“THONET”(タイプ)の “Bent Wood Chair”を比較すると-
ウィーンのカフェなどに置いている,所謂「カフェ・チェア」の代表的な椅子は,ミヒャエル・トーネット(Michael Thonet,1796~1871)が 1859年にデザイン・製作した,曲げ木椅子「トーネット・チェア(No.14,現在は No.214)」です。(-と,見てきたように書いていますが,約20年前の現役時代,勤続30年の褒賞旅行券でウィーンに行った折り,見ています。)
“Thonet Chair” は現在は ドイツでのみ(“THONET”ブランドとして)製作されていますが,トーネットは第二次世界大戦まで 旧東欧各地に工場を持っており,戦後,トーネットは撤収しましたが,工場はそのまま残って,技術,デザインを継承して 曲げ木椅子を作り続けて今日に至っています。
例えば チェコに ‘TON’ という名前の会社があります。
‘TON’ のホームページに会社の歴史が記されています。
下記,拙訳・転載します。
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‘History’
1861年,ビストジツェ・ポド・ホスティーネム(Bystřice pod Hostýnem) に曲げ家具工場が開設され,今日では世界で最も古い工場の 1つとなっている。創業者の ミヒャエル・トーネット(Michael Thonet)がこの場所を選んだのは偶然ではない。 製造プロセスに十分な材料を提供するブナの森に囲まれた ビストジツェ・ポド・ホスティーネムは,その場所のおかげで輸送費と人件費も節約できた。労働者が 1つのタスクのみに特化した非常に珍しい産業労働組織(industrial labour organisation)システムと独自の技術の使用は,Bystřice の椅子が手頃な価格で競争し,世界中に拡大するのを助けた他の要因だった。
開業から10年経っても、年間30万個の曲げ家具が作られていた。1912 年までに,その数は 445,000脚に増加し,ほぼ 2,000人が製作に従事した。その見返りに,トーネット家は従業員の世話をした。彼らは木材加工のための専門学校,幼稚園,Bystřice pod Hostýnem に楽団を設立し,鉄道の建設を支援し,労働者のための家を建設し,カジノさえ開設した。
経済状況に大きな打撃を与えた第一次世界大戦の後,工場は 1924年にコーン・ムンドゥス(Kohn-Mundus)合資会社と合併し,社名をトーネット・ムンドゥス(THONET-MUNDUS)に変更した。この新しい会社は 1940 年まで運営されていた。第二次世界大戦が終わるまで,帝国の守護者(Reich Protector)によって任命された管理人(caretaker)によって管理されていた。
1946年3月7日の産業省の命令に従い,THONET は国営企業となり,1953年に TON (Továrna Ohýbaného Nábytku – 曲げ家具工場の略語) に改名された。
1989年にチェコ共和国の政治情勢が変化した後,組織構造が変更され,会社は国営企業になった。1994年以来,‘TON’ は合資会社である。
(転載了)
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現在 日本は 純正 “THONET” 製の曲げ木椅子と,かつて THONETの工場だった “TON” 製の曲げ木椅子の両方を購入することができます。(それぞれの輸入代理店が存在)
下に 代表的な “THONET” の曲げ木椅子 No.214 と No.209 (何れも 座面は籐ではなく板のタイプ)の “THONET” と “TON”を,配送料を含まない税込み価格とともに示します。
【THONET】
左:No.214M,¥152,900
右:No.209M,¥210,100
【TON】
左:No.TO-14,¥25,400
右:No.TO-30,¥36,000
“THONET”に対して “TON” の価格は 約1/6です。“THONET” に手を出すのは悩むでしょうが,“TON” は reasonable です。
刻印を見ずに 製品を区別することは おそらく素人には無理でしょう。
デザイン(曲げ木のカーブ)が微妙に異なりますが,おそらく “TON” の製品の方が オリジナルに近いと考えます。
因みに 我が家は 約40年前に ポーランドの旧 “THONET” の工場で作られた,籐座面の No.214 と No.209 を購入しています。
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