大学入学選考で人種考慮を米最高裁「違憲」判断の前に行われた調査報告
「米連邦最高裁は6月29日,大学による人種を考慮した入学選考を制限する判断を示した。人種を選考基準の一つとするハーバード大とノースカロライナ大の制度は,国民の平等な権利を保障する憲法修正第14条に違反するとした。米国の大学が長年採用してきた黒人ら人種的マイノリティー(少数派)の優遇措置は見直しを迫られ,奨学金や雇用などに影響が広がる可能性もある。」との報道がありました。
この判決前,JUNE 8, 2023付けで ‘Pew Research Center’ は米国民のこの制度に対する見解を調査し,次のタイトルで報告しています。
“More Americans Disapprove Than Approve of Colleges Considering Race, Ethnicity in Admissions Decisions”
「入学決定において 人種や民族を考慮する大学を支持するよりも支持しないアメリカ人の方が多い」
下記に,拙訳・転載します。
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最高裁判所の判決を前に、人種的および民族的多様性を高めるための大学の取り組みに対する見解には党派間の大きな違いがある
米国の一部のトップ大学の入学慣行に重大な影響を与える可能性のある最高裁判所の判決が注目されているが,米国の成人の半数は,入学決定の際に入学希望者(prospective students)の人種的および民族的背景を考慮する差別的な(selective)大学には反対していると述べている。学校の多様性を高めるために人種や民族性を考慮する大学を承認している人は少ない (33%) が,16% は確かではない。
法廷が任期満了に近づき,私立ハーバード大学と公立ノースカロライナ大学をめぐる2件の関連訴訟の判決が今後 数週間以内に下される予定であることから,ピュー研究所の新たな調査によると,米国人は,大学がこのようなことを行うことを強く反対すると回答する人(約29%)が,強く支持すると回答する人 (11%) の3倍であることが判明した。
Partisans express sharply different views on the consideration of race and ethnicity in college admissions
大学入学における人種と民族性の考慮について,各政党は全く異なる見解を表明
共和党員と共和党寄りの無党派層の約4分の3(74%)がこうした慣行を支持しないと回答しており,その中には強く反対する48%も含まれている。共和党員のわずか14%が,入学を決定する際に,大学が学生の人種的および民族的背景を考慮することを承認している。
対照的に,民主党員と民主党支持者のギリギリの過半数(54%)は,大学がこれを行うことを承認しており,19%が強く支持している。大学入学における人種と民族性の考慮に反対しているのは 民主党員の約10人に3人(29%)である。
Substantial differences in views across racial and ethnic groups
人種や民族間の考え方の大きな違い
黒人米国人のほぼ半数(47%)は,入学を決定する際に入学予定の学生の人種的および民族的背景を考慮して大学を承認していると回答しており,反対しているのは29%である(24%は確信がない)。
ヒスパニック系米国人の間では,これらの慣行を支持する人も支持しない人も同じ割合でいる (それぞれ 39%)。 白人もアジア系米国人も,大学がこのようなことを行うことを支持しない(白人成人の57%,アジア系成人の52%)傾向が,賛成(それぞれ29%,37%)よりも強い。
Effects of colleges considering race and ethnicity in admissions decisions
入学決定において人種と民族性を考慮する大学の影響
Fairness of the admissions process
入学手続きの公平性
この調査は,2023年3月27日から4月2日まで,同センターの ‘American Trends Panel’ のメンバー5,079人を対象に実施されたもので,米国人は,入学決定における人種と民族性の考慮により、入学プロセス全体がより公平になる (20%) よりもむしろ不公平になる (49%)と回答する可能性が2倍以上であることが判明した;17% はプロセスに影響はないと回答している。
Accepted students’ qualifications
受け入れられる学生の資格
こうした慣行を行っている大学に入学を許可された学生の10人中4人近くが,そうでない場合と比べて資格が高くも低くもないと答えているが,3分の1は学生の資格が低いと答えている。これらの大学に入学を許可された学生は,入学予定の学生の人種的および民族的背景を考慮しなかった場合よりも資格が高いと答えたのはわずか 11% だった。
Students’ educational experiences
学生の教育的経験
志願者の人種や民族性を考慮する大学では,学生の教育経験が良いか悪いかについては意見がより細かく分かれており,ほぼ同じ割合で学生の教育経験が良い(27%),悪い(26%)と回答している。
Ensuring equal opportunity for Americans of all racial and ethnic backgrounds
あらゆる人種的および民族的背景を持つ米国人に平等な機会を確保する
国民は,大学がこのような取り組みを行っていることは,あらゆる人種や民族的背景を持つ米国人に平等な機会を保障するという点で,悪い(31%)よりも良い(36%)と言う傾向がわずかに高い。
Other important findings from the survey
調査から得られたその他の重要な発見
College graduates hold more favorable attitudes about the consideration of race and ethnicity in college admissions.
大卒者は,大学入学における人種や民族性の考慮について,より好意的な態度をとっている。
・大学の学位を持たない人は,入学決定において人種と民族性を考慮する選択的大学を,ほぼ 2対1 で不支持の方が賛成よりも多い傾向にあり (不支持 52% 対 支持 28%), 対照的に,大卒者はほぼ半々に分かれている(賛成45%,反対47%)。
・黒人,ヒスパニック系,白人の大学卒業生はいずれも,同じ人種的または民族的背景を持つ非卒業生よりもこうした慣行を承認する可能性が高い。
There are large differences between White and Hispanic Republicans in views about race and ethnicity as a factor in college admissions.
大学入学の要素としての人種と民族性についての見解において,白人共和党員とヒスパニック系共和党員の間には大きな違いがある。
・白人の共和党員は志願者の人種や民族性を考慮すると圧倒的に大学を不支持である:78%が不支持で,そのうち51%が強く不支持である。ヒスパニック系共和党員のより少ない割合 (55%) が不支持である。
・民主党員の間では,人種や民族による違いはより控えめである。
Most who support considering race and ethnicity in admissions say it is good for equal opportunity, while most opponents say it makes the admissions process less fair.
入学時に人種や民族性を考慮することを支持する人のほとんどは,それが機会均等にとって良いことだと主張する一方,反対者のほとんどは,入学手続きの公平性を損なうと主張している。
・承認者の約4分の3(73%)は,これはすべての米国人に平等な機会を確保するのに良いことであると述べ,61%はこれらの学校での生徒の教育経験がより良くなると述べた。
・入学時に人種や民族を考慮する大学を支持しない人のうち,78%が入学プロセス全体の公平性を損なうとしているが,少数派(各55%)は,これらの大学に入学する学生の資格が低くなり,不公平であり,機会均等を確保するには悪いと述べている。
Black Americans are more likely than those in other groups to report personal experiences with efforts to increase diversity.
黒人米国人は他のグループに比べて,多様性を高める取り組みに関する個人的な経験を報告する傾向が高い。
・米国成人の約4分の1(24%)は,人種や民族の多様性を高める取り組みによって教育やキャリアにおいて個人的に不利益を被ったと回答し,約10人に1人(11%)はこれらの取り組みから恩恵を受けたことがあると回答している。
・黒人米国人は,これらの両方を経験したと報告する可能性が高い。35% が,これらの取り組みによって不利益を被ったと答え,20% が利益を得たと回答した (11% は,利益と不利益の両方を経験したと答えた)。 また,米国国民全体の 15% が,他人がこうした取り組みから不当な利益を得ていると考えていると回答しているのに対し,黒人成人の 28% は,自分たちにも同様のことが起こったと回答している。
(転載了)
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日本の一部大学医学部で行われていた 女子学生の数を制限する操作とは 逆の操作と言えます。
いずれも 公平さを欠きます。
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