原 尞 氏,逝く。
ハードボイルド小説で直木賞を受賞した 原 尞氏(1946~ )が 5月4日に亡くなったことを 10日の新聞の死亡欄で知りました。
氏の作品は,私立探偵 沢崎シリーズ -
1988年 「そして夜は甦る」
1989年 「私が殺した少女」(第102回直木賞)
1990年 「天使たちの探偵」(第9回日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞)
1995年 「さらば長き眠り」
2004年 「愚か者死すべし」
2018年 「それまでの明日」
ー と寡作でした。
9年ぶりの 第5作「愚か者死すべし」の書き出しは-
「・・・どこかに挟んであった二つ折りの薄茶色のメモ用紙が,翅を動かすのも面倒くさくなった厭世主義の蛾のように落ちてきた。」ときて,「人間のすることはすべて間違っていると考えるほうがいい。すべて間違っているが,せめて恕(ゆる)される間違いを選ぼうとする努力はあっていい。」など泣かせる台詞を中年私立探偵・沢崎は呟きます。
14年ぶりの 第6作 「それまでの明日」 の書き出しは-
「西新宿のはずれのうらぶれた通りにある<渡辺探偵事務所>を訪ねてくるのは,依頼人だけではなかった。古びたドアをノックしさえすれば,記憶を失くした射撃選手も,性転換したゴースト・ライターも,探偵志望の不良少年もおかまいなしに入ってくることができた。一億円を奪われた暴力団員も,私を殺したい悪徳警官も現れた。 もっとも,最後の警官だけは私の留守中に押し入ったので,ドアをノックしたかどうかは不明である。 ・・・ 」
口の幸福は「あんぱん」と「牛乳」,酒は嫌い ー という 原 尞氏が描く私立探偵 沢崎は 拘りの酒も美食にも無縁でした。
私の2歳上で,原尞氏と同学年だった兄は,大学の軽音楽部の Jazz Combo “Modern Scholars” で 一緒に演奏したことがあり,他のメンバーから抜きんでてうまい演奏をしていたという氏は,卒業後上京して プロのピアニストになりました。
ご冥福を祈ります。
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