その義務は “obligation” か “duty”か?
「義務」を和英辞典で引くと 多くの単語が出てきます。
すなわち 日本では「義務」一言で片づけられることが 西洋文化においては 多くの,異なる言葉で表すことができ,その意味も単純ではありません。学校で習う「義務」に対応する英単語は “obligation” と “duty” でしょうが,二つの持つ意味も当然異なります。
もし,外国人と英語で話す場合,その意味の違いを認識しておかなければ うまく話は通じず,誤解を生じることになります。
英和辞典によると その意味を次のように示しています。
“obligation”【名】
1.〔慣習・協定・契約などから生じる〕義務(感),責任,拘束
2. 恩義,義理
3. 債券,債務,負担
4. 社会のおきて
“duty”【名】
1.〔道徳的・法的な〕義務,務め,責務
2. 職務,任務◆通例,duties
3. 税(金)◆【同】tax
4.〔機関の〕負荷
5.〔幼児の〕お通じ
英語のサイトで意味の違いを調べてみました。
その違いを示す項目が存在するということは Native Speaker でも混同することがあるというこでしょうか。
‘DiffernceBetween.com’サイトの
“Difference Between Obligation and Duty”より 下記,拙訳・転載します。
**************************
Obligation vs Duty
“obligation”と“duty”は,同じ意味で使用される傾向があるが,意味(meaning)と含意(connotation)に多少の違いがある 2つの単語として理解することができる。一見すると,どちらの言葉も,個人によって確立された拘束力(binding)または要件(requirement)を強調している。ただし,この「しばり(binding)」の性質はさまざまであり,2つの単語の違いが強調されている。
簡単に言えば,“obligation”とは,合法性(legality)などの何らかの枠組みによって個人に課せられる(imposed)ものと理解することができる。しかし,“duty”の場合,個人を特定の仕事(task)や活動(activity)を行うように導くのは道徳観(sense of morality)である。
この記事では,読者が各用語を理解できるようにしながら,2つの用語の違いを明確にする。
What does Obligation mean?
“obligation”という用語を調べると,契約や法律などにより個人が履行しなければならないものとして定義できる。この意味で,人は規則(rules)や規制(regulations)の存在により,仕事を完了したり,活動に従事したりすることを強いられる。たとえば,ある人が「やらなければならなかった(I was obliged to do it)」と言うとき,これはその人に選択の余地がなかったことを強調している。
私たちは,さまざまな状況で,さまざまな活動に従事する(engaged)義務がある(obliged)。特に企業部門(corporate sector)では,この用語は非常に強い意味を持つ。たとえば,新入社員(newly recruited employee)の場合を考えてみよう。彼は組織と契約を結び,仕事を始める(commences)。この契約には,従業員が遵守する(adhere)必要がある特定の職務内容と職務リスト(duty list)が含まれている。契約に署名した後,個人はさまざまなタスクを実行する義務がある(obliged)ため,これは義務(obligation)として識別できる(identified)。
個人を働かせるのは道徳ではなく,規則や規制である。これは,義務(obligation)において,個人はタスクの実行に動機付けられている(motivated)のではなく,強制されている(compelled)ことを強調している(highlights)。
What does Duty mean?
一方,“duty”という用語は,個人を活動に従事させる道徳感を強調している。それは,他人に強制されない,個人に課せられる(comes to)責任である。やるかやらないかは個人の選択(choice)である。“obligation”の場合のような規則や規制の存在は,“duty”には見られない。それは,社会的要求(societal demand)や個人からの期待と見なすことさえできる。たとえば,年長者の世話をする場合を考えてみよう。それは “obligation”とは見なされず,若い世代の責任(responsibility)または “duty”と見なされる。若い世代の行動を制御する(control)確固たる規則はないが,道徳がある。行動を駆り立てるのは,この正しいことをするという感覚である。
What is the difference between Obligation and Duty?
- “obligation” は,法律(laws),規則(rules),規制(regulations),さらには協定(agreements)などの何らかの枠組みによって個人に課せられる(imposed)ものとして定義できる。
- “duty” は,個人が特定のタスクまたは活動を実行するように導く道徳感覚(sense of morality)から生じる。
- “obligation” は強制される(compelled)が,“duty” は個人の内部から生じる。
- “obligation” では個人に選択の余地はないが,“duty” では個人に選択の余地がある。
(転載了)
********************
“obligation” に満ちたサラリーマン生活を終えて8年,ホッとしています。
| 固定リンク | 0
「言葉」カテゴリの記事
- アルミニウムは ‘Aluminum’ か ‘Aluminium’ か?(2023.03.21)
- 「球春」という言葉を知らなかった。(2023.03.10)
- 「他人事ととらえず対策を」朝日新聞で-(2023.03.06)
- 数字を含んだ英語の表現(その2)(2023.02.21)
コメント