気候変動の影響- 蚊の分布が拡がって,ヨーロッパは危険
気候変動の影響は 様々な日常生活に現れます。
かつては 考えもしなかった地域での病気発生もあります。
‘The Guardian’,25 Apr 2024付けで
“Mosquito-borne diseases spreading in Europe due to climate crisis, says expert”
「気候危機によりヨーロッパで蚊が媒介する病気が蔓延すると専門家が指摘」
という見出しの記事がありました。
下記,拙訳・転載します。
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デング熱(dengue)やマラリア(malaria)などの病気が北欧,アメリカ,アジア,オーストラリアの影響を受けていない地域に及ぶ可能性,意見を聞くための会議
蚊が媒介する病気は気候変動により世界中,特にヨーロッパで広がっていると専門家が述べた。
この昆虫はマラリアやデング熱などの病気を広めるが,地球温暖化により昆虫が生息する温暖で湿潤な環境が増えたため,その患者数(prevalences)は過去80年間で大幅に増加した。
スペインのバルセロナ・スーパーコンピューティング・センターで世界的な健康回復力グループ(health resilience group)を率いるレイチェル・ロウ(Rachel Lowe)教授は,蚊が媒介する病気の発生が今後数十年間で,現在影響を受けていない北欧,アジア,北米,オーストラリアの地域全体に広がるだろうと警告した。
彼女はバルセロナで開催される欧州臨床微生物・感染症学会(the European Society of Clinical Microbiology and Infectious Diseases)の世界会議で講演し,世界はこれらの病気の急激な増加(uptick)に備える必要があると警告する予定だ。
「気候変動による地球温暖化(Global warming)は,マラリアやデング熱を運び,広げる病原媒介者(disease vectors)がより多くの地域に住み着く可能性を意味しており,人々の免疫力が低く(immunologically naïve),公衆衛生システム(public health systems)の準備が整っていない可能性が高い地域で流行が発生する。」とロウは述べた。
「厳然たる現実(stark reality)は,暑い季節が長くなると,蚊が媒介する病気が蔓延する季節枠(seasonal window)が拡大し,発生頻度が高まり,対処がますます複雑になるということである。」
デング熱は,一晩の気温が氷点下になると昆虫の幼虫(larvae)や卵が死ぬため,主に熱帯および亜熱帯地域で発生していた。暑い季節が長くなり,霜が降りることが少なくなったことで,蚊が媒介するウイルス性疾患としては世界で最速で広がっており,ヨーロッパで定着(taking hold)しつつある。
ヒトスジシマカ (Asian tiger mosquito,Aedes albopictus) はデング熱を媒介し,2023年現在,イタリア,フランス,スペイン,マルタ,モナコ,サン・マリノ,ジブラルタル,リヒテンシュタイン,スイス,ドイツ,オーストリア,ギリシャ,ポルトガルのヨーロッパ 13ヶ国で定着している。
「外来種のヒトスジシマカの生息地がヨーロッパ全土に拡大」
昆虫は増加している(thriving);デング熱の感染が最も多かった10年のうち9年は2000年以降に発生しており,WHOに報告されたデング熱症例数は過去20年間で8倍に増加し,2000年の50万人から2019年には500万人以上となった。
ロウは,洪水に続いて干ばつが起こるため,気候変動がこの拡大に拍車をかける(turbocharge)だろうと述べ,「気候変動に関連した干ばつや洪水は,貯留された水がさらなる蚊の繁殖地となり,ウイルスの感染拡大につながる可能性がある。」と述べた。
「過去の流行から得た教訓は,将来の媒介ウイルス感染症のリスクを評価し,将来の流行に備えて不測の事態(contingencies)に備えておくことの重要性を浮き彫りにしている(underscore)。」
彼女は,現在の高炭素排出と人口増加の軌道(trajectory)が続けば,蚊が媒介する病気が発生する地域に住む人の数は今世紀末までに倍増して47億人になるだろうと述べた。
ロウはさらに付け加えた:「気候変動への対処は非常に難しいと思われるため,ヨーロッパ本土全体でデング熱やマラリアなどの病気による感染者や死亡者がさらに増えることが予想される。我々は病気の発生を予測し,最初の発生場所へ早期に介入して(intervene)病気の発生を防ぐ必要がある。世界の他の地域で見られるものと同様の早期警戒・対応システムによる監視(surveillance)強化に重点を置き,限りある資源をより効果的に最もリスクの高い地域に集中させ,疾病の発生を制御・予防し,命を救う取り組みが必要である。」
気候変動により抗菌薬耐性(antimicrobial resistance)の脅威も増幅されていると,会議での別のプレゼンテーションで警告する予定だ。
南アフリカのクワズール・ナタール大学(the University of KwaZulu-Natal)の抗菌薬耐性ユニットの責任者であるサビハ・エサック(Sabiha Essack)教授は,気候変動が抗菌薬耐性の「脅威を倍増させる(threat multiplier)」と述べた:「気候変動は生命システムの生態学的および環境的完全性(environmental integrity)を損ない,病原体(pathogens)が病気を引き起こす原因をますます増大させる。水システム,食料を生産する動物や作物への影響は,世界の食料供給を脅かしている。人口増加と輸送に関連した人間の活動は,気候変動と相まって,抗生物質耐性を増加させ,人間,動物,植物の水系媒介性(waterborne)およびベクター媒介性疾患(vector-borne diseases)の蔓延を引き起こす。」
(転載了)
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日本には 蚊の対策は長年の経験がありますが,過去 蚊がいなかったヨーロッパは危険がありそうです。
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