« 見出しに見る勘違い(その927) | トップページ | 英国では "TO LET" »

2023年8月 7日 (月)

海面水温も,陸地に続き 過去最高温度を記録。

7月4日,米国国立環境予測センター(US National Centers for Environmental Prediction)のデータで, 地球の平均気温が,これまでの 16.92℃20168月)を破り,17.18 の史上最高気温を記録しました。
そして 海も 81日に -

BBC NEWS’,Aug.5, 2023付けで
Ocean heat record broken, with grim implications for the planet
「海洋熱が記録更新,地球に深刻な影響」
の見出しで報じられました。

下記,拙訳・転載します。
**********************
海洋は気候変動による暖かさを吸収し(soak up),観測史上最も暑い温度に達しており,地球の健全性に悲惨な(dire)影響を及ぼしている。

EUの気候変動サービス機関コペルニクス(the EU's climate change service Copernicus)によると,世界の日平均海面水温(the average daily global sea surface temperature)は今週,2016年の記録を更新した。
8月1日,水温は 20.96 (69.73) に達し,この時期の平均をはるかに上回った。
海洋は気候を制御する重要な役割を果たしている。海洋は熱を吸収し,地球の酸素の半分を生成し,気象パターンを動かす。

水温が高くなると二酸化炭素を吸収する能力が低下するため,地球温暖化ガスの多くが大気中に残ることになる。また,海に流れ込む氷河(glaciers)の融解が加速し,さらなる海面上昇につながる可能性もある。より熱い海と熱波は,より冷たい水を求めて移動する魚やクジラなどの海洋生物の邪魔をし,食物連鎖を混乱させる。専門家は魚資源に影響が出る可能性があると警告している。
サメなどの一部の捕食動物(predatory animals)は,高温になると混乱して攻撃的になることがある。

米国海洋大気局(the National Oceanic and Atmospheric Administration)でメキシコ湾の海洋熱波(marine heatwave)を監視しているキャスリン・レスネスキ(Kathryn Lesneski)博士は,「水に飛び込むと,まるでお風呂に入っているように感じる。」と語る。「フロリダ州の浅いサンゴ礁ではサンゴの白化が広範囲に発生しており,多くのサンゴがすでに死滅している。」

英国プリマス海洋研究所のマット・フロスト(Matt Frost)博士は,「私たちは歴史上のどの時点よりも大きなストレスに海洋をさらしている」と述べ,汚染や乱獲も海洋に変化をもたらすという事実に言及した。

001_20230806173501

科学者たちは,この記録を破ったタイミングについて懸念している。

コペルニクス気候変動サービスのサマンサ・バージェス(Samantha Burgess)博士は,世界中の海が最も暖かいのは8月ではなく3月であるべきだと言う。「この記録を目の当たりにしたという事実を考えると,今から来年の3月までにどれだけ海が暖かくなるのか不安になる。」と彼女は言う。

スコットランド海洋科学協会(the Scottish Association for Marine Science)でスコットランドの海岸への影響を監視しているマイク・バローズ(Mike Burrows)教授は,「この変化がこれほど急速に起こっているのを見ると身が引き締まる思いだ」と語る。

科学者たちは,海が現在非常に暑い理由を調査しているが,気候変動により温室効果ガスの排出による加熱のほとんどを吸収し,海が暖かくなっていると述べている。
「化石燃料を燃やせば燃やすほど,余分な熱が海洋から奪われ,海洋を安定させて元の状態に戻すのに時間がかかることになる」とバージェス博士は説明する。

この新たな平均気温記録は,自然発生した気候変動エル・ニーニョが本格化し,最も強力だった2016年の記録を上回った。

エル・ニーニョは,南米西海岸沖で温水が海面に上昇し,地球の気温を押し上げるときに発生する。新たなエル・ニーニョ現象が始まっているが,科学者らはエル・ニーニョ現象はまだ弱いと述べており,これは海水温が今後数ヶ月で平均よりもさらに上昇すると予想されることを意味している。

002_20230806173501

この記録更新は,英国,北大西洋,地中海,メキシコ湾などで今年相次いだ海洋熱波に続くものである。
「我々が目にしている海洋熱波は,我々が予期していなかった異常な場所で発生している。」とバージェス教授は言う。

気象庁(the Met Office)と欧州宇宙機関(the European Space Agency)によると,6月の英国海域の温度は平均より3から5高かった。
フロリダでは先週,海面水温が38.44℃101)に達し,これは温水浴槽に匹敵する。米国海洋大気庁 (NOAAthe National Oceanic and Atmospheric Administration) によると,通常,温度は 23 ℃31 ℃ であるべきだ。

気候変動に関する政府間パネル(IPCCthe Intergovernmental Panel on Climate Change)によると,海洋熱波の頻度は1982年から2016年の間に倍増し,1980年代以降はより激しく、より長引くようになった。

近年,気温は劇的な上昇を見せているが,海洋は温室効果ガスの排出による地球温暖化の 90% を吸収しているにもかかわらず,温まるまでに時間がかかる。
しかし現在,海水温が追いつきそうな兆候が見られる。一説には,大量の熱が深海に蓄えられており,その熱が現在表面に出てきており,おそらくエル・ニーニョに関連しているとメルカトル・オーシャン・インターナショナル(Mercator Ocean International)のカリーナ・フォン・シュックマン(Karina von Schuckmann)博士は言う。

科学者たちは、温室効果ガスの排出により海面の温度が上昇し続けることを知っていたが,なぜ気温が例年よりも大幅に上昇したのか,正確な調査はまだ行われている。

003_20230806173501

(転載了)
*******************
後戻りはできるのでしょうか?

| |

« 見出しに見る勘違い(その927) | トップページ | 英国では "TO LET" »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 見出しに見る勘違い(その927) | トップページ | 英国では "TO LET" »