ロシアの新兵補充事情－募集 最低月給￥340,000－

‘BBC’ 電子版 Apr.21,2023付け
“Russian army launches campaign encouraging men to join”
「ロシア軍が男性の参加を促すキャンペーンを開始」
の見出し記事を 下記，拙訳・転載します。

***********************

ロシアでは，市民に軍隊への参加を呼びかける広範な広告キャンペーンが開始されたようだ。伝えられるところによると，ロシア軍はウクライナに侵攻してから1年以上，多大な損失を被り，進展を遂げるのに苦労している。モスクワの国防省は，軍との契約に賛同して民間の仕事を放棄するようロシア人に訴えるビデオを公開した。

このビデオには，スーパーマーケットの警備員，フィットネス・インストラクター，タクシー運転手が登場する － 全員が，市民生活に幻滅し（disillusioned），軍に入隊した後，充実感を感じているようだ。このビデオは，少なくとも 204,000 ルーブル (＄2,500; ￡2,000) の月給を約束しており，これはロシア平均月給の4 倍である。
ウクライナのプロパガンダはすぐに広告を覆し，文言を変更した編集版を作成した。ビデオの登場人物は現在，子供の殺害と斬首に反対し，「（ウラジミール大統領）プーチンの戦争犯罪について責任を負いたくない」と唱えている。ロシア語版では「男になろう（be a man）」と書かれているが，ウクライナのビデオでは「人間になろう（be a person）」，つまり，残虐行為（atrocities）を犯すな，と応えている。

ロシアのビデオは，国営テレビで大きな放送時間を割き，マスコミにも登場した，より広範なキャンペーンの一部である。ロシアで最も人気のあるソーシャル・ネットワークである ‘VKontakte’ では，独立系ウェブサイト ‘Novaya Gazeta’ の調査によると，軍隊の広告の数が 7 倍に跳ね上がった。メディアでのキャンペーンは，ロシアの街頭で軍の広告と並行して行われた。ロシアの首都のあるツイッター・ユーザーは，「この軍の新兵募集運動がどこにでもある（ubiquitous）ことを過小評価することはできない」と述べた。「それは完全にモスクワを席巻しており，次の別のポスターを見ることなしに2分も歩けないだろう。」

What the ads don't say
広告が語らないこと

ウクライナでの1年以上の戦闘の後，ロシア軍が新たな兵士を必死に必要としていたことが，新兵募集の動きに拍車をかけた可能性が高い。漏洩した米国の文書によると， 国防総省は，ロシアの死傷者は 189,500人 から 223,000人 の間であり，35,500人から 43,000人が戦死したと推定している。2022年9月，ウラジーミル・プーチン大統領は，軍隊への入隊を希望するかどうかに関係なく，新しい兵士を募集しようとする「部分的な動員（partial mobilisation）」を発表し，彼の人気の低下につながった。

今回，モスクワの当局は公然と動員を宣言することを避けようとしているようだ。プーチン大統領のスポークスマン，ドミトリー・ペスコフ氏は4月21日，「クレムリンでは動員の新たな波についての話はない」と述べた。彼は，ロシアの首都の学生が召集書類（call-up papers）を受け取り始めたという報告についての質問に答えていた。

ロシア政府が採用した軍隊の数を増やす他の方法には，ワーグナーの民間軍事会社が刑務所で傭兵（mercenaries）を募集することを許可することが含まれる。

また，2023年4月，ロシア議会は，召集書類のオンライン配信を開始する法律を承認することで，新しい軍人の募集を容易にし，徴兵を回避することをはるかに困難にした。

2022年9月にプーチン大統領が出した布告（decree）では，署名した者は，公式にはロシアで「特別軍事作戦（special military operation）」として知られている戦争が終わるまで軍を離れることはできない。

（転載了）
*********************
“You’re a man. Be a man.” が 現代ロシアの若者に，どのくらい通用するでしょうか？