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2023年8月 1日 (火)

世界の中国(外交政策など)を見る目は一層 厳しくなる。

Pew Research CenterJULY 27, 2023付け
China’s Approach to Foreign Policy Gets Largely Negative Reviews in 24-Country Survey
「中国の外交政策へのアプローチは 24ヶ国の調査結果,おおむね否定的な評価に」
のタイトル調査報告を 下記,拙訳・転載します。

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002m_20230728165301 ピュー研究所の最新調査では,中国に対する見方は24ヶ国で広く否定的であり,成人の中央値 67が中国に対して好ましくない意見を表明し,28だけが好意的な意見を持っている。

否定的な見方は中国の国際行動の評価にも及んでいる。サウジアラビアとイラン間の和平協定の仲介や,ウクライナでの暴力終結に向けた12項目の提案の発表など,過去1年間に中国政府がいくつかの注目を集めた外交的取り組みにもかかわらず,中央値の71が中国は世界の平和と安定のために貢献していないと考えている。

また,ほとんどの人は,中国は外交政策において他国の利益を考慮していないと考えており(76%),中央値の57%が,中国は他国の問題に多大またはかなりの量で干渉していると答えている。

それでも,中所得国では高所得国よりも中国に対する態度がやや楽観的だ(rosier)。パンデミック下で対面インタビューを行うことが困難であるため,ピュー研究所は2019年以降調査を行っていない 8つの中所得国において,過半数が中国に対して否定的な見方をしている唯一の中所得国としてインドが際立っている。そしてケニア,メキシコ,ナイジェリアの3つの中所得国では過半数が中国に肯定的な評価を与えている。

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これらの中所得国でも中国の世界的な行動を批判する国は少なく,中国の「ソフト・パワー」に魅力を感じている国はさらに多い。実際,これらの中所得国の国民は中国の娯楽製品,大学,生活水準に対して比較的好意的な評価をしている一方,ほとんどの高所得国の国民はこれに同意する人はほとんどいない。

しかし,調査対象となった 24ヶ国すべてにおいて,中国のテクノロジーについてはより多くの同意が得られている。中央値の 69%が,中国の技術的成果は他の富裕国と比較して最高か平均以上であり,高所得国と中所得国でも同様のシェアを持っていると述べている。また,中央値の54が中国の軍事力は世界最強だと考えている。

しかし,この国が世界有数の経済大国であるという見方は近年,やや揺らいでいる(faltered)。現在,中国よりも米国をトップの経済大国として挙げる人の方が多い(中央値はそれぞれ4233)。この変化の多くは高所得国で起きており,ドイツ,オランダ,ポーランド,スウェーデンなど,調査対象となったほぼすべての国で中国という名前の割合が2桁減少している。

米国では,中国と米国が2022年に世界をリードする経済大国であると同率(43)が考えているが,この1年で見方は大きく変化した。現在,米国人は中国よりも米国の名前を挙げる可能性が 10パーセンテージ・ポイント高くなっている (48% 38%)。(米国人の中国観について詳しくは,「米国人は中国の世界的役割とロシアとの関係に批判的(Americans are Critical of China’s Global Role – as Well as Its Relationship With Russia)」をお読みください。)

これらの調査結果は,ピュー研究所が2023220日から522日まで24ヶ国の3万人以上を対象に実施した新たな調査から得られたものである。
以下は,中国の全体像,中国の外交政策に対する見解,習近平国家主席の評価,中国のソフトパワーとその経済力に関する意見に関するその他の調査結果の一部である。

Overall ratings for China
中国の総合評価

北米,西ヨーロッパ,アジア太平洋地域の一部など,調査対象となった多くの高所得国では,ここ数年同様,大多数が中国に対して否定的な見方をしている。実際,調査対象となったほぼすべての高所得国での否定的な見方は,現在,歴史的最高値かそれに近い水準にある。ほとんどの国では,これは昨年に比べて大幅な増加を反映していない。むしろ,否定的な見方は近年,依然として高いままである。注目に値する例外の1つはポーランドで,両国関係が緊張している間に否定的な見方が12ポイント増加したが,これはおそらく中国のウクライナ戦争への対応に関連していると思われる。

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中所得国の中国に対する見方は比較的肯定的だ。それでも,これらの国のほとんどでの否定的な評価も,パンデミック前の最後に調査が行われたときから増加している。たとえば,南アフリカとメキシコでは,2019年以降,意見がいくぶん否定的になり,アルゼンチン,ブラジル,インドでは否定的な意見が歴史的最高値に達することさえある。インドでは,係争中の国境沿いでの軍事衝突が,否定的な意見が21パーセンテージ・ポイント増加した一因となった可能性がある。

China’s role on the world stage
世界舞台における中国の役割

ほとんどの国の多数派は,中国が彼らのような国の利益を考慮していないと考えている。カナダ,フランス,イスラエル,スペイン,スウェーデンでは,約半数以上が中国は全く彼らを考慮していないと回答している。国民の約半数以上が,中国が自国の意見に耳を傾けていると感じているのは,調査対象となったサハラ以南のアフリカ3ヶ国とインドネシアだけである。

また,中国は世界の平和と安定にほとんど貢献していない,あるいは まったく貢献していないと考えている中央値は 71で,多大またはかなりの貢献をしていると回答した中央値は 23だった。特にオーストラリア人,カナダ人,インド人,イスラエル人,韓国人は,中国は世界の平和と安定のために何もしていないと言う可能性が高い。

また,多くの人は中国を介入主義大国(interventionist power)とみている。
中央値の57は,中国は他国の問題に多大またはかなりの量の干渉をしていると回答し,中央値の35はあまり,あるいは全く干渉していないと回答した。
オーストラリア,カナダ,日本,韓国,スペイン,米国では約10人に7人以上が,中国が他国の問題に関与していると考えており,これらの国の多くでは中国が他国問題に関与していると回答した人の割合が高いことも目立った。2022年のピュー研究所の調査では,自国の内政への関与は非常に深刻な問題だった。

しかし,今年の調査で中国が他国問題に干渉する可能性が最も高い国はイタリア(82%)だった。G7諸国の中で中国の一帯一路構想(BRIBelt and Road Initiative)に参加した唯一の国であるイタリアは,調査実施当時,構想からの離脱を議論していたが,イタリア企業に対する中国の報復(retribution)を招く可能性を恐れ,慎重に対応していた。

Attitudes toward Xi
習氏に対する態度

調査対象となった24ヶ国中で,中国の習近平国家主席が世界情勢に関して正しい行動をとっていると信頼している国はほとんどない。西ヨーロッパの大部分,米国,カナダ,そしてアジア太平洋地域の大部分で,各国の約半数が同氏をまったく信頼していないと述べている。インドネシア,ケニア,ナイジェリア,南アフリカは,過半数または多数が彼の指導力に信頼を寄せている数少ない国として際立っている。

習氏への信頼は,より広範な中国に対する見方と密接に関係している。調査対象となった各国で,中国に対して否定的な見方をしている人は中国国家主席をほとんど信頼していない可能性が高く,その逆も同様である。

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Chinese soft power
中国のソフトパワー

006m_20230728165301 国の「ソフトパワー」の一部とみなされる要素に関して言えば,中国の技術的成果は高い評価を受けているが,大学,娯楽製品,生活水準について同じことを言う人は少ない。

実際,韓国を除けば,どの国でもほぼ半数以上が,中国の技術進歩は世界で最高,あるいは他の裕福な国と比較して平均以上であると述べている。そして,中所得国の多くでは,10人に4人が中国の技術が世界で最高であると考えている。

中所得国(その多くは4Gおよび5Gシステムのコンポーネントについてファーウェイ(Huawei)などの中国企業への依存を強めている)も,中国企業が製造する携帯電話,タブレット,コンピューターなどのテクノロジーについて特に質問された。これら 8ヶ国では,これらの製品がよく作られているという感覚が比較的広く浸透している。中間所得層は,費用に関してはさらに意見が分かれており,中央値の 50% がコストが安いと回答し,44% がコストが高いと回答している。

また,中国企業が製造する技術製品が人々の個人データを保護するか(中央値 45%),それとも個人データを危険にさらすか(40%)という点に関しても,意見が多少分かれている。(米国人は,中国のソーシャルメディア企業について,別の,しかし関連する質問をされた:大多数は,個人情報を責任を持って使用するか,プライバシー・ポリシーに従うかについて,ほとんど信頼していない。)

どの国でも,少なくとも複数の人々,そして多くの場合 多数派が,中国の「ハード・パワー」,つまり軍事力を世界最高の国の一つ,あるいは平均以上であるとみなしている。

Chinese economic power
中国の経済力

世界をリードする経済大国として中国を挙げる人は米国よりも少ない(中央値は 3342)。 そして多くの国で,中国を世界のトップ経済国(leading economy)として挙げるシェアは近年低下している。

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興味深いことに(Interestingly),経済超大国(economic superpower)としての中国のイメージは,中所得国よりも高所得国のほうが強い。 例えばイタリアは,過半数(55)が中国をトップ経済大国と呼んでいる唯一の国である。

それでも,中所得国の人々は中国との関係から経済的利益が得られることを認識している。これらの国のみを対象とした別の調査質問では,中所得国6ヶ国の約半数以上が,自国の経済が中国の投資から多大またはかなりの恩恵を受けていると回答していることが判明した。ナイジェリア,ケニア,南アフリカでは,10人中7人以上がそう言う。

米国では,米国人にとって最大の脅威となっている国の名前を挙げるよう米国人に尋ねた。中国が圧倒的に(by far)トップの回答となっただけでなく,主に安全保障上の脅威とみなされているロシアとは対照的に,米国人は中国を経済的かつ国家安全保障の両方の脅威とみている。この関連分析の詳細については,「米国人は中国を米国が直面する最大の脅威として挙げる(Americans name China as the top threat facing the U.S.)」を参照のこと。

(転載了)
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中国を見る目は,特に 高所得国で ますます厳しくなっていきます。

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