米国人が脅威と考える国は?
中国の経済的影響力の拡大に伴い,米国人が中国をどのように見ているのか-
‘Pew Research Center’,JULY 27, 2023付け
“Americans name China as the country posing the greatest threat to the U.S.”
「米国人は米国にとって最大の脅威となる国として中国を挙げている。」
のタイトルの調査結果が報告されています。
下記,拙訳・転載します。
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米国では近年,中国に対する否定的な見方が一般的になってきており,ピュー研究所の新たな調査では,米国人が,中国が自国が直面する最大の脅威であると広く認識していることが示されている。
・米国人に,米国にとって最大の脅威と見なす国を挙げる自由回答の質問では,50%が中国を挙げ,ロシアを挙げた割合(17%)のほぼ3倍となった。
・さらに4%は,米国にとって最大の脅威となる国はないと言っている。
・北朝鮮の名前を挙げる米国人はわずか 2% であり,同じ割合が米国自体を最大の脅威だと述べている。
中国,ロシア,北朝鮮,あるいは米国自体を除けば,米国人が自国が直面する最大の脅威として1%以上の名前を挙げている国はない。回答者のほぼ 4分の1 (24%) が無回答だったが,自由回答形式の質問ではこれは珍しいことではない。
時間の経過とともに,ピュー研究所は米国に対する最大の脅威についての質問方法を変更してきたため,回答を年ごとに比較することが困難になっている。それでも,米国人は常に中国を米国に対する最大の脅威とみなしてきたわけではない。2019年に我々がこの種の質問を最後に行ったとき,米国人は同数の割合で中国とロシアを自国が直面する最大の脅威として指摘した。2014年には米国にとって最大の脅威として米国人リストのトップにロシアがあったが,2007年にはイランがトップだった。
Partisan differences
党派による相違
現在,民主党も共和党も中国が直面する最大の脅威であると認識しているが,それでもこの問題に関しては党派やイデオロギーの大きな違いがある。共和党員および共和党寄りの無党派層は,民主党員および民主党寄りの無党派層よりも,米国に対する最大の脅威として中国を挙げる可能性が高い(63%対40%)。そして 保守的な共和党員は穏健派やリベラルな共和党員よりもそう言う可能性がはるかに高い(74%対47%)。
ロシアに関しては逆のパターンが見られる;自由な民主党員はロシアを米国に対する最大の脅威とみなす可能性が最も高いイデオロギー・グループである一方,保守的な共和党員はそう考える可能性が最も低い。
Age, gender differences
年齢,性別による評価の利害
65歳以上の米国人の約61%が,米国人が直面する最大の脅威として中国を挙げているのに対し,18歳から29歳の米国人は36%と少ない。また,男性は女性よりも中国の名前を挙げる可能性が高い(59%対42%)。
ロシアの場合,年齢に大きな差はない:18歳から29歳の米国人は,65歳以上の米国人とほぼ同じくらい,ロシアを米国に対する最大の脅威と見なしている(18%対15%)。性別に関しては,女性の方が男性よりもロシアの名前を挙げる可能性がわずかに高くなる(19%対15%)。
Perceptions of China and Russia as an economic and security threat
中国とロシアは経済的および安全保障上の脅威であるとの認識
調査では,回答者に米国にとって最大の脅威と考える国の名前を尋ねた後,米国人に2つの追加の質問をした。これらの質問は,米国人が各国をそれぞれ米国経済に対する脅威,および米国の国家安全保障に対する脅威としてどの程度見ているかを探るものである。
米国が直面する最大の脅威として中国を挙げている人のほぼ全員が,中国は米国経済と国家安全保障の両方に少なくとも相当の脅威を与えていると見ている。実際,約4分の3が中国は両方にとって多大な脅威となっていると回答している。
対照的に,多くの米国人はロシアが米国経済と国家安全保障に少なくともかなりの脅威をもたらしていると見ているが,特に米国経済に関して多大な脅威をもたらしていると言う人は少ない。ロシアが米国にとって主要な国際的脅威であると考えている米国人のうち,ロシアが米国経済に多大な脅威をもたらしていると答えているのはわずか36%だ。ロシアを最大の脅威と見る米国人の約3分の2(66%)は,ロシアが米国の国家安全保障に多大な脅威をもたらしていると述べている。
Which country is the top ally of the U.S.?
米国の最大の同盟国はどこか?
この調査ではまた,米国にとって最も重要な同盟国はどこなのか,別の自由回答形式の質問で米国人に尋ねた。回答者の約半数 (48%) は実質的な(substantive)回答を提供しなかった。
実質的な回答をした人々の中で,1つの「特別な関係」が際立っている:米国人の約5分の1 (22%) が,自国の最も重要な同盟国として英国を挙げている。これは,米国の北の隣国であるカナダの名前を挙げる人の割合(6%)のほぼ4倍である。イスラエル (4%),ドイツ (3%),中国 (2%),日本 (2%),EU (1%),フランス (1%),メキシコ (1%),ロシア (1%) の名前は少ない 。
この質問の方法が変更されたため,過去の調査と直接比較することはできない。しかし,我々が過去に国家同盟(national allies)について米国人に尋ねたとき,国民は一貫して他のすべての国よりも英国を挙げた。カナダとイスラエルも2007年以降頻繁に名前が挙がるようになり,EUも上位にランクインした。
Partisan, age differences
党派,年齢差
どの国が米国の最大の同盟国であるかをめぐる党派間の相違は比較的穏やかである。共和党員および共和党寄りの無党派層は,民主党員および民主党寄りの無党派層よりも英国(26%対21%)とイスラエル(8%対1%)を挙げる可能性が高い。イスラエルを挙げた回答者の4分の3以上(79%)が保守的な共和党員だ。民主党員は共和党員よりもカナダ(9%対5%)とドイツ(4%対1%)を挙げる可能性がわずかに高い。年配の米国人は,若い米国人よりも,イギリスとイスラエルの両方を米国の最大の同盟国であると考える可能性がはるかに高い。若い米国人は,年配の米国人に比べて,米国には同盟国がないと答える傾向がやや高い。また,この質問に対して回答を提供する可能性も大幅に低くなる。
Perceptions of what makes for a strong alliance
強力な同盟を実現するものについての認識
この調査ではまた,米国と同盟国との関係において,安全保障と防衛の関係,経済的関係,共通の価値観のそれぞれがどれほど重要であるかを米国人に尋ねた。
名前が挙がったそれぞれの国にとって,防衛関係が鍵となるとみられている。例えば,イスラエルを米国の最大の同盟国として挙げている人の94%は,防衛関係は米国とイスラエルの関係にとって非常に重要であると述べている。米国の最大の同盟国として一般的に名前が挙がる他の国々についても,回答者の少なくとも4分の3が同様の回答をしている。
国民も経済関係を比較的重要視している。名前を挙げたほとんどの国について,少なくとも10人中7人の米国人が,米国とその国との関係にとって経済関係が非常に重要であると述べている。日本とカナダの場合,米国人は経済関係が防衛関係と同じくらい重要だと主張する。
最も名前の挙がった国のうち 3ヶ国について,米国人は共通の価値観を防衛や経済関係よりも重要ではないと考えている。例えば,日本を米国の最大の同盟国として挙げる人のうち,共通の価値観が日米関係にとって非常に重要であると答えたのは半数未満(46%)だった。しかし,イスラエルは注目に値する例外であり,経済関係について同様に考える米国人よりも,共通の価値観が米国とイスラエルの関係にとって非常に重要であると考えている米国人の方が多い(79%対68%)。
(転載了)
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中国を同盟国と見做している 2% は どういう人?
中国に対する無知? 中国系米国人?
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