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2023年6月24日 (土)

タイタニック観光の潜水艇「タイタン」遭難。

REUTERS’,June 23, 2023付け
Titanic sub destroyed in 'catastrophic implosion,' all five aboard dead
「タイタニック号観光潜水艇が『壊滅的爆縮』で破壊,乗組員5人全員死亡」
の見出し記事を,下記,拙訳・転載します。

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6月22日(ロイター)- 100年前の沈没船タイタニック号への航海中,5人を乗せた深海潜水艇が「壊滅的な爆縮」により破片となって発見され,乗員全員が死亡したと米国沿岸警備隊が木曜日(622日)に発表した。 多国間で5日間にわたる同船の捜索が行われた。

木曜日の朝,カナダの船から降ろされた潜水ロボットが,タイタニック号の船首から約1,600 ft488m),水面下2.5 mile4km)の海底で,潜水艇タイタン号の破片域を発見したと,米国沿岸警備隊のジョン・モーガー(John Mauger)少将が記者団に語った。

米国に本拠を置く会社 ‘OceanGate Expeditionsが運航するタイタン(Titan)号は,日曜日の朝,世界で最も有名な難破船まで2時間かかるはずだった潜水から約1時間45分後に水上支援船との連絡が途絶えて以来,行方不明となっていた。

沿岸警備隊当局者らによると,全長22 ft6.7m)のタイタンの5つの主要な破片が,艇のテール・コーン(tail cone)と圧力殻(pressure hull)の2つの部分を含んで,崩壊後に残された瓦礫場で発見された。 人間の遺体が目撃されたかどうかについては言及されていない。
「ここの瓦礫地帯は艇の壊滅的な爆縮(catastrophic implosion)と一致している」とモーガー氏は語った。

OceanGate’ は沿岸警備隊の記者会見前から,タイタン号に乗っていた同社の創設者兼最高経営責任者ストックトン・ラッシュ(Stockton Rush)氏を含む、タイタン号に乗っていた5人の中に生存者はいないとの声明を発表した。

他の4人は英国の億万長者で探検家のハミッシュ・ハーディング(Hamish Harding)氏(58歳);パキスタン生まれのビジネスマン,シャザダ・ダウッド(Shahzada Dawood)氏(48歳)と彼の息子;スレマン(Suleman)君(19歳)はともに英国籍;そして,フランスの海洋学者で有名なタイタニック号の専門家,沈没船を数十回訪れたことがあるポール・アンリ・ナルジョレット(Paul-Henri Nargeolet)氏(77歳)。
「彼らは明確な(distinct)の冒険精神と,世界の海洋を探検し保護することへの深い情熱を共有した真の探検家だった」と同社は述べた。「この悲劇的な時に,私たちの心はこの5人の魂とその家族全員とともにあります。」

米国,カナダ,フランス,英国の捜索チームと支援要員は,何日もかけて飛行機や船で数千平方マイルの外海をスキャンし,タイタンの痕跡がないか調べた。

捜索に関する世界中のメディアの張り詰めた(intense)報道は,先週,ギリシャ沖で起きた移民船の難破に端を発し,数百人が死亡したはるかに大きな海難事故(maritime disaster)の余波(aftermath)にほとんど影を落とした(overshadowed)。

SOUNDS FROM THE DEEP
深海からの音

モーガー氏は,タイタンがいつ最期(fate)を迎えたかを判断するのは時期尚早だと語った。モーガー氏によると,捜索チームはその地域の水中に3日間以上ソナー・ブイを設置していたが,潜水艇が破壊した(imploded)ときに発生したであろう大きくて激しい騒音は何も検出されなかったという。

しかし,破片(debris)場の位置が難破船に比較的近いことと,タイタンとの最後の交信の時間枠から,日曜日の降下(descent)終わり近くに破壊が起きたことを示唆しているようだ。
これとは別に,米海軍は,独自の音響データ(acoustic data)の分析により,通信が途絶えた潜水艇の位置付近で「爆縮または爆発と一致する異常(an anomaly consistent with an implosion or explosion)」が検出されたことを認めた。

ウォール・ストリート・ジャーナルが最初に引用した声明の中で,海軍高官は,「決定的なもの(definitive)ではないが,この情報は捜索任務の指揮官とすぐに共有された」と述べた。

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同紙は匿名の米国防当局者の話として,この音は敵の潜水艦を探知するために設計された極秘システムによって拾われたと述べた。

オスカー受賞映画「タイタニック」を監督し,自らも潜水艇で難破船に向かったこともある映画監督ジェームズ・キャメロン(James Cameron)氏は,木曜日のロイター通信とのインタビューで,音響調査結果を1両日中に知り,それが何を意味するのか理解したと述べた。
「知り合い全員にメールを送り,友人を失ったと伝えた。潜水艇は爆縮した。今はバラバラになって海底に沈んでいる。月曜の朝にメールを送った。」と彼は振り返った。

火曜日と水曜日,航空機によって投下されたソナー・ブイがいくつかの音を拾い,タイタンがまだ無傷であり,乗員が生きていて船体を叩いて通信しようとしているのではないかという一時的な希望を与えた。
しかし当局者らは,音の分析は決定的ではなく(inconclusive),音はおそらく別のものから発せられたものであると述べた。

「音と海底の位置との間には何の関連性もないようだ」とモーガー氏は木曜日に語った。

REMOTE-CONTROLLED VEHICLES
遠隔操作艇 

モーガー氏は,海底のロボット探査機は証拠収集を続けるが,事故の性質とその深さの極限状態を考慮すると,犠牲者の遺体の回収が可能かどうかは不明だと述べた。
「今後24時間以内に現場からの人員と船舶の動員解除(demobilize)を開始する」と提督は述べた。

タイタンが無傷であれば潜水艇の推定96時間分の空気供給がなくなると予想されていた木曜日,捜索はますます必死になっていたが,カウントダウンは無意味であることが判明した。

1912年の処女航海中に氷山に衝突して沈没し,乗客・乗員 1,500名以上が死亡した ‘the RMS Titanic’ は,マサチューセッツ州ケープコッドの東約 900 mile (1,450 km),ニューファンドランド,セント・ジョンズの南 400mile (640 km)の海底に横たわっている。

OceanGate’ のウェブサイトによると,同社が2021年から実施しているこの沈没船への海底探検の費用は1人当たり25万ドルだった。

タイタンの安全性に関する疑問は,2018年に潜水艇業界の専門家によるシンポジウムや,‘OceanGateの元海洋事業責任者による訴訟で提起され,同年後半に和解が成立した。

広範囲にわたる捜索は,10,000平方マイル以上の海洋をカバーした。木曜日には,2台の特殊な深海ロボットの配備により,捜索がさらに深海まで拡大されたが,そこでは計り知れない圧力と漆黒の暗闇が任務を複雑にした。

この観光用潜水艇の運命は,タイタニック号にまつわる神話(mythology)の影響もあり,世界的な注目を集めた。英国の「不沈」客船は,この物語への人々の関心を再燃させた 1997 年の大ヒット映画「タイタニック」を含め,一世紀にわたってノンフィクションとフィクションの両方に影響を与えてきた。
(転載了)

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破壊した「タイタン」は 「能力・安全性」を検査・承認する公式認定機関(船級協会)の承認を得ておらず,したがって 保険対象外(保険会社は相手にしない)だと思われるので,乗客がサインしたという宣誓書(契約書?)には損害賠償を求めないーとなっているようです。
すなわち,一般の観光船と違って 生命に対しても自己の責任下での参加ということです。(それが冒険?)

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