中国における宗教の扱い，中国共産党の方針。

‘Pew Research Center’，Oct.23,2023付けの
“10 things to know about China’s policies on religion”
「中国の宗教政策について知っておくべき10のこと」
のタイトルの調査報告です。

拙訳・転載します。
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中国は今年初め，聖職者（clergy）や信徒（congregations）の監視を強化する宗教活動に関する新たな規則を公布した。

この規則は，宗教を共産主義と一致させ（align），無神論（atheism）を支持し推進する中国共産党（the Chinese Communist Party：CCP）への忠誠を確保するという中国政府の長年にわたる戦略の一環である。最近では，こうした規則は，宗教を中国の伝統文化や，中国指導者がマルクス主義と国家主義を融合させた「習近平思想（Xi Jinping Thought）」と調和させることも目的としている。

中国の憲法では，一般国民は「信仰の自由」を享受すると定めており，政府は仏教、カトリック，イスラム教，プロテスタント，道教（Daoism or Taoism）の５つの宗教を公式に認めている。しかし，当局は宗教活動を厳しく取り締まっている（police）。ピュー研究所が2007年に宗教に対する規制の調査を開始して以来，中国は毎年 世界で最も規制の厳しい政府の一つにランクされている。

最近のレポート「中国における宗教の測定（Measuring Religion in China）」から，中国政府が宗教をどのように規制しているかについて知っておくべき10の事柄を紹介する。

１ 中国は，宗教団体に対し，教義，習慣，道徳を中国文化と一致させることを要求する「中国化（Sinicization）」政策を推進している。このキャンペーンは特に，イスラム教，カトリック，プロテスタントを含む，いわゆる「外国」宗教に影響を及ぼしており，その信奉者（adherents）は中国の伝統を優先し，国家への忠誠を示すことが期待されている。

２ 中国化にはさまざまな形がある。当局は，より中国らしく見せるために，教会から十字架を撤去し，モスクのドームやミナレットを取り壊した。牧師（pastors）やイマーム（imams）は社会主義的価値観を反映した宗教の教えに重点を置くよう求められていると伝えられている。政府はまた，イスラム教の教えを「新時代の中国文化（Chinese culture in the new era）」と整合させるのに役立つ，新たに注釈を加えたバージョンのコーランを発行することも計画している。

３ イスラム教徒，特に新疆ウイグル族に対する中国の制限政策は，過去10年間にわたり広く文書化されている。人権団体は中国がウイグル族を大量収容（mass internment），監視（surveillance），拷問（torture）にさらしている（subjecting）と非難している。米国国務省は，新疆での出来事を大量虐殺（genocide）と表現し，中国当局が100万人以上の中国人イスラム教徒を特別に建てられた強制収容所に拘束している（detained）と主張した。 ウイグル族は中国のイスラム教徒の43％を占める。

中国政府はこの非難（accusations）を否定し，移住やキャンプ，その他の強制措置はイスラム教徒の生活を改善するためのものだと主張している。例えば，中国当局者らは，新疆ウイグル自治区のキャンプでは職業訓練（vocational training）を提供し，宗教的過激主義（religious extremism）に対抗していると述べた。

４ 中国のキリスト教はいくつかの規則によって管理されている。キリスト教徒は，プロテスタントとカトリックを管轄する監督官庁に登録された「公認教会（official churches）」で礼拝することが認められている。 しかし，多くのキリスト教徒はこの監視を拒否し，地下教会で礼拝を行っている。

2013年に習が政権を握って以来，政府はオンラインでの福音宣教（evangelization）を禁止し，登録された会場以外でのキリスト教活動の管理を強化し，登録を拒否する教会を閉鎖した。当局は著名な教会指導者ら（prominent church leaders）も逮捕し，一部のキリスト教徒は強制収容所に拘束されていると伝えられている。

2018年，バチカンと中国は中国のカトリック教徒の緊張緩和（alleviate）を目的に，司教任命を巡る協定に署名したが，この協定は多くの人から批判された。それ以来，中国政府はカトリック教会を正式な制度に参加させる取り組みを強化し，参加を拒否する教会への圧力を強化している。

５ 中国は仏教，特に国内で最も普及している漢民族仏教（Han Buddhism）をキリスト教やイスラム教よりも寛大に（leniently）扱っている。習は，漢民族の仏教徒が儒教（Confucian），道教，その他の伝統的な中国の信仰と実践を統合していることを頻繁に称賛している。

同時に，中国はチベット仏教徒を弾圧してきた（cracked down）。 最近，中国当局は，習への忠誠（allegiance）を固め，亡命した（exiled）ダライ・ラマへの忠誠心を失わせることを目的とした「政治再教育（political re-education）」キャンペーンを実施していると非難されている。 さらに，中国政府は僧院（monasteries）や仏像などのチベット仏教記念碑（Tibetan Buddhist monuments）を破壊したことで批判されている。

６ 中国では民間宗教（Folk religion）と古代の精神的伝統が大きな役割を果たしている。政府は中国の文化遺産の一部とみなされるいくつかの活動を奨励しており，一部の民間宗教寺院の改修に資金を提供している。

中国の人々は，中国の哲学者である孔子（Confucius）を崇拝し（venerate），海の女神である媽祖（Mazu）などの民間の神々（deities）が崇拝される寺院の祭りに参加することが許可されている。当局はまた，政治的支持を得る手段として台湾の崇拝者に媽祖の祭りを持ち込んでいる。

中国政府は地方自治体に対し，民俗宗教活動が文化遺産を反映し，社会主義的価値観に基づいて行われるよう規制するよう命じている。2015年以来，地方自治体は歴史的，文化的に重要な寺院を登録し，その職員と活動を国の監督下に置くよう努めている。一部の省（province）では，地方当局が社会的・文化的に重要ではないとみなした寺院が取り壊されたり閉鎖されたり，非宗教的な（secular）施設に転用されたりしている。

７ 公認された 5つの宗教から外れ，文化遺産として政府の承認を満たしていない宗教活動は，多くの場合，当局によって「迷信（superstition）」または「邪悪なカルト（evil cult）」として分類される。例えば，中国の法律は魔術（witchcraft）や妖術（sorcery）を禁止しており，政府は悪霊を追い払うために爆竹を鳴らすなどの迷信的な（superstitious）要素を含む民間宗教の実践に反対している。

法輪功（Falun Gong），統一教会（the Unification Church），神の子（the Children of God）などの一部のグループはカルトとみなされ，禁止されている。政府は法輪功学習者を逮捕し，臓器摘出（organ harvesting）などの組織的な拷問を行ったとして非難されている。

８ 支配している中国共産党は無神論（atheism）を推進し，国民が宗教を実践することを妨げている。中国共産党またはその関連青少年組織に所属する２億8100万人の中国人は，広範な精神活動（spiritual activities）に従事することが公式に禁止されている。

それでも，中国共産党は文化的慣習（cultural customs）への時折の関与を容認している。たとえば，時々寺院を訪れることは許容される。しかし，宗教上の重要な日に寺院を訪れたり，頻繁に占い師（fortunetellers）に相談したりすると，中国共産党からの除名（expulsion）につながる可能性がある。それにも関わらず，一部の中国共産党員は，一般に非中国共産党員よりも低い割合ではあるものの，宗教を信仰したり，宗教的行事に参加したりしている。

９ 中国では 18歳未満の子供が正式な宗教に所属する（affiliation）ことは憲法により禁止されている。日曜学校，宗教サマーキャンプ，その他の形態の青少年宗教団体を含む宗教教育も禁止されている。学校は無宗教（non-religion）と無神論（atheism）の推進に重点を置いており，多くの子供たちは中国共産党系の青少年グループに参加し，そこで無神論への取り組みを誓約（pledge）しなければならない。

10 中国の宗教に対する態度は，1949年の中華人民共和国建国にまで遡る。初期の中国共産党指導者は，宗教が「外国文化帝国主義（foreign cultural imperialism）」，「封建主義（feudalism）」，「迷信（superstition）」と結びついていると非難し，宗教団体を軒並み（across the board）迫害した（persecuted）。文化大革命（the Cultural Revolution）（1966～1976年）中，中国共産党主席の毛沢東は「古いもの，古い考え，古い習慣，古い習性」を排除すると誓約し，紅衛兵（Red Guards）は多くの寺院，神社，教会，モスクを攻撃または破壊した。

（転載了）
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私は どちらかと言えば無神論者ですが，中国人に生まれなくて幸いでした。