米国上空に中国のスパイ気球が飛来した。
米国上空に中国にスパイ気球が現れて ちょっとした騒動になっているようです。
‘The Guardian’ は以下のように伝えています。(拙訳・転載します。)
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“Spy balloons: what are they and why are they still being used?”
「スパイ気球: それは何か? なぜまだ使用されているのか?」
Feb.3, 2023
このアイデアは米国の南北戦争中に生まれたが,人工衛星の時代の今,その魅力は何?
国防総省は,米国上空を飛行しているのを発見された中国のスパイ気球を監視していると述べている。
木曜日(2月2日),国防総省は,米国上空を飛行する中国のスパイ気球を追跡していると発表した。ボタンホール・カメラや歯に隠されたヒ素と同じような興味は持たないかもしれないが,スパイ・バルーンは何世紀にもわたって使用されてきた。
What happened above the US on Friday?
金曜日に米国上空で起こったこと
米当局者によると,米国国務長官アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)の北京への訪問予定に先立って。中国のスパイ気球と疑われる機体が米国上空を数日間飛行している。戦闘機の準備ができていたが,軍の指導者はジョー・バイデン大統領に,破片(debris)が安全上の脅威となる可能性があることを恐れて空から気球を攻撃しないよう助言し,バイデンは助言を受け入れたと当局者は述べた。
国防総省は声明の中で,「気球は現在,民間航空機よりもはるかに高い高度で飛行しており,地上の人々に軍事的または物理的な脅威を与えるものではない」と述べた。
木曜日の後半,カナダの国防総省は,「潜在的な2番目の事件」を監視しているとの声明を発表した。
What are spy balloons?
スパイ気球とは何か?
スパイ気球は,気流によって運ばれる特定の領域の上に浮かぶ気球の下に吊り下げられた,カメラなどのスパイ機器である。気球に取り付けられた機器には,レーダーが含まれており,太陽光発電を使用する場合がある。
通常、気球は 24,000mから 37,000m (80,000 から 120,000 ft) の高度で飛行する。これは,民間航空機が飛行する高度よりもはるかに高く,旅客機は 12,000mを超える高度で飛行することはほとんどない。
Why use spy balloons rather than satellites?
何故 人工衛星ではなくスパイ気球を使うのか?
「過去数十年間,衛星は必須(de rigueur)だった。人工衛星が答えだった。」と,オーストラリア国立大学の国際安全保障および諜報研究の教授であり,『Revealing Secrets』の著者であるジョン・ブラックスランド(John Blaxland)は言う。
しかし,人工衛星を標的とするレーザーや指向性エネルギー兵器(kinetic weapons)が発明されている現在,気球への関心が再び高まっている。衛星と同じレベルの永続的な監視(surveillance)は提供できないが,回収(retrieve)が容易で,打ち上げ費用がはるかに安価である。衛星を宇宙に送るには,スペース・ランチャーが必要で - これは,通常,数億ドルの費用がかかる機器である。
2009年に米国空軍の航空司令部および幹部学校(Staff College)に提出された報告書によると,気球は衛星よりもゆっくりと移動するため,より低い高度からより多くの領域をスキャンし,特定の地域でより多くの時間 滞留することができる。
When were they first used?
最初に使われたのはいつか?
偵察気球が最初に使用されたのは 1860年代の米国南北戦争のときで,熱気球に乗った北軍の兵士が双眼鏡を用意して,遠く離れた南軍の活動に関する情報を収集しようとした。彼らはモールス信号または「石に結び付けられた紙切れ」を介して信号を送った,と ブラックスランドは言う。米国は近年このアイデアを復活させたが,米国の領土でのみ気球を使用する傾向があった。
「他人の上の大気中では,許可を求める必要がある。」とブラックスランドは言う。「または,(無断で)やろうとしているのなら,歓迎されないことを予想すること。」
国防総省自体は、金曜日の短い声明で次のように述べています。
民主主義防衛財団(the Foundation for Defense of Democracies)の中国専門家であるクレイグ・シングルトン(Craig Singleton)氏はロイターに対し,こうした気球は冷戦中に米国とソ連で広く使用されており,低コストの情報収集手段だったと語った。
Why is China doing this?
何故 中国は実行するのか?
ブラックスランドは,中国人が 捕まえられることを予期していなかった可能性は低いと考えていて:2 つの結果を念頭に置いて,捕まえられることがおそらく目標だった。気球が打ち上げられた最初の理由は,米国を当惑させるためで,途中で何らかの情報を得られればなおさら- だったと彼は信じている。
「それが発見されてないと彼らが考えた理由を考えるのは難しい。米国の空域は,米軍の民間航空当局(the US civil aviation authorities),米国空軍,米国宇宙軍(the US space force),気象ネットワークによって綿密に観察されており,非常に精査された(scrutinised)空域だ。」と彼は言う。
2つ目の理由は,中国が秘密裏に米国の技術に追いつき,それを複製しているという事実を米国に認識させるためである。「中国の治安機関は模倣行為に長けている。彼らは,テクノロジーとは何かを確立し,それを複製しようとするのが非常に得意である。」と ブラックスランド氏は言う。
これは「あなた方ができることは何でも,私たちはより良くできる」というケースであり,「氷山の一角にすぎない。」と ブラックスランド氏は言う。中国のスパイ活動は「産業規模で」行われており,小さな情報が無数の方法で収集され,送信されている。同時に,これらは詳細な画像を形成する。
シンガポールを拠点とする安全保障アナリストのアレクサンダー・ニール(Alexander Neill)氏はロイターに対し,気球は米中関係に新たな刺激を与える可能性が高いが,中国の近代化軍が自由に使える(disposal)他の要素と比較して,おそらく限られた情報価値しかないと語った。
「中国は,米国を監視するという点ではるかに重要で効果的なスパイおよび軍事衛星の独自の集合体(constellation)を持っているため,得られる情報の増加がそれほど大きくないというのは公正な仮定だと思う。」と,ハワイのパシフィック・フォーラム・シンクタンクで,非常勤フェローであるニールは言う。
What can we expect in the future?
将来何が予想できるか?
「気球の底に貼り付けられるテクノロジーの種類に制限はない。」と ブラックスランド氏は言う。
「全体のポイントはより高い舞台である。戦略家と軍事行動家は,より高い舞台を支配することについて話す。そしてこの時代,それは宇宙だった。
宇宙は現在非常に混雑し(congested),争われており,非常に攻撃を受けやすく(vulnerable)なっているため,その亜空間領域である上層大気領域は,国際的な監視とスパイ活動(espionage)のためのまったく新しい有用性と重要性に発展した。」と彼は言う。
(転載了)
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真の目的は? 大きさは バス3台分とのことです。
気球の飛行ルートは? 太平洋戦争時,風船で吊るした爆弾を偏西風に乗せて米国本土に届ける,という作戦があったので あながち 作り話ではないようでうす。
推定飛来ルートは 下図が考えられています。
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