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2023年3月21日 (火)

アルミニウムは ‘Aluminum’ か ‘Aluminium’ か?

「アルミニウム」を 「英語で書け」と言われれば “aluminium” と書きます。
ところが 英和辞典で “aluminium” と引くと 多くがー
=aluminum」と書いており “aluminum” と引いて 初めて「アルミニウム」と出てきます。
しかし,日本語では「アルミナム」というのは聞いたことがありません。

aluminium” (æ̀ljumíniəmは英国英語で “aluminum”(əlúːmənəm)は米国英語のようです。

これに関してー
merriam-webster.com’ に
'“Aluminum” or “Aluminium”?A tale of two spellings’ と題する記事がありました。
米国人の多くが 間違って発音して,その発音に合わせてスペリングが変わってしまった,というものではないようです。

読んでみます。
(下記,拙訳・転載)
**********************
What to Know
知っておくべきこと

aluminum’ と ‘aluminium’ はどちらも,金属元素(metallic element (食品を覆うホイルとして一般的に使用される) を参照するのに使用されてきた長い歴史がある。どちらも 19世紀初頭のもので,アルミナ(alumina)という言葉に由来している。 ‘aluminumは米国とカナダで好まれるようになり,aluminiumは英語圏の他の地域でも好まれるようになった。

薄い光沢のある金属シートを使用して食品を覆ったり包んだり,頭を保護するために使用したりする場合,大西洋のアメリカ大陸側にいる場合は ‘aluminum foilと呼び,ヨーロッパ側(またはまったく別の海の近く)にいる場合は ‘aluminium foil’ と呼ぶ可能性がある。
何故か? あなたの辞書はその質問に答えるためにここにある。

Origins in 'Alumina'
「アルミナ」の由来

aluminum’ という物質 (米国で言う) は,地球の地殻にあるすべての金属元素の中で最も豊富だが,自然界では金属の形で存在しない;代わりに,植物や動物だけでなく,ほとんどすべての岩石に見られる化合物(compounds)に存在する。‘aluminum’ の酸化物を指す ‘alumina’ という言葉は,1790年から使用されているが,数年後まで元素自体に言及し始めなかった。
ハンフリー・デイビー卿(Sir Humphry Davy)という英国の化学者が語彙の世界(lexical scene)に登場したのはその時である。 以下は,1808630日に王立協会で読まれた,地球の分解(the Decomposition of the Earths)の電気化学的研究(Electrochemical Researches)からのものである:

もし私が幸運にも,この件に関してもっと確実な証拠を入手でき,探していた金属物質を手に入れることができたなら,それらに ‘silicium, alumium, zirconium, そして ‘glucium’ という名前を付けていたはずである。
そう:デイビーは,今日 私たちが使用している名前のどちらでもそれを呼んでいなかった。彼は代わりに,‘alumium’ という用語を (理論上のみ) 使用した。これはラテン語の ‘alumina’ に由来する完全に合理的な新造語(coinage)で,末尾に立派な(nice)‘-ium’ が付いている。

To '-ium' or Not to '-ium'
-ium’ にするか ‘-ium’ にしないか

他の宇宙では,言葉の物語はそこで終わる。しかし,デイビーは心変わりしたようだ - おそらくすぐに。
オックスフォード英語辞典は,デイビーが 1809 年に行い,1810 年に出版した講演で,‘alumium’ という用語を使用せず,古き良き ‘alumina’ のみを ‘alumine’ と呼んでいると報告している。
1812年までに,デイビーは新造語を変更し,代わりに ‘aluminum’ を選択した。しかし,その前年,別の科学者が別のデイビーの講義のレビューで,‘potassium’(カリウム)と‘sodium’(ナトリウム)で非常によく知られている素敵な ‘-ium’ を使って,‘aluminium’ を造語した (ちなみに,デイビーも造語していた)

ノア・ウェブスター(Noah Webster)は,1828年の『アメリカ英語辞典(American Dictionary)』で,‘aluminum’ を「‘alumina’ の想定される金属ベースに付けられた名前」と定義した。

1909年の ‘Webster’の ‘New International Dictionary’ の時点で,‘aluminum’ と ‘aluminium’ の両方が単語のエントリに記載され,次の注釈が含まれていた:
   この言葉は,デイビーによって最初に ‘alumium’ の形で提案され,彼によって ‘aluminum’ に変更された;しかし,最終的には ‘sodium’,‘potassium’ などのアナロジーに適合するように ‘aluminium’ が作られた。‘aluminum’ の形は,米国の採掘,製造,取引で一般的に使用されている;‘aluminium’ の形は,英国では実用上均一に使用され,一般的に米国では化学者によって使用される。

1934年の ‘Webster’ の ‘Second International Dictionary’ では,‘aluminium’ は「特に英国的(especially British)」であると記されており,その注記の最後の行が改訂されている:‘aluminum’ の形は,米国で一般的に使用されている;‘aluminium’ の形は英国で使用され,米国では一部の化学者によって使用されている。

アメリカ化学会 (ACSthe American Chemical Society) 1925年に ‘aluminum’ を公式に採用したが,1990年に国際純正・応用化学連合 (IUPACthe International Union of Pure and Applied Chemistry) が ‘aluminium’ を国際標準として受け入れた。

そして,私たちは今日,北米の英語話者が使用する ‘aluminum’ と,それ以外の場所で使われる ‘aluminium’ を獲得している(land with)。食べ物を包み,適切に頭を保護してください。

(転載了)
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米国人が「アルミニウム」を 真面に発音できないと馬鹿にしてはいけません。
辞書にも はっきり「アルミナム」と出ているのです。

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コメント

1979年ごろに読んだ、アイザック・アシモフのエッセイに、この話題がありました。
当時、買った本をなくしてしまって、検索してやっと見つけました。
https://ameqlist.com/sfa/asimov.htm
アシモフ博士の極大の世界・極小の世界
の中の
「アルミニウム? アルミナム?」
です。
その他に、この本でアシモフが科学的に星占いを否定した文章に感嘆しました。

投稿: 岡 晃雄 | 2023年3月26日 (日) 01時17分

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