World Press Freedom 2023,日本は 68位。
5月3日,“World Press Freedom Index(世界の報道の自由度指数)2023” を 国境なき記者団(Reporters Without Borders)が発表しました。その指数から自由度評価は大きく “good” or “satisfactory”(良い満足),“problematic”(問題あり),“difficult”(困難),“very serious”(事情に深刻)に分けられ,日本は ランキングで68位-「問題あり」に区分された。
発表掲載の中から抜粋して 下記,拙訳・転載します。
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“2023 World Press Freedom Index – journalism threatened by fake content industry”
「2023 World Press Freedom Index – 偽のコンテンツ産業によって脅かされるジャーナリズム」
国境なき記者団 (RSF:Reporters Without Borders) が毎年まとめている世界の報道の自由度指数の第 21版は,政治的,社会的,技術的な激変に関連する主要で,しばしば急進的な変化に光を当てている。
180の国と地域のジャーナリズムの環境を評価し,世界報道の自由の日(World Press Freedom Day)(5月3日)に発表された2023年の世界報道自由指数によると,状況は31ヶ国が「非常に深刻(very serious)」,42ヶ国が「困難(difficult)」,55ヶ国が「問題あり(problematic)」,52ヶ国が「良い(good)」または「満足(satisfactory)」と評価された。つまり,ジャーナリズムの環境は,全体で10ヶ国中 7ヶ国が「悪く」,10ヶ国中 3ヶ国しか満足できる状況ではない。
(*180ヶ国のランキングと評価スコアを下表に示す。)
ノルウェーは 7年連続で 1位である。しかし,珍しいことに,北欧以外の国が 2位にランクされている。すなわち,アイルランド (2位で 4位上昇) がデンマーク (1位下がって 3位) を上回っている。 オランダ (6位) は 22順位を上げ,犯罪記者のピーター R. デ・フリースが殺害される前の 2021年の位置を取り戻した。
インデックスの下部にも変更がある。最悪の3国はアジア諸国のみで占められている: ベトナム (178位) は,独立したレポーターとコメンテーター狩り(hunt)がほぼ完了している。 中国 (179 位で 4 つ下がった) は,ジャーナリストの世界最大の看守(jailer)であり,プロパガンダ・コンテンツの最大の輸出国の1つである; そして,驚くことではないが,北朝鮮(180位)。
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2022年より スコアは下がっているが,ランクは 70位から68位に上がっている。)
Japan
議会制民主主義の国である日本は,メディアの自由と多元主義(pluralism)の原則を支持している。しかし,伝統の重さ,経済的利益,政治的圧力,およびジェンダーの不平等が,ジャーナリストが政府に説明責任を負わせるという役割を十分に発揮することを妨げている。
Media landscape/メディアの状況
日本では,伝統的なメディアがニュース・ウェブサイトよりも影響力を維持し続けている。主流の新聞と放送局は,読売,朝日,日本経済,毎日,フジ・サンケイの 5つの主要なメディア・コングロマリットによって所有されている。読売新聞と朝日新聞は,1日の発行部数がそれぞれ 680万部と400万部で,世界で最も発行部数が多い新聞の1つである。同時に,日本放送協会 (NHK) は世界第2位の公共放送局(public broadcaster)である。
Political context/政治的背景
2012年以降,ナショナリスト右派が台頭して以来,多くのジャーナリストが,彼らに対する不信感,さらには敵意(hostility)さえ感じていると不満を漏らしてきた。‘kisha clubs’(記者クラブ,‘reporters’ clubs)のシステムは,確立された報道機関のみが政府のイベントにアクセスし,役人にインタビューすることを許可し,ジャーナリストを自己検閲(self-censorship)に誘導し,フリーランサーや外国人記者に対する露骨な差別(blatant discrimination)を表している。
Legal framework/法的枠組み
2021年に制定され,2023年に初めて適用された漠然とした言葉の規則(vaguely worded regulations)は,福島発電所などの「国家安全保障上の利益(national security interest)」と見なされる防衛施設やインフラに近い58の地域への一般市民(ジャーナリストを含む)の立ち入りを制限し,違反者には懲役2年の刑 および/または最高200万円(約18,240米ドル)の罰金を課すものである。政府はまた,「違法に」入手した情報の公開を最高10年の懲役に処する特定秘密保護法を改正することを拒否している。
Economic context/経済的状況
この世界で最も高齢化が進んだ国では,紙中心のモデル(paper-centred model)が依然として主要な経済モデルだが,その将来は読者の減少により不確実である。日本には,新聞と放送局の相互所有権(cross ownership)に対する規制がないため,極端なメディアの集中と,時には 2,000人を超える記者を含むかなりの規模のメディア・グループの成長がもたらされている。
Sociocultural context/社会文化的背景
日本政府と企業は,日常的に主流メディアの管理に圧力をかけており,その結果,汚職,セクシャル・ハラスメント,健康問題 (Covid-19,放射能),または汚染など,デリケートと見なされる可能性のあるトピックスについて厳しい自己検閲(self-censorship)が行われている。2020年,政府は新型コロナウイルスの健康対策を口実として,記者会見に招待されるジャーナリストの数を大幅に減らし,重大な国家の危機が発生した場合にその「指示(instructions)」に従うべき組織のリストに公共放送局NHKを含めた。
Safety/安全
日本のジャーナリストは比較的安全な職場環境を楽しんでいるが,「中傷的(defamatory)」と見なされるコンテンツをリツイートしただけで,政治家から訴えられたジャーナリストもいる。ソーシャル・ネットワークでは,ナショナリスト・グループは,政府を批判したり,福島の災害によって引き起こされた健康問題などの「愛国心に欠ける(unpatriotic)」テーマを取り上げたりするジャーナリストに対して日常的に嫌がらせを行っている(routinely harass)。
2022年12月の稀な事件で,日本外国特派員協会(the Foreign Correspondents' Club of Japan)は,クラブを爆破し,2 人のジャーナリストを殺害すると脅迫する不穏な電話を数回受けた。
(転載了)
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簡単には 日本のindex を上げることは難しそうです。
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