutton” のスエードは本当に美しいもので,“Playtime”の 見かけ(look and feel)を真のラグジュアリー・フットウェアのようにしている。
The Sole
ソール
フィリップ・ハットンが 1936年にチャッカのデザインの特許を取得したとき,彼が本当に保護したかったのはソールのユニークな機能だった。そして,このブーツに独特の外観と特徴を与えているのが,プランテーション・クレープと幅広の甲皮(foxing)の分厚い(chunky)ブロックであることは否定できない。
“Hutton” はその遺産に忠実であり続け,“Playtime” では本物のプランテーション・クレープを使用し続けている。そして,それは私が扱った他のどのラバーとも似ていない。素材がどのようにして硬さと柔らかさ(squishy)を同時に感じることができるのか,私にはわからない。しかし,“Hutton” のクレープはそれをやってのける。これらのブーツで数マイル走ることができるかまでは答えられないが,明らかに耐久性の問題がある。しかし,“Hutton” の Instagram アカウントに投稿された,何ヶ月も履いた後のさまざまな “Playtime” を示す写真を見ると,ソールがすぐに摩耗することはないと思う。
What I’m liking about the Hutton Playtime Chukkas
“Hutton Playtime”チャッカの好きなところ
The Construction
構造
“Playtime” の型(build)は良い。しかし,私にはいくつかの小さな疑問がある。
好きなものから始める。このブーツは手にも足にもしっかりとフィットする。重くない。 ただ頑丈である(substantial)。また,かかとの周りと四分の一が爪先に取り付けられている場所の二重列のステッチは,まっすぐでタイトで均一である。そのため,箱から出してすぐに,“Playtime” は間違いなく多くの使用に耐えるという印象を与える。
“Hutton” がソールを取り付ける方法は,私に少し不確実性を引き起こす。
それらは一種のステッチ・ダウン構造を適用し,アッパーを接着繊維のミッド・ソールに縫い付けている。次に,プランテーション・クレープのアウトソールをミッド・ソールに接着し,甲皮を外側に巻き付けて所定の位置に接着する。甲皮の上部を一周する革のパイピングは,別に縫い付けられている。
公平を期すために,“Hutton” にはこの構築方法を使用する非常に正当な理由がいくつかある。
1960 年代の古い “Playtime” モデルでの彼らの経験は,より硬いミッド・ソールの使用とソールへの直接のステッチがチャッカを非常に硬くすることを示していた。そのため,甲皮(foxing)はブーツの屈曲点で分離する傾向があった。
現在の構築方法は,“Playtime” をより柔軟にすることで,その問題を劇的に最小化する。また,ブーツが軽くなるため,一日中履く予定の靴にはプラスになる。最後に,一般に信じられていることとは反対に,高品質の接着剤を使用して適切に施工すれば、セメント構造は非常に耐久性がある。
また,特定の靴やブーツの耐久性に関しては,時間の経過に伴う摩耗だけがすべてを物語ることに注意することも重要である。“Playtime” が “Hutton” にとって非常に情熱的なプロジェクトであったことを考えると,それらは宿題をやり遂げたと確信しており,製造のどの部分に対しても手を抜かなかったと真剣に思っている。これはカジュアルなシティ・ブーツのため,快適さと軽量化のためにより頑丈な(rugged)ワークブーツ・タイプの構造を犠牲にすることは,おそらく正しい選択だった。
The Fit
フィット
Let’s get the nuts and bolts out of the way. (ナットとボルトを邪魔にならないようにしよう。)
私はかなり標準的な足の形で,米国のほとんどのメーカー (‘Allen’,‘Edmonds’,‘Alden’,‘Sperry’) ではサイズ 10.5,ヨーロッパの靴では通常 43 である。私は足幅がやや広く,Eに近いDで,甲が高い(higher arch)。
“Hutton” はフットウェアにヨーロッパのサイズを使用しており,“Playtimes” では 1サイズ上を推奨している。そこで私はそのアドバイスに従い,44を注文した (“Hutton” は,サイズ・チャートで米国の 10.25 に変換する)。長さはほぼぴったり(spot-on)で,幅は素晴らしい。しかし,バンプ全体のブーツの外形が低く,私のわずかにボリュームのある足のせいで,フィット感はまだ前部にぴったりである。
ただし,フィット感に影響を与える,しかし あまり感心しない,ブーツのコンポーネントが 1 つあえる。 それは私を…に連れて行く。
What I didn’t like about the Hutton Playtime Chukkas
“Hutton Playtime Chukkas” の気に入らなかった点
素晴らしいスエードのトップとユニークなプランテーション・クレープ・ソールを備えた “Playtime” を見て,私は尋ねなければならない:ハットンはなぜ貧弱な(anemic)中底(footbed)を使うことにしたのだろうか? 革で覆われた薄い発泡体(foam)の平らな部分である。土踏まずのサポートはなく,最小限のクッションしかない。“Helm Hollis” ブーツの素晴らしい中底に甘やかされたのかもしれない。しかし,これは低コストに感じられ,残りの “Playtime” が明らかに非常に高品質であるのに,間違っている。
これはチャッカの運命を左右する(make-or-break)問題だろうか? 私にとっては,絶対にない。中底は簡単に取り外せるので,より良いものに交換する手間はかからない。とにかく,甲が高いため,通常,ほとんどの靴とブーツでそれをしなければならない。“Hutton” が “Playtime” の残りの部分に投資したのと同じ配慮と注意が,中底と同じくらいシンプルなものにまで及ぶことを願っている。
Conclusions
結論
295.00 ポンド (約 345.00 米ドルと送料) の “Playtime” は,比較的高価なブーツである。そして,私たちは尋ねなければならない:投資する価値があるだろうか?
キング・オブ・クールのスタイルのファンなら,頭を悩ます必要がない(no-brainer)。“Playtime” は マックイーンが履いていたものに非常に近く,彼が好むブランドによって作られた。
しかし,マックイーンとのつながりを無視して,“Playtime” を純粋に履物として判断するとどうなるだろうか? リバース・カーフ・スエードとプランテーション・クレープ・ラバーに関しては,“Hutton” は最高のものを使用している。“Playtime” は見た目も履き心地も高級ブーツのようである。構造に少し疑問がある。しかし,それらは深刻な疑いではない。これは シティ・ユース向けに作られたカジュアルなブーツだと理解している。そして,99% の自信を持って,そのようなコンディションで多くの摩耗に対応できると確信している。さらに,そのクッション性のあるソール (適切な中底と組み合わせたもの) は,一日中十分な快適さを提供する。
答えの一部は,このスタイルのチャッカが好きかどうかで決まると思う。その “bumper” フォクシング(foxing)は,非常にユニークで分厚い(chunky)外観なので 万人向けではないかもしれない。個人的には大好きで,そう,違っている。しかし,さまざまなフィット感の “Hutton” を履いているマックイーンの写真を振り返ってみると,非常に用途の広いデザインであることがわかる。ブリットにインスパイアされたスポーツ・コートとグレーのズボンのビジネス・カジュアルなルックから,カーディガンとチノパンの週末スタイルまで,“Playtime” はすべてをこなす。
私にとって,優れた素材,快適さ,汎用性,そしてとらえどころのない(elusive)「クール」な要素の組み合わせは,お金に見合う価値がある。
“Playtime Chukkas” は “Hutton” から 295.00 ポンド (約 345.00 米ドルと送料) で直接購入できる。また,VIP プログラムにサイン・アップすると,購入時 10% オフになる。“Hutton” はサイズが少なくなり始めており,再入荷までに時間がかかる場合があることに注意を要する。
このレビューで使用されている情報の一部は,‘Gozovation’,‘hoegazing’,‘Spiff Magazine’,“The Weejun”,“Badger & Blade”,“Styleforum” フォーラムから入手したものである。
“Hutton”は,このレビューの目的に対して無料で “Playtime” を著者に提供してくれた。
(転載了)
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私は「ブリット」のラストに近い,空港のシーンの足元の映像から 彼の履いている靴は,Tricker's の ‘Mudguard Chukka Boot’ と長く,思っていました。
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