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2024年2月21日 (水)

アレクセイ・ナワリヌイ氏の死

ロシアのプーチン政権への批判を続け,刑務所に収監されていたナワリヌイ氏について,関係当局は216日,「散歩のあと気分が悪くなり,医師が蘇生措置を行ったものの死亡が確認された」と発表しました。
ロシアでプーチン政権を批判する急先ぽうとして知られたアレクセイ・ナワリヌイ氏が死亡したとの発表を受けて,ロシア国内外で追悼する動きが出ているほか,欧米各国などからはプーチン政権を批判する声が相次いでいます。

The Guardian’ は Feb.18,2024 付け
What next for Putin? After Navalny’s death, many fear what leader will move on to
「プーチン大統領の次は? ナワリヌイ氏の死後,多くの人々は指導者が今後どのような方向に進むのかを恐れている」
の見出し記事で伝えています。

下記,拙訳・転載します。
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ウクライナが撤退し,西側諸国の制裁がほとんど影響を及ぼさない中,ロシア大統領はますます大胆になり,より無謀な(reckless)行動に乗り出す可能性がある。

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ウラジーミル・プーチン大統領は金曜日,ウラル都市チェリャビンスクの工業プラントで工場労働者を称賛し,国営記者らと冗談を言いながら微笑み,いつになく浮かれた気分を漂わせた。
プーチン大統領の自信は紛れもなく(unmistakable),戦場でウクライナを凌ぎながら,刑務所での彼の最大の批判者のあの日の死の責任を免れるという彼の完全な信念の表れだった。

北極圏の人里離れた刑務所でアレクセイ・ナワリヌイ氏が亡くなった日に,具体的に何が起こったのか,世界は決して知ることはできないかもしれない。日曜日の時点で,彼の家族はまだ遺体と会うことさえ許されていない。

ナワリヌイ氏はロシアの刑務所制度の最悪の行き過ぎに何年も耐えてきた。この国の流刑地(penal colonies)は劣悪な(grim)環境で知られており,野党指導者は特に残酷な扱いの標的にされる。
彼の死の状況がどうであれ,長年にわたる虐待は,クレムリンの責任であるという彼の支持者たちの広範な見解を裏付けている。
「プーチンはアレクセイ・ナワリヌイを殺害した」とナワリヌイ氏の同盟者であり,彼の反汚職財団(Anti-Corruption Foundation)の研究者であるゲオルギー・アルブロフ氏は語った。 「彼が具体的にどのようにやったかは必ず暴露されるだろう。」

西側諸国の指導者たちも同様にアルブロフ氏の見解に同調し,ナワリヌイ氏の死の責任は直接プーチン大統領の足元にあるとした。 「間違わないで:ナワリヌイ氏の死に責任があるのはプーチン大統領です。 プーチン大統領に責任がある」とジョー・バイデン米国大統領は述べた。
しかし,これらの声明は,せいぜいクレムリンが肩をすくめる(shrugging its shoulders)程度に留まりそうだ。

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ウクライナ人拉致(abduction)を監督した罪で起訴された国際刑事裁判所の判決を受けてすでに指名手配されているプーチン大統領は,長い間西側諸国の承認を求めることをやめている。クレムリンが見ているように,プーチン大統領は運転席に座っている。
ナワリヌイ氏の死により,彼はすでに抑圧されていた国内の反政府勢力に壊滅的な打撃(devastating blow)を与えた(inflicted)。
国内政治に対する彼の支配力は今や完璧であるように見える。 来月の選挙後,彼はさらに6年間の大統領として就任することになり,その任期はソ連の独裁者ヨシフ・スターリンの任期をも上回る可能性がある。 プーチン大統領はこれまで24年間政権を握っているが,スターリンは29年間統治した後,1953年に死去した。

プーチン大統領の侵攻から2周年が近づくにつれ,ウクライナは重要な援助を奪われ,士気に亀裂が生じている。
土曜日、ウクライナ軍はウクライナの重要な最前線都市であるアヴディイウカからの撤退を余儀なくされ,この決定はキ-ウに軍事的打撃を与え,戦争の主導権をプーチンにしっかりと引き渡した。

長期的には,ナワリヌイ氏の死についてまだコメントしていないドナルド・トランプが次期米国大統領になる本当のチャンスがあり,それがプーチン氏にウクライナやその他の国で白紙の権限(carte blanch)を与える可能性がある。

プーチン大統領とその国を孤立させ,彼をのけ者(pariah)にし,ロシア経済を麻痺させる(cripple)世界的な制裁を科すという西側の計画は,望ましい結果をもたらしていない。
プーチン大統領は新たな同盟国を開拓し(cultivated),グローバル・サウスに求愛し,かつては西側諸国の強固な(staunch)同盟国だったアラブ首長国連邦とサウジアラビアで大歓迎を受けた。

バイデンは金曜日,ナワリヌイ氏の死後,2021年に約束した「壊滅的な(devastating)」結果をロシアに与えるのは難しいとすぐに認めた。「他に何ができるかを熟考している(contemplating)」とバイデン氏は語った。
このためらいはプーチン大統領の自信をさらに高める可能性が高い。 2022年の戦争開始後にクレムリンから亡命した元ロシア上級外交官のボリス・ボンダレフ氏は,「プーチン大統領の免責が増えれば増えるほど,必然的に攻撃的になる」と語る。「国内の反対派を打ち砕いた後,彼は海外で敢えて発言する人々に焦点を当てるだろう」とボンダレフ氏は警告した。

この雰囲気はプーチン大統領の同盟国にも伝染しているようだ。 「ロシアは誰にも借りがない。そこから始めよう」と国営放送RTのマルガリータ・シモニャンは書き,ナワリヌイ氏の死に関してプーチン大統領には「答えるべき深刻な疑問がある」というNATOの声明にコメントした。
シモニャンは,このような状況にも動じていないようで,ナワリヌイ氏の汚職捜査の「犠牲者」となった5人がすでにナワリヌイ氏の死を祝うために彼女に電話をかけてきたと続けた。

彼の殺害後,多くの人がこれから起こることを恐れている。カーネギー・ロシア・ユーラシア・センター(the Carnegie Russia Eurasia Center)所長のアレクサンダー・ガブエフ(Alexander Gabuev)は,「致命的な間違いを犯す能力をチェックすることはできず,ごますり達(sycophants)に囲まれた高齢のロシアの統治者は,今後数年でこれまでに見たことのない無謀な(reckless)行動に乗り出すかもしれない」と書いている。

ロシアの著名な社会学者グレッグ・ユーディン(Greg Yudin)は,これをさらに厳しい言葉で(grimly)次のように述べている:「ロシアでは,夜明け前が一番暗いとよく言う。それは本当だと思う - ただ,我々は本当の闇をまだほとんど知らないだけだ。暗くなり始めているだけのようだ。太陽が消えてしまった。」

(転載了)
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遺体は遺族に引き渡されないようです。

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