見出しに見る勘違い(その874)
「【コラム】『宇宙7大強国』誇張した宣言,順位にこだわりすぎるな=韓国」 2023/1/30 中央日報・日本語版
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昨年,韓国政府は2032年の無人月面着陸に続いて光復(解放)100周年(2045年)に「火星に太極旗を立てる」と発表した。・・・
◇人文学者と科学者の対話不在
火星に着陸するということは我々にどんな意味があるのだろうか。我々自らそのような質問をして,答えたことがあっただろうか。宇宙は我々に何の意味があり,なぜ月に行くのか,なぜ火星に行くのか,そのはっきりした理由と哲学と含意が込められた文書を見た記憶がない。科学者とエンジニア以外に哲学者や社会学者・経済学者を含む人文社会分野の専門家たちが額を突き合わせたこともなかった。
韓国政府は5年内に宇宙予算を2倍に増やして2045年までには 100兆ウォンを超える投資を誘致するという。なぜか。その目的は「宇宙経済を活性化するため」だ。しかし宇宙経済が何か,どのように実現しなければならないのか,集大成した報告書はまだ見たことがない。2023年現在,韓国国内総生産(GDP)に対する宇宙分野の政府研究開発予算比重は世界12位,2027年までには1兆5000億ウォンに増えるという。
韓国には経済政策を専門的に担当する50年にもなる国策機関と10ヶ所以上の民間経済研究所がある。過去にこれら国策研究機関と民間研究所は政策アジェンダを提示し,マクロ経済と産業の流れを分析するシンクタンクを自認した。彼らが出した報告書は経済官僚にとっても立派な参考書だった。
だが,通貨危機や国際金融危機を体験した後,民間ではグループ内部事業を支援する役割にその機能が縮小された。
数年前,筆者は仲間と一緒に国策機関と民間経済機関の研究者を招請して宇宙探査に関する企画研究を行った。彼らは理工系研究者の鈍い感覚を呼び覚ます洞察とインスピレーション,そして思考の転換を見せてくれた。貴重な試みだったが,物足りなさが残る。政府が「宇宙経済」を最優先課題にするというので,これら「シンクタンク」の役割を期待せざるをえない。それなりの誘引策も用意しなければならない。
◇順位は実力を保障しない
最近,韓国が6大強国の仲間入りを果たしたという消息が聞こえる。米国時事週刊誌「USニューズ&ワールド・レポート」が発表した結果だ。85ヶ国の政治・経済・軍事影響力を総合評価する時,米国・中国・ロシア・ドイツ・英国に続き韓国が,そしてフランスと日本・アラブ首長国連邦(UAE)・イスラエルがその後に続いた。だが冷静になる必要がある。実はこの調査は10分野の領域で行われたが,韓国は国民の冒険への積極性(51位)や事業開放性(76位),生活の質(24位),人権のような社会構成員が共有する目標(42位)では低い点数に留まった。
このように「順位」が「実力」をゆがめることは宇宙分野でも起きている。韓国政府は羅老(ナロ)号と月軌道船(タヌリ号)の相次ぐ成功に自信を得て「7大宇宙強国」として生まれ変わるだろうとぶちあげた。1トンを越える人工衛星を軌道に上げることができるというのがその根拠だ。しかし,ほとんどの専門家はこれに同意しない。「7大強国」の本質的意味とその「成績」が国際社会でも有効なのか返答に困るためだ。
トン(t)級発射体の開発力量だけを問題にするなら韓国はすでに7位(2022年)の席を確保した。韓国の宇宙分野予算は11位(2022年)、人工衛星打ち上げ件数は14位(2022年)だ。どうにかここまでは韓国がライバルに追いつくことができるだろう。
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◇国際宇宙ステーションの「搭乗券」手に入れられない
2000年代初期,NASAは韓国に国際宇宙ステーション(ISS)に参加してほしいと要請したが,政府は応じることができなかった。硬直した行政体系と予算執行方式では出口を見つけるのが難しかったはずだ。20年が過ぎた今,韓国は月軌道宇宙ステーション「ゲートウェイ」への参加を望んでいる。しかしISS建設と運営で呼吸を合わせた ISSコンソーシアム参加国だけが招待されたため,まだ韓国は「搭乗券」を手に入れることができていない。
韓国政府の「宇宙開発振興基本計画」はNASAのように長期計画(プログラム)単位ではなく個別事業(プロジェクト)を羅列した文書だった。事業の予算を取るためには,道路・港湾・鉄道・空港のような社会間接資本事業を審査するために作った予備妥当性調査を通過しなければならない。しかしこの調査はR&D事業目的と「哲学」とは相容れないものとして設計された。最近政府は「第4次宇宙開発振興基本計画」を 5つの長期ミッション,すなわちプログラム単位として大幅に手を入れた。このような変化から一縷の望みを持つことができる。
昨年NASAは「月から火星まで」(M2M)という新規プログラムを提案して海外に協力を要請した。韓国政府も参加を望んでいる。そうするためには,法的・制度的な障壁と古いしきたりを崩さなければならない。その上位にある哲学は目的と法・制度・組織・予算と同じ下位概念を統治する。改めて問い直したい。我々は、なぜ火星に行こうとするのか。’ と書いています。
韓国が 初めて自力で人工衛星を打ち上げたのは 去年 2022年(日本は 1970年で 50年遅れ)で,打ち上げに成功した国としては 11番目と認識していますが 7番目と言うのは どの国を省いたのでしょう。
もっともらしいことを書いていますが,メディアにして 自国を冷静に直視してないということでしょうか。
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