世界が伝えた 韓国での「世界スカウト・ジャンボリー」の惨劇
溢れかえるゴミ箱,汚れたトイレ,虫だらけの会場 ― 韓国で8月1日から12日まで開催予定の「世界スカウト・ジャンボリー」で、約4万人の10代のスカウトたちを苦しめたのがこの環境でした。主催者は問題解決のため奔走しましたが,台風の接近により 閉会日前に全員がキャンプ場から避難せざるを得なくなりました。この混乱はなぜ起きたのか ― 例えば ‘The Washington Post’ は August 9, 2023付け-
“Ignoring red flags, South Korea went ahead with Scout jamboree anyway”
「赤信号を無視し,韓国はとにかくスカウト・ジャンボリーを強行した」
の 見出しで伝えています。
下記 拙訳・転載します。
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ソウル — 今月韓国で開催された第25回世界スカウト・ジャンボリーが大失敗に終わる数年前,イベント主催者は猛暑が重大な危険信号であると警告していた。
韓国の主催者は2018年の内部報告書で,「8月のジャンボリー・イベントは 36℃の猛暑と台風に見舞われる可能性が高い」と述べている。しかし彼らには計画(対策)があり,キャンプ場を日陰で涼しくするために「2023年までにジャンボリー会場に緑豊かな森を育てる」と主張した。
結局のところ,スカウトのモットーは「準備を整える(be prepared)」である。
しかし,先週,うだるような(sweltering) 8月の日差しの中,何万人もの10代のキャンパーが到着したとき,そのような森は存在しなかった。実際,8月1日に始まったジャンボリーの準備が不十分だったため,数百人のスカウトが体調を崩してしまった。138人以上が熱関連の症状で入院し,さらに数百人が現場で治療を受けた。
南西海岸のセマングムにあるキャンプ場では,日陰の不足やその他複数の問題があったため,いくつかの国が数日以内に数千人の十代の若者たちをイベントから引き上げ,より安全な場所に移動させた。
ワシントン・ポスト紙が内部計画報告書を精査したところによると,韓国当局は4年に一度の国際行事の計画を立てた2016年の初期段階から予見していた異常気象への備えを怠っていた。
大会を担当する同国のトップ大臣は昨年,主催者があらゆる潜在的な気象懸念に対して「徹底的な対策を講じていた」と主張していたが,今週になって「当初の準備不足」を認めた。
しかし,キム・ヒョンスク男女平等家族相は月曜日,「状況はそれ以来大きく改善した」と述べた。
干潟を埋め立てた土地にある会場の状況は,自然災害に備える当初の計画とは程遠いものだった。土壌の高濃度の塩分が植林に適していなかったため,主催者の植樹計画は失敗に終わった。そして7月の豪雨の後,そこは蚊がはびこる沼地と化した。
韓国の夏は,豪雨とうだるような湿気の間で跳ね返る、気まぐれな季節である。雨季が終わり,厳しい季節が始まると予想されていたため,数週間にわたって全国的に熱波警報が発令されていた。
7月30日までにこの地域周辺で熱中症患者(heatstroke patients)の報告があった。2日後のジャンボリー開幕までに,会場にいた約400人が熱関連の症状で体調を崩していた。
主催者は屋外に追加の日よけを設置し、医療支援を送ったが、それだけでは十分ではなかった。世界中の親たちが,子供たちが暑さで体調を崩し,シャワーやトイレの設備が不足し,不衛生な環境や食事の必要を満たすケータリングが不十分であることについて不満を言い始めた。
韓国当局が現場を大幅に冷却する措置を講じたのは金曜日になってからだった。ユン・ソクヨル大統領は,現場へのエアコン付きバスと給水車の「無制限の供給」を命令した。同氏はまた,追加の設備や支援のために数百万ドルの緊急基金を承認した。
韓国軍は日よけ,シャワー,その他の施設の建設に動員された。しかし,遅すぎた。ジャンボリーを救う(salvage)ための土壇場での努力にもかかわらず,世界スカウティング団体は月曜日,熱帯暴風雨に格下げされた台風接近のため,海岸沿いのキャンプ場からの早期撤退を発表した。その時までに,4,500人の参加者を擁する最大規模の英国派遣団はソウルのホテルに撤退していた。 1,500人の米国人は首都近郊の平沢軍事基地に移送された。
このイベントに参加した米国人スカウトの母親,リスティン・セイヤーズさんは ‘Al Jazeera’ に「100パーセント悪夢だ」と語った。「生活環境と秩序の乱れが彼を押しつぶしてしまった。そして,今後一週間を陸軍基地で過ごさなければならないことに打ちのめされている(crushed)。」
危機管理専門家のキム・ドンフン氏によると,このジャンボリーには4万5000人のスカウトとインストラクターが現地におり,小さな町が12日間にわたって出現するのに相当したという。「主催者はイベントの規模に応じた安全衛生対策を講じるべきだった。」
予算記録によると、総事業費の3分の1に相当する約3000万ドルが,給水,下水処理,シャワー,噴水などのインフラ整備事業に充てられた。このイベントには今月さらに少なくとも520万ドルの緊急費用がかかる見通しだ。
「報道などで暑さ対策の必要性を指摘され,日除けの設置や植樹を予定していたが,努力が不十分だった」と公に話す権限を与えられていなかったため,匿名の関係者は現状を語った。
同当局者は,必要な予算の承認を得るなど,イベントに先立つ準備にもいくつかの遅れがあったと述べた。
韓国政府は2018年に熱波を自然災害の一種として正式に指定したが,多くの当局者は依然として熱波を典型的な夏の出来事とみなしており,当局は「災害防止レベルの(disaster prevention-level)」対策を講じることができていない,と危機管理専門家のキム氏は述べた。「当局は依然として熱を十分に深刻な脅威として捉えていない。」
ジャンボリー会場からほど近い光州大学の災害耐性建築の専門家ソン・チャンヨン氏は,セマングム干拓地プロジェクトの特徴を考慮すると,キャンプ場での多くの問題は予測可能だと語った。たとえば,ソン氏によれば,土壌が植林には適さないという事実は十分に確立されているという。
「海岸の埋立地の透水性(permeability)の低さを考慮すると,キャンプ場は洪水を防ぐためにもっと優れた排水システムを備えて設計されるべきだった」とソン氏は語った。
実際,主催者は最初から多くの課題を予測していた。
世界スカウト・ジャンボリーのために2016年から2018年にかけて作成された3つの計画報告書は,台風や北朝鮮の軍事侵略と並んで,イベントの成功に対する最大の脅威の1つとして猛暑を警告した。
報告書は,主催者が96℉(36℃)以上の天候や台風に備えて事前の対策を講じる必要性を強調している。報告書のうち 2件は主催政府機関が作成したもので,1件は政府出資の経済政策シンク・タンクである韓国国際経済政策研究院による実現可能性調査だった。
「最も重要なことは,2023年世界ジャンボリーが開催される2023年8月1日から12日までの期間,朝鮮半島の熱波が最も厳しく,台風や大雨などの自然災害が発生する可能性が高いことだ。」 主催者の全羅北道から委託された2016年の実現可能性調査(the 2016 feasibility study)に書いてある。「これに備えて,防災と対応に万全の準備を進めている。」
彼らはまた,韓国の西海岸沿いの農業穀倉地帯である全羅北道の旧海岸地に位置するセマングム区域によってもたらされる構造的課題の克服における進展についても指摘した。
入札パッケージの一環として,計画立案者らは2018年の報告書によると,「セマングムはもはや水没しておらず,代わりに山,野原,草原,そして5万人以上のジャンボリー参加者が緊急時には避難できる防災情報システムを備えた広大な土地である。」ことを誓った。
ジャンボリー初日の8月1日,韓国政府は4年ぶりに最高レベルの「厳重」暑さ警報を発令した。国中で気温は 100℉ (38℃) を超え,湿度も高く息苦しく感じられた。
しかし,主催者は内部の自然災害対応マニュアルで猛暑の中でそうするよう指示されていたにもかかわらず,同様の指定を発令しなかった。本紙が入手したマニュアルによると,こうした発令は緊急支援や物資の提供を促したり,人々の避難を促したりしただろうという。
ジャンボリー関係者は,マニュアルについて最初に詳しく報道した全州MBCに対し,当局は必要に応じて警戒レベルを発令する権限を保持しており,当時はその必要性を感じていなかった,と語った。
同関係者は全州MBCに対し,「マニュアルに従えば,すべての活動が停止されただろう。」と語ったという。「もしこの生徒たちの活動がすべて止められたら,彼らはどこに行けばいいのでしょう?」
(転載了)
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責任者があいまいです。誰が 本件の責任をとるのでしょうか。
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