米国の子供の,銃による死亡率は人口比で黒人は白人の5倍。
‘Pew Research Center’,APRIL 6, 2023付けに
“Gun deaths among U.S. children and teens rose 50% in two years”
「米国の子供と十代の若者の銃による死亡は2年間で50%増加」
と題する調査・分析結果が報告されていました。
銃乱射事件がクローズアップされる米国ですが,この報告は銃による子供の犠牲者に焦点を当てています。
以下に 拙訳・転載します。
***********************
米国疾病管理予防センター(CDC:he Centers for Disease Control and Prevention)の最新の年間死亡率統計をピュー研究所が分析したところ,米国で銃撃により死亡した子供と十代の若者の数は2019年から2021年の間に50%増加した。
コロナウイルスのパンデミック前の2019年,米国の18歳未満の子供と十代の若者の銃による死亡者数は1,732人だったが,2021年までにその数字は2,590人に増加した。
子どもと十代の若者の銃による死亡率(国の人口の変化を調整した指標)は,2019年の未成年住民10万人あたり2.4人から2年後には10万人あたり3.5人に,46%増加した。
2021年に銃撃により死亡した子供と十代の若者の数と割合は,いずれも少なくとも1999年(CDCの死亡率データベースで18歳未満の情報が入手可能になった最初の年)以降のどの時点よりも高かった。
子供や十代の若者の間での銃による死亡の増加は,最近の米国人全体の銃による死亡の広範な増加の一部である。 2021年には,あらゆる年齢層の米国人の銃による死亡者数は4万8,830人で,年間合計としては過去最高を記録し,パンデミック前の2019年に記録された3万9,707人から23%増加した。
2021年の子供と十代の若者の銃による死亡の総数には,殺人,自殺,事故,および死亡診断書に根本的な死因として銃器が記載されているその他すべてのカテゴリーが含まれる。これには,銃器が死因の一因ではあるが根本的ではないとして挙げられている死亡は含まれていない。
2021年に児童と十代の若者の間で銃による死亡が単一カテゴリーとして最大となったのは殺人(homicide)で,同年の全体の60%を占めた。次いで自殺が32%,事故が5%となった。対照的に,米国の成人では,2021年の銃による死亡者の過半数(55%)は自殺だった。
銃による死亡者数(fatalities)のデータに加えて,CDCは子供や十代の若者が銃に関連して受けた致命的ではない(nonfatal)傷害の推定値も公表している。利用可能なデータが存在する最新の年である 2020年に,18歳未満の子供と十代の若者の間で銃による怪我で救急室を訪れた件数は 11,000件を超え,これは近年の例をはるかに上回っている。ただし,CDC の推定値は米国のすべての病院ではなく米国の病院のサンプルに基づいており,大きな誤差が生じる可能性があるため,正確な数を把握することはできない。
Gun deaths are much more common among some groups of children and teens
銃による死亡は,一部の子供や十代の若者の間ではるかに一般的
米国では,一部の子供や十代の若者のグループが他のグループよりも銃撃で死亡する可能性がはるかに高い。例えば,2021年には子供と十代の若者の銃による死亡者数全体の83%が少年であり,少女は17%にすぎなかった。
年長の子供と十代の若者は,年少の子供よりも銃関連の事件で殺される可能性がはるかに高くなる。2021年の子供と十代の銃による死亡者全体の86%は12歳から17歳が占め,6歳から11歳は全体の7%,5歳以下も同様だった。それでも,2021年には6歳から11歳までの子どもの銃による死亡者数は179人,5歳以下の子どもでは184人だった。
3つの年齢層すべてにおいて,2021年の銃による死亡の主な種類は殺人(homicide)だった。しかし,12歳から17歳では銃による死亡のかなりの割合(36%)を自殺が占め,5歳以下では銃による死亡のかなりの割合(34%)を事故が占めていた。
子どもたちの銃による死亡における人種的・民族的差異は明らかだ。 2021年,同年の米国の18歳未満人口のうち黒人が占める割合はわずか14%であったにもかかわらず,子供や十代の若者の銃による死亡事故全体の46%に黒人が関与していた。2021年の子供と十代の若者の銃による死亡のうち,白人(32%),ヒスパニック系(17%),アジア系(1%)の犠牲者の割合ははるかに低かった。
別の見方をすると,2021年に黒人の子供と十代の若者が銃撃で死亡する可能性は白人の子供と比べて約 5倍だった。同年の黒人の子供と十代の若者の銃による死亡者数は10万人当たり11.8人だったのに対し,白人の子供と十代の若者の銃による死亡者数は10万人当たり2.3人だった。ヒスパニック系の子供と十代の若者の銃による死亡率も,2021年には10万人あたり2.3人だったが,アジア系の子供と十代の若者は低かった(10万人あたり0.9人)。
また,子供や十代の若者が巻き込まれる銃による死亡の種類には,人種や民族による大きな違いがある。2021年,黒人の子供と十代の若者が巻き込まれた銃による死亡の大部分(84%)は殺人で,自殺は9%のみだった。対照的に,白人の子供と十代の若者の間では,銃による死亡の大部分(66%)は自殺であり,殺人による死亡の割合(24%)ははるかに低かった。
この分析では,黒人,白人,およびアジア人の子供と十代の若者たちには,ヒスパニック系ではなく単一人種の子供たちだけが含まれるが,ヒスパニック系の子供たちと十代の若者たちはあらゆる人種に属する。
Nearly half of U.S. parents worry about their children getting shot
米国の親の半数近くが自分の子供が銃で撃たれることを心配している
米国の親のかなりの(sizable)割合が,自分の子供が銃で撃たれるのではないかと心配している。ピュー研究所が2022年秋に実施した調査では,18歳未満の子供を持つ親の22%が,自分の子供がいつか(at some point)銃撃されるのではないかと極めて,または非常に心配していると回答し,別の23%は多少心配していると答えた。それでも,半数以上はこのことについては心配していないと答えた。
調査では,これらの懸念には人口動態(demographic)の違いがあることが判明した。ヒスパニック系の親の約10人に4人(42%)と黒人の親の約3分の1(32%)は,自分の子供が銃で撃たれることを極めて,または非常に心配していると答えたのに対し,アジア系の親(23%)や白人の親(12%)の割合は低かった。
自称都市部コミュニティ(35%)の親は,田舎(19%)や郊外(17%)地域の親よりも,自分の子供が銃撃されることを極めて,または非常に心配している可能性がかなり高かった。また,低所得層の親(40%)は,中所得層(16%)や高所得層(10%)の親よりも,極めて,または非常に心配する可能性がはるかに高かった。
Partisan differences were evident, too.
政党派間の違いも明らかだった。
民主党および民主党支持の親は,共和党および共和党支持の親の約2倍,自分の子供がいつか銃で撃たれるのではないかと極めて,または非常に心配していると答えた(27% 対 14%)。
(転載了)
************************
有効な対策がない実態が残念です。
| 固定リンク | 0
「ニュース」カテゴリの記事
- ウクライナ侵攻 1年5ヶ月後のプーチンの動機分析(2023.09.29)
- ロシアのウクライナ侵攻の翌日,「インサイダー」に掲載されたプーチンの侵攻理由(2023.09.27)
- 大相撲 秋場所 宇良関 9勝6敗で勝ち越し。(2023.09.25)
コメント