シベリアのクレーターの発生原因に気候変動があり,発生により さらに気候変動に影響を与える?
‘BUSINESS INSIDER’,Jan 16, 2024付け
“The mystery of Siberia's strange exploding craters may have finally been solved”
「シベリアの奇妙な爆発クレーターの謎がついに解明されたかもしれない」
の見出し記事を下記,拙訳・転載します。
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・科学者たちは,シベリアに出現し続ける巨大なクレーターについて新たな説明を提示した。
・これらのクレーターは2012年に初めて発見され,深さは160 ft(49m)以上,幅は65 ft(20m)以上になることもある。
・凍った地面の下に天然ガスで作られた高温の時限爆弾が溜まっている可能性がある。
科学者たちは,シベリアの永久凍土にランダムに出現していると思われる巨大な爆発クレーターについて,新たな説明を提唱している。これらのクレーターは2012年に初めて発見され,荒れ果てたシベリアの永久凍土(permafrost)に次々と出現しており,科学者らを困惑させている。
それらは巨大なものになる可能性があり,深さ160 ft,幅65 ft以上に達し,瓦礫の塊を数百フィート離れた場所まで吹き飛ばす。一部の報告によると、爆発音は90マイル離れた場所でも聞こえるという。
現在,科学者たちは,地下埋蔵地から染み出ている(seeping)高温の天然ガスが爆発の背後にあるのではないかと提示している。この発見は,なぜクレーターがシベリアの特定の地域にのみ現れるのかを説明できる可能性がある。この地域は天然ガスの膨大な地下埋蔵量で知られていると,この研究の筆頭著者であり,ノルウェーのオスロ大学環境地球科学(environmental geosciences)教授であるヘルゲ・ヘレヴァング(Helge Hellevang)がBusiness Insiderに語った。
「気候変動や大気の温暖化により永久凍土の他の部分が弱体化している場合,このような爆発が起こるのはシベリアだけだ」と同氏は述べた。
Gas makes the hole, but it comes from deep reserves
ガスが穴を開けるが,それは深い埋蔵から来ている
永久凍土には多くの有機物質(organic material)が閉じ込められている。 温度が上昇すると,マルチ(根覆い:mulch)が溶けて分解する。その過程でメタンが放出される。したがって,科学者たちは永久凍土自体から染み出ているメタンがクレーターの背後にあると当然のように提案していた。
これはおかしな(crazy)考えではない。これは特に,永久凍土が溶けている地域に現れる湖であるサーモカルスト(thermokarsts)につながると考えられているプロセスであり,メタンが泡立ち,発火する可能性がある。
しかし,それは,いわゆる爆発クレーターがなぜそれほど局所的に存在するのかを説明するものではない。
これらのクレーターのうち,これまでに確認されているのは 8つだけで,いずれも西シベリアのヤマル(Yamal)半島とロシア北部のギダン(Gydan)半島という非常に特殊な地域内にある。
対照的に,湖の爆発は,カナダを含む永久凍土が存在するさまざまな地域で見られる。
ヘレヴァングらは,別のメカニズムが働いていることを示唆している;それは,ある種の地質断層から浸透した高温の天然ガスが,土壌の凍った層の下に蓄積し,永久凍土を下から加熱しているというものだ。
それらの高温のガス・プルーム(plumes)は永久凍土を底部から溶かすのに役立ち,永久凍土が弱くなり,崩壊する可能性が高くなる。
「この爆発は永久凍土が薄くて壊れるほど弱い場合にのみ起こり得る」とヘレンヴァング氏は語った。
気温の上昇により,永久凍土の上層も同時に溶ける。これにより,ガスが突然解放され,圧力のかかったガスによって爆発または「機械的崩壊(mechanical collapse)」が引き起こされるための完璧な条件が作成される。それによってクレーターができるとヘレヴァングらは示唆している。
研究によれば,この地域には天然ガスが埋蔵されており,これはヘレヴァングらの理論と一致している。
「この地域は世界最大の石油産地の一つだ」と彼は語った。
科学者のモデルによると,これらのクレーターはさらに多く形成され,その後,近くの水と土が隙間を埋めるために落ち込んだことで消滅した可能性があるという。
「ここは非常に辺鄙な地域なので,本当の数はよく分からない。」と彼は言う。
「ヤマル半島の衛星画像を見ると,丸い板状の窪地(depressions)が何千もある。それらのほとんど,またはすべては熱カルスト(thermokarsts)だった可能性があるが,潜在的には初期に形成されたクレーターである可能性もある。」と同氏は述べた。
この仮説(hypothesis)は先月オンライン・サーバー ‘EarthArXiv’ で公開された。 この論文は科学者によるレビューによってまだ検証されていない。
A dangerous hypothesis for the climate crisis
気候危機に対する危険な仮説
この考えにはメリットがあるが,永久凍土の下にガスの埋蔵量が増えていることを示すにはさらなる証拠が必要になるだろうと,このテーマを研究しているハワイ大学の地球科学者ローレン・シュルマイヤー(Lauren Schurmeier)は「ニュー・サイエンティスト」誌に語った。
それでも,仮説が正しいと判明した場合,気候モデルに問題が生じる可能性がある。
天然ガスには,強力な温室効果ガスであるメタンが豊富に含まれている。これは,クレーターが巨大な煙突のように機能しており,そこから有害な化学物質が突然大気中に放出される可能性があることを意味している可能性があると,ノルウェー・スヴァールバル諸島の大学センターのトーマス・バーシャル(Thomas Birchall)は「ニュー・サイエンティスト」誌に語った。
「これが大規模な蓄積が破綻する標準的なプロセスなら,非常に短期間に大量のメタンを放出することになる。」と同氏はニュー・サイエンティスト誌に語った。
しかし,ヘレンヴァングは慎重だった。この現象がごく限られた地域でのみ存在するのであれば,地球規模で見れば影響は微々たるものかもしれない。地下埋蔵物には大量のメタンが貯蔵されている可能性が高いが,そのうちどれだけの量が外部に放出するかは明らかではない。
「我々がする必要があるのは,何よりもまず,この種のシステムから自然に漏れているメタンの量を理解し,それを有機物として永久凍土内に実際に存在するメタンの量と比較することだと思う。」とヘレンヴァング氏は述べた。
「そうすれば,大気加熱(atmospheric heating)や気候変動に対してどれだけ放出できるかについて,より現実的な予算を立てることができる。」と彼は述べた。
(転載了)
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気候変動による温暖化が 永久凍土の脆弱化をもたらして 地下の天然ガスの爆発が発生し,それによるメタン放出が さらに気候変動を促進するという悪循環の可能性がある - ということ?
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