米国における殺人事件の8割，自殺の5割以上は銃による－

‘Pew Research Center’，Apr.26,2023付け
“What the data says about gun deaths in the U.S.”
「米国での銃による死亡者数についてデータが示していること」
の調査結果を拙訳・転載します。

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疾病管理予防センター (CDC：The Centers for Disease Control and Prevention) から入手可能な最新の統計によると，2021年に銃関連の負傷で亡くなった米国人の数は，これまでのどの年の記録よりも多かった。これには，銃による殺人と銃による自殺の記録的な数が含まれていた。このような死亡者数の増加にもかかわらず，銃による死亡率 (国の人口増加を説明する統計) は，過去数十年のレベルを下回ったままである。

ここでは，CDC，FBI，およびその他の情報源からのデータのピュー研究所の分析に基づいて，米国での銃による死亡を詳しく調べたものを示す。また，米国の銃犯罪と銃政策に関する主要な世論調査結果も読むことができる。

How many people die from gun-related injuries in the U.S. each year?
米国では毎年，銃による負傷で何人が亡くなっているか?

CDC によると，完全なデータが入手できる最新の年である 2021年には，米国で 48,830人が銃関連の負傷で死亡した。この数字には，銃による殺人と銃による自殺に加えて，CDC が追跡しているあまり一般的ではない 3種類の銃関連の死亡が含まれている：事故によるもの，法執行機関が関与したもの，状況を特定できなかったものである。合計には，銃創が寄与しているが主要な役割を果たしていない死亡は除外されている。(CDC の死亡統計は，単一の死因を特定する公式の死亡診断書に含まれる情報に基づいている。)

What share of U.S. gun deaths are murders and what share are suicides?
米国の銃による死亡者のうち，殺人と自殺の割合は?

自殺は，銃関連の殺人ほど世間の注目を集めない傾向にあるが，長い間，米国の銃による死亡の大半を自殺が占めてきた。CDC によると，2021年に米国で発生した銃関連の死亡者数の 54% は自殺 (26,328) であり，43% は殺人 (20,958) だった。その年の残りの銃による死亡は，事故によるもの (549件)，法執行機関によるもの (537件)，または未確定の状況によるもの (458件) だった。

What share of all murders and suicides in the U.S. involve a gun?
米国の殺人と自殺のうち，銃が関与する割合は?

2021年の米国の殺人事件の約10分の8 － 26,031件中 20,958件 － つまり 81% が銃器を使用したものだった。れは，少なくとも CDC がオンライン記録を始めた最初の年である 1968年以来，最高の割合を記録した。2021年の全自殺の半分以上 (48,183件中 26,328件，つまり 55%) も銃によるもので、2001年以来最高の割合だった。

How has the number of U.S. gun deaths changed over time?
米国の銃による死亡者数は時間の経過とともにどのように変化したか?

2021年の記録的な 48,830人の銃による死亡は，コロナウイルスのパンデミックが始まる前の 2019年から 23% 増加したことを反映している。

特に，銃による殺人はパンデミック中に急激に増加し，2019年から 2021年の間に 45% 増加し，その間に銃による自殺者の数は 10% 増加した。

パンデミックが始まって以来，米国の銃による死亡者数が全体的に増加していることには，18歳未満の子供と 10代の若者の銃による死亡者数が特に急増していることも含まれている。2019年の 1,732人から 2021年の 2,590人へと，わずか 2年間で子供と 10 代の銃による死亡者数が 50% 増加した。

How has the rate of U.S. gun deaths changed over time?
米国の銃による死亡率は時間の経過とともにどのように変化したか?

2021年には米国で銃による死亡者数が最も多くなったが，この統計では，この国の人口増加は考慮されていない。2021年の人口10 万人あたりの銃による死亡者数は 14.6人で，1990年代初頭以来の最高値であるが，1974年の 10万人あたりの銃による死亡者数のピークであった 16.3人をはるかに下回っている。

米国の銃による殺人率は，パンデミック中に急激に上昇したにもかかわらず，依然としてピーク・レベルを下回っている。2021年の人口 10万人あたりの銃による殺人件数は 6.7件で，1974年に記録された 7.2件を下回っている。

一方，銃による自殺率は現在，歴史的なピークと同程度である。2021年の人口10万人あたりの銃による自殺は 7.5人で，統計的には 1977年の 7.7人とほぼ同じである。(1970年代の数字を考慮する際の 1つの注意点 : CDCのデータベースでは，1968年から 1978年までの銃による殺人と銃による自殺は，銃器と爆発物によるものとして分類されている。その後は，銃器による死亡のみに分類される。)

Which states have the highest and lowest gun death rates in the U.S.?
米国で銃による死亡率が最も高い州と最も低い州は?

銃による死亡率は，州によって大きく異なる。

2021年に，CDC が追跡した殺人，自殺，その他すべてのカテゴリーを数えると，銃関連の死亡率が最も高い州には，ミシシッピ (10万人あたり 33.9人)，ルイジアナ (29.1人)，ニューメキシコ (27.8人)，アラバマ(26.4人)，ワイオミング (26.1人)が含まれる。
合計率が最も低い州には，マサチューセッツ (3.4人)，ハワイ (4.8人)，ニュージャージー (5.2人)，ニューヨーク (5.4人)，ロードアイランド (5.6人) が含まれる。

銃による殺人と銃による自殺の割合を別々に見ると，結果は多少異なる。
2021年に銃による殺人率が最も高かったのは，コロンビア特別区 (10万人あたり 22.3人)，ミシシッピ (21.2人)，ルイジアナ (18.4人)，アラバマ (13.9人)，ニューメキシコ (11.7人) だった。
銃による殺人率が最も低い州には，マサチューセッツ (1.5人)，アイダホ (1.5人)，ハワイ (1.6人)，ユタ (2.1人)，アイオワ (2.2人) が含まれる。
メイン州，ニューハンプシャー州，バーモント州，ワイオミング州での殺人率は計算できてない。

2021年の銃による自殺率が最も高い州には，ワイオミング (10万人あたり 22.8人)，モンタナ (21.1人)，アラスカ (19.9人)，ニューメキシコ (13.9人)，オクラホマ (13.7人) が含まれる。
銃による自殺率が最も低い州は，マサチューセッツ (1.7人)，ニュージャージー (1.9人)，ニューヨーク (2.0)，ハワイ (2.8人)，コネチカット (2.9人) だった。
コロンビア特別区の自殺率見積もりは利用できなかった。

How does the gun death rate in the U.S. compare with other countries?
米国の銃による死亡率は他の国と比べてどうか?

米国の銃による死亡率は，他のほとんどの国，特に先進国よりもはるかに高くなっている。しかし，ワシントン大学の健康測定評価研究所の研究者による 195ヶ国と地域の 2018年の研究によると，それはラテン・アメリカのいくつかの国の率をまだはるかに下回っている。

調査の最新年である 2016年の米国の銃による死亡率は，10万人あたり 10.6人であり，CDC とは多少異なる方法論を使用していた。
これは，カナダ (10万人あたり 2.1人) やオーストラリア (1.0人) などの国や，フランス (2.7人)，ドイツ (0.9人)，スペイン (0.6人) などのヨーロッパ諸国よりもはるかに高かった。 しかし、米国の割合は、エルサルバドル (100,000 人あたり 39.2人)，ベネズエラ (38.7人)，グアテマラ (32.3人)，コロンビア (25.9人)，ホンジュラス (22.5人) よりもはるかに低いことが調査でわかった。全体として，米国はその年の銃による死亡率で 20 位にランクされた。

How many people are killed in mass shootings in the U.S. every year?
米国では毎年，銃乱射事件で何人が死亡しているか?

「銃乱射事件（mass shooting）」という用語について，合意された単一の定義がないため，これは答えるのが難しい質問である。定義は，犠牲者の数や銃撃の状況などの要因によって異なる。

FBI は，「積極的な銃撃事件（active shooter incidents）」に関するデータを収集する。これは，「人口密集地域で人々を積極的に殺害または殺害しようとしている 1人以上の個人」と定義されている。

FBI の定義を使用すると－銃撃者本人を除く － 2021年に103人がそのような事件で死亡した。

米国の銃による暴力事件のオンライン・データベースである ‘Gun Violence Archive’ は，銃乱射事件を、4人以上が撃たれた事件（死者がいなくても，かつ，銃撃者本人を除く）と定義している。この定義を使用すると，2021年にこれらの事件で 706人が死亡した。

使用されている定義に関係なく，米国での銃乱射事件による死亡者数は，毎年全米で発生するすべての銃による殺人事件のごく一部にすぎない。

How has the number of mass shootings in the U.S. changed over time?
米国での銃乱射事件の数は時間の経過とともにどのように変化したか?

銃乱射による死亡者数の計算を難しくしている定義上の問題は，時間の経過に伴う米国の銃乱射事件の頻度を決定しようとするときにも出てくる。これらの事件の予測不可能性も問題を複雑にしている：‘Rand Corp.’ が調査概要で指摘したように，「年間の銃乱射事件数の確率変動により，明確な傾向を識別することが難しくなり，傾向の推定は異常値と分析のために選択された時間枠に敏感になる。」

FBI は，2000年から 2021年の間にアクティブな銃乱射事件が増加していることを発見した。2000年にはそのような事件が 3件あった 2021年までに，その数字は 61件に増加した。

Which types of firearms are most commonly used in gun murders in the U.S.?
米国での銃による殺人で最も一般的に使用されている銃器の種類は?

FBI がデータを公開した最新の年である 2020年には，データが入手可能な 13,620件の米国の銃による殺人および非過失・過失致死事件の 59% に拳銃が関与していた。
ライフル － 「突撃兵器（assault weapons）」と呼ばれることもある銃を含むカテゴリ － は，銃による殺人の 3% に関与していた。
ショットガンは 1% に関与していた。 残りの銃による殺人と過失による致死事件 (36%) には，他の種類の銃器または「型式不明」に分類される銃器が関係していた。

FBI の統計は、毎年米国で起きているすべての銃による殺人事件の詳細を把握しているわけではないことに注意することが重要である。FBI のデータは，全国の警察署から自発的に提出された情報に基づいており，毎年すべての機関が参加したり，完全な情報を提供したりするわけではない。
（転載了）
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厳しい銃規制があれば 殺人による犠牲者は半分以下に ･･･ とは限りません。別の手段が考えられるでしょう。