米国人は中国をどう評価しているか
‘Pew Research Center’,MAY 1, 2024付け
“Assessments of China and its role in the world”
「米国人による中国と世界における中国の役割の評価」
の見出し調査報告を拙訳・転載します。
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米国人は中国に対して圧倒的に否定的な意見を持っており,中国はますます影響力を増していくと見ている。 こうした中国のイメージには,近隣諸国との関係への懸念や主席に対する広範な不信感(distrust)が伴っている。
Unfavorable views of China prevail
中国に対する否定的な見方が蔓延
米国の中国に対する見方は昨年から大きく変わっていない。 ほとんどの米国人は依然としてこの国に対して好ましくないとの見方をしており(81%),その中には自分の意見が非常に好ましくないと答えた43%も含まれる。 対照的に,わずか16%が中国を好意的に見ているだけだ。 2020年以降,米国成人の4分の3以上が中国を好ましくなく見ている。
Age and education/年齢と教育
中国に対する否定的な見方は、米国の高齢者、特に65歳以上の人々の間でより一般的である。 このグループのうち,61% が中国に対して非常に否定的な見方をしていると報告しているが,30 歳未満の成人では同じように答えているのは 27% のみである。
あらゆる教育レベルの米国人は中国を不利に見ているが,より教育を受けた人ほど否定的な見方が多い。 4年制大学の学位を持った米国人の約87%が中国に対して否定的な意見を持っているのに対し,大学の学位を持たない成人では78%となっている。
Party and ideology/党派とイデオロギー
共和党員および共和党寄りの無党派層は,民主党いんおよび民主党支持者よりも中国を否定的に見ている(90%対77%)。 保守的な共和党員は特に批判的で,10人中7人(68%)がこの国に対して非常に否定的な見方をしている。
Economic attitudes/経済的姿勢
米国経済をどのように評価するかに関係なく,米国人の少なくとも4分の3は中国に対して否定的な見方をしている。それでも,米国経済が低迷していると主張する人々の間では,中国に対する否定的な見方がより一般的である。現在の経済状況は悪いと考えている米国人のうち,84%が中国に対して否定的な見方をしており,そのうち48%は非常に否定的な見方をしている。これに対し,米国の経済状況は良好だと考える人で中国を好ましくないと考えているのは75%である。
China’s international influence
中国の国際的な影響力
米国人が中国をどう評価するかは,世界における中国の役割をどう見るかに関係している。中国に対する否定的な見方は,中国の影響力が弱まったと考える人(72%)または ほぼ同じままであると考える人(75%)よりも,近年中国の影響力が増大していると考える人(85%)の間でより一般的である。 同様に,中国が米国経済に少なくともかなりの影響力を持っていると考える米国人は,経済的影響力があまりない,または全く影響を与えないと考える米国人よりも中国に対して否定的である(84% vs 71%)。
China’s role in the world
中国の世界における役割
米国人のおよそ10人に7人(71%)は,世界における中国の影響力が近年増大していると考えている。 これは,2022年に同様の回答をした 66% からはわずかだが,意味ある増加である。
China’s economic influence
中国の経済的な影響
中国の世界的影響力の変化に対する米国人の評価は,米国に対する中国の経済的影響力の評価と関連している:中国が米国経済に少なくとも相当な影響を与えていると答えた人の75%は,中国の世界における全般的な影響力がより強くなっていると見ている。これに対し,米国へ重大な経済的影響を与えてないと見ている米国人の場合,同様の考えは 51% である。
Age, gender and education/年齢,性別,教育
中国の影響力の評価には,多くの人口動態要因が影響する。米国の高齢者(50歳以上)は,18~49歳よりも中国の影響力が最近増大していると答える可能性が高い(75%対67%)。 女性よりも男性の方がこの考えを持っており,特に高齢の男性が目立つ。50歳以上の男性の10人に8人は,中国の影響力が増大していると回答しているのに対し,年配女性は71%,若い男性では72%となっている。一方,18~49歳の女性で,中国の影響力が増大していると回答する可能性は最も低い(63%)。
4年制大学の学位を取得した米国人も,中国の世界的な影響力が最近強くなっていると考える傾向が高い。およそ 10人中 8人 (77%) がそう答えているが,大学の学位を持たない成人では 68% である。
Party and ideology/党派とイデオロギー
共和党員は,世界における中国の影響力が強まっていると回答する可能性が民主党員よりも10ポイント高い(78%対68%)。
この意見は特に保守的な共和党員に集中しており,83%が中国の影響力が近年強くなっていると答えているのに対し,穏健派およびリベラルな共和党員では68%となっている。実際,穏健派およびリベラル派の共和党員は,保守派および穏健派の民主党員またはリベラル派の民主党員とほぼ同じくらいこの考えを持っている。
China’s territorial disputes
中国の領土問題
また,米国人に,中国と近隣諸国との間の領土紛争についてどの程度懸念しているか尋ねた。およそ 10 人中6人が少なくともある程度懸念していると回答しており,その中には非常に懸念していると回答した 20% も含まれている。 約4分の1 (24%) はあまり心配していないか,まったく心配していないとしており,米国人の 14% はよくわからないと答えている。
電話調査の一環として,2015年にこの質問が最後に行われたとき,72% が中国の領土問題を少なくともある程度懸念しており,その中には非常に懸念している 30% も含まれていた。
Age/年齢
中国と近隣諸国との間の領土紛争に対する米国人の懸念レベルには、年齢が重要な役割を果たしている。 65 歳以上の成人は他のどの年齢層よりも懸念している。米国の高齢者では 10人中約8人が懸念しているのに対し,より若い年齢層では 10 人中約 7 人に過ぎない。
Party and ideology/党派とイデオロギー
領土問題に対する懸念は共和党員と民主党員でほぼ同じだが,共和党内にはイデオロギーの違いがある。 保守的な共和党議員の10人中7人は中国の領土問題について少なくともある程度懸念しており,その中には30%が非常に懸念していると答えている。 これに対し,穏健派およびリベラル派の共和党員の56%が懸念しており,非常に懸念しているのはわずか18%だった。
Americans lack confidence in Xi Jinping
米国人は 習近平を信頼してない
米国人の約10人中8人は,中国の習近平国家主席が世界情勢に関して正しいことを行うことにほとんど,あるいはまったく信頼していない(79%)。 習にある程度,またはかなりの信頼を寄せていると答えたのはわずか9%で,さらに10%は習のことを聞いたこともないと答えた。
Age and education/年齢と教育
米国の高齢者の間では中国の主席に対する信頼が低い。65歳以上の大多数(59%)は習主席にまったく信頼していないのに対し,18~29歳では36%となっている。若者は最高齢層に比べて習中国の国家主席について聞いたことがないと答える確率が4倍近く高い (18% 対 5%)。
少なくとも4年制大学の学位を持った米国人は,大学の学位を持たない人に比べて習に対する信頼が低いと報告されている。大卒以上の教育を受けた成人のうち,51%は習を全く信頼していない。
Party and ideology/党派と年齢
共和党員は民主党員ほど習に対する信頼を表明していない。共和党員の約10人中6人は習をまったく信頼しておらず(57%),同様に回答した民主党員の39%を上回っている。 共和党員の中でも,保守派は穏健派やリベラル派の共和党員に比べ、習主席を全く信頼してない傾向が顕著に高い(65%対43%)。 この質問に関しては,保守穏健派の民主党員とリベラルな民主党員の間に大きな違いはない。
(転載了)
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習近平を知らない米国人が 1割います。中国を評価する知識を持たない米国人が何割か存在するということのようです。
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