野球がマイナーなスポーツであるドイツのサッカー誌 ‘kicker’ が,大谷について書いていました。
既に 大谷選手はヨーロッパでも 記事にする価値がある選手になっています。
原文は当然 ドイツ語ですが,教養課程の第二外国語でカジッタ程度では 如何ともし難く,一旦 英語に自動翻訳し,英語から拙訳しました。
下記,転載します。
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‘Kicker’,Aug.2,2023
“The greatest player in baseball's 154-year history?”
「野球154年の歴史の中で最も偉大な選手は?」
“The $500M Unicorn: Why MLB Has Shohei Ohtani at His Feet”
「5億ドルのユニコーン: なぜMLBは大谷翔平を足元に置くのか」
長いプロ野球の歴史の中で,大谷翔平のような選手はいなかった。この冬のフリー・エージェント候補に記録的な契約が待っている。しかし,実際のところ,何がこの日本人をそんなに特別にしているのだろうか?
ちょっとした思考実験: パトリック・マホームズ(Patrick Mahomes)が次のタッチダウン・パスを投げ,チームメイトとハイ・タッチし(high fives),サイドラインに向かって小走りし(trotts),ヘルメットをとり,追加点が黄色いゴールポストを通過するのを見て,すべてがいつもどおりであると想像してください。しかし今,カンザス・シティ・チーフスのクォーターバックは再びヘルメットを掴み,とぼとぼとフィールドに戻り(trudges back),ディフェンスとともに立ち上がると,次のプレーで相手のQBをサック(タックル)でダウンさせた。あり得る,正常だ。
少なくともNFLでは。 しかし,メジャー・リーグ・ベースボールで,ここ数年,ファンはそのような現象に見舞われている。もちろん,フットボールと,通常時速 150 km 以上の速度で打者に向かって飛んでいき,可能ならば打者によって球場の外に打ち出される,はるかに小さいながらも丸いボールを使用するスポーツとの比較には欠陥がある(flawed)。
しかし,マホームズが一人の人間で攻守に優れた選手であるという考えは,現在MLBで何が起きているかの大まかなイメージを与えてくれる。大谷翔平を世界最高の野球選手たらしめているもの。さらに言えば:おそらく史上最高の選手だ。
A day for the history books – again
歴史の本を読む日 – 再び
「歴史的(historic)」という言葉は,29歳の日本人が現在触れるほぼすべてのものと共鳴する。彼は先週の木曜日に良い例を示した。大谷の特徴: 彼は投手でもあり,打者でもあり,両方の役割において,それ自体がスターである。
先週,ロサンゼルス・エンゼルスがデトロイトでダブルヘッダーを行ったとき,同日にデトロイト・タイガースとの2試合が行われる試合日となり,大谷は第1戦でMLBの投手として最高のパフォーマンスを見せた。彼は初めて試合の9回ずっと投球マウンドに立ち,1失点も許さず8奪三振をマークし,今では野球界では珍しい偉業(feat)となった。
午後3時26分(現地時間),2時間の充実した仕事の後,彼は6-0の勝利を収めてピッチを去った - 正確に79分後,大谷は第2試合で再びタイガースに問題を与えた。今度は打者として,そしてシーズン37本目のホームランで。
午後5時35分に38号本塁打が続き,その直後に11対4で勝利を収め,エンゼルスの11試合で9度目の成功となった。
"Nobody wants to compete against him"
「誰も彼と競争したくない」
もちろん,ダブルヘッダーでの大谷のパフォーマンスはMLB史上でも類を見ないものだった。彼のやっていることの多くがそうだ。6月下旬,‘ESPN’ は その日本人がプロ野球154年の歴史の中で最高の月を過ごしたかどうかと質問した。
ジャーナリストのジェフ・パッサン(Jeff Passan)が統計集を熟読した後の答えは,「Yes」である。
大谷は,野球界のレジェンドであり,‘GOAT’ (Greatest Of All Time:史上最高) と考えられ,最初に殿堂入りした選手の一人である野球の伝説であるベーブ・ルース - 20世紀初頭の彼も,いわゆるツーウェイ・プレイヤーとして活躍した -とよく比較される。しかし,投手として定期的に活躍したのはキャリアの最初の6年間のみで,1920年からは打者としてのキャリアに集中した。
Comments/Mark DeRosa
He's a unicorn in this sport.
彼はこのスポーツにおけるユニコーンだ。
それから 100年が経ち,大谷という人物の中に,野球のスペクトルの両端に同様の支配者が再び現れた。
ちょうど良くなった。2021年,彼はMLB史上初めて投手と打者の両方でオール・スターに選出された選手となり,その後数年間,彼は自然にこの動きを繰り返した。
「誰も彼と競争したくない」と,自身もこの業界で最高の一人であるマイク・トラウトは総括した。
現在,彼はMLBトップの39本塁打を記録している。
同時に,右投手は 被打率をリーグ最低の打率 18.5%に抑えている - 平均打率は24.8%,そして大谷は30.4%だ。統計が明確になるこのスポーツにおいて,彼は打者としても投手としても,他の多くの高度な統計において優れている。
Delayed move to the US: A boon for Ohtani
米国への移籍延期:大谷にとっては恩恵
早い話が,‘The Baseball Almanac’ によれば,1876年にナショナル・リーグが創設されて以来,20,451人の現役選手がメジャー・リーグに足を踏み入れたが,大谷のような選手はかつていなかった。
「彼はこのスポーツにおけるユニコーンだ」と米国代表チーム・コーチのマーク・デローザ(Mark DeRosa)は3月,日本と大谷との試合後に語った。
多くの野球選手は,大谷によって完成された二重機能で若い頃,キャリアをスタートするが,「ビッグ・リーグ」への長い道のりで,通常,このスポーツの非常に複雑で非常に異なる2つのサブ領域のいずれかに特化する。
下部組織の野球選手と才能あるバドミントン選手の息子が,もし幼い頃に日本の祖国を離れて米国に渡っていたら,おそらく同じ運命を辿っていただろう。17歳ですでに投手としての速球の1つが時速160 km/hを計測され,当時の日本の高校生記録として話題を呼んだ。
ほぼ1年後,北海道日本ハム・ファイターズが彼に日本でプロ転向するよう説得する前に,大谷は米国への移籍に直面した。彼の考えを変えた理由は2つあると言われている。ひとつは,才能ある選手が最初に戦わなければならなかったであろう米国のマイナー・リーグでの地味な(unglamorous)生活の見通しだ。
一方,ハム戦では投打両方できる見込みだった。 米国だったら,コーチたちは彼に決断を迫っただろう。
The samurai with two swords
二刀流のさむらい
しかし,彼はさらに5シーズン日本に留まり,「二刀流のサムライ」というあだ名を獲得し,2017年にMLB全30チームのグランプリに進出し,ついに渡米を発表した。エンゼルスが契約を獲得した。
それ以来,彼は彼の二刀流の質を最高レベルに引き継ぐことはできないと述べた最後の批評家たちにも嘘をついた。彼はオール・スターに3回選ばれたが,MLBキャリアの初期に怪我があったため,おそらくそれ以上の賞を受賞することはできなかった。
しかし,他の事もやって来た:2021年に彼は満場一致でMVPに選ばれ,1年後にはMVP選挙で2位になったが,それは単にアーロン・ジャッジが同時期にアメリカン・リーグの本塁打記録を破ったからだ。今シーズンの半分強が経過した時点で,彼は再びMVPレースの最有力候補(the favorite)となっており,例年よりもさらに良いプレーをしている。
Disastrous record for the Angels - even with Ohtani
エンゼルスの悲惨な成績 – 大谷がいても
トラウトは,大谷より何年も前に世界最高の野球選手の栄冠をかぶっており,2018年以来,両者はエンゼルスで一緒に走っている。同じチームに絶対的なトップ・スターが2人いれば,優勝は保証されるはずだと思う人もいるだろう。 しかし,そうではない。
2014年,LA郊外のアナハイムに拠点を置くチームはプレー・オフ最下位だった。 それ以来 9年間,エンゼルスは たった 1シーズンだけ 負けた試合よりも勝った試合の方が多かった - これは恐ろしい記録だ。
理由の1つ:チーム・オーナーのアルテ・モレノ(Arte Moreno)はどちらかというとケチな(stingy)タイプで,彼のチームは都市のライバルのドジャースや,ニューヨーク・ヤンキースのような金儲けの機械ではないことだ。3月には,エンゼルスが現地取材費を節約するために,ラジオ記者が自宅から試合の解説をすることさえ許可しているという報道が流れた。
したがって,モレノはピッチ上でのチームのリーグ全体の比較にはほとんど投資していない。そしてそれに応じて,成功も残る。野球のようなスポーツでは,スーパースターが 2人いたとしても,彼らの背後に資質が欠けていれば十分ではない。
Missing the playoffs might be the lesser evil
プレーオフを逃すことはそれほど悪ではないかもしれない
エンゼルスは今シーズン,たとえ10月の野球のないシーズンがまた来る可能性があるとしても,プレー・オフ進出の望みをまだ捨てていない。チームの戦績は56勝52敗で,アメリカン・リーグ西地区の5チーム中3位に位置している。ワイルド・カード枠へのジャンプが最も現実的だが,そのためにはエンゼルスが2チームを追い抜く必要がある。
統計ポータル ‘FanGraphs’ によると,彼らが実際にプレー・オフに進出する可能性は15%だという。
ポストシーズン進出を逃すことは,冬に大谷がフリー・エージェントになったときに,最終的にはそれほど悪影響を及ぼさないことが判明するだけかもしれない。29歳の選手の契約は今季終了後に満了となり,前例のない規模での賭けが予想されている。
600 million dollars - and still a bargain?
6億ドル - それでもお買い得か?
リーグ関係者らは,彼が約10年間で少なくとも5億ドル相当の契約を結ぶだろうと信じている。
注意してください,それは下限である。新しい監査調書(working paper)の総額は 約6億ドルになると予想する人もいる。
比較のために:マホームズはチーフスから4億5000万ドルで10年契約を結んでいるが,MLBではこれまでの記録はトラウト(12年,4億2650万ドル)のものである。
スポーツスターの中で,これまでに高額の年俸で契約したのはライオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドだけだと伝えられている。
特にドジャースとヤンキース -そして他の全28チーム - は,すでにこのほぼ狂気のような金額(insane sums)で大谷を引き抜く(poach)態勢を整えている。
それにもかかわらず,‘ESPN’ ジャーナリストのパッサン(Passan)によれば,そのような契約を結んだとしても,一方では彼のスポーツ的価値を考慮すると,他方では日本人がもたらすチケット販売,スポンサーシップ,商品販売からの収入を考慮すると,大谷は依然として「お買い得(bargain)」である。
大谷自身が自分の将来を見据えているとき,彼は自分のカードに目を向けさせない。
エンゼルスはシーズン後半の好調を維持し,おそらくプレーオフ進出を目指して 遺留で彼を説得したいと考えている。責任者らは8月1日のトレード期限直前にトレードに関する噂を否定し,代わりにチームの穴を埋めるために,例えば大谷の隣で投げる場合などに自ら新しい選手に投資した。
All-in for the play-off chase
プレー・オフ進出へオール・イン
シカゴ・ホワイト・ソックスの右投げ ルーカス・ジオリト(Lucas Giolito)(先発投手)とレイナルド・ロペス(Reynaldo Lopez)(リリーフ投手)が受賞したのは,ファーム・チームの最高の技能賞だった。将来に対するリスクはかなり大きい。 両新人もシーズン終了後にフリー・エージェントとなり,最悪の場合,大谷と同様に再び退団する可能性もある。
結局,ゼネラル・マネージャーのペリー・ミナシアン(Perry Minasian)は,彼の2人のスーパースターである大谷と,手首の骨折により現在 出場できず,8月までに復帰予定のトラウトに,エンゼルスがオール・インするつもりであることを伝え,期限前にさらにいくつかのトレードが続いた。どうやら大谷選手も大喜びのようだ。
「最初からの私の計画は,エンゼルスでシーズンを終えることだった」と日本人は先週,通訳を通じて明かした。「今のところトレードに関する憶測はすべて消えた。チームをプレー・オフに導くことに集中できる」。
What happens next in the winter equates to one of the most important decisions in baseball history. Whatever it looks like, it's going to be historic. Like almost everything Shohei Ohtani is currently doing.
冬に,何が起こるかは,野球史の中で最も重要な決定の 1つに相当する。それがどのように見えるにせよ,それは歴史的なものになるだろう。大谷翔平が現在やっているほぼすべてのことと同じように。
(転載了)
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