最も賢い国は,あるいは最も賢い国民がいる国は-2024年
‘World Population Review’ のサイトの
“Smartest Countries 2024” を読んでみました。
下記,拙訳・転載します。
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Snapshot
・世界で最も賢い国を決めるのは複雑で,識字能力(literacy),IQスコア,ノーベル賞受賞,標準テストの結果などの要素が関係する。
・OECDの2022年版PISA(Program for International Student Assessment:国際学習到達度調査)の結果では,数学,読解力,科学のスキルを評価し,シンガポールなどの東アジア諸国がトップであることが明らかになった。
・2017年の ‘Intelligence Capital Index’ は,国家がインテリジェンスをどのように活用しているかに焦点を当てており,知識の拡大のために賢い国民を活用する点で米国がトップである。
世界で最も賢い国はどこかを決めるのは,考慮すべきさまざまな要素があるため困難である。
最も賢い国とは,国民の識字率が最も高い国だろうか?
世界で最も賢い国とは,国民全体の平均 IQ スコアが最も高い国だろうか?
それとも,最も賢い国とは,極めて賢い人の割合が最も高い国なのだろうか?
国民が最も多くノーベル賞を受賞した国なのだろうか?
標準化されたテストのスコアは,どの国が最も賢いかを判断するもう 1つの方法になる可能性がある。すべての国のあらゆる文化 (およびすべての言語) のすべての人の知性のあらゆる側面を正確に測定できる単一の標準化されたテストを作成して実施できればよいのだが。
明らかに,明確で単純な答えをひとつにまとめようとする試みには,困難が伴う。それでも,人口と知能の専門家たちは,世界で最も賢い国の現実的なランキングにますます近づくための新しい方法とアプローチを考案し続けている。
世界の知能に関する最も有名で広く報道されている研究のいくつかは,英国の心理学者リチャード・リン(Richard Lynn)によって行われたものである。2019年の ‘The Intelligence of Nations’ と題された研究で,リンと共同研究者のデイビッド・ベッカー(David Becker)は132ヶ国の国民の平均IQを測定し,さらに71ヶ国の推定スコアを計算した。リストのトップは次のようになる。
リンの研究は,おそらく入手可能な研究の中で最も包括的である一方で,しばしばかなりの議論を巻き起こしていることを言及しないのは無責任だろう。批判者の中には,確かなデータがないときにリンが推定値を計算する方法に異議を唱える者もいる。また、率直な(outspoken)優生学者(eugenicist)であるリンが,科学的に不正確な理論を支持するためにデータを使用していると非難する者もいる。
The Link between Education and Intelligence
教育と知性の関係
教育と知性は密接に結びついており,より強力な教育制度は,時間の経過とともにより知性の高い国民を生み出す傾向がある。これを念頭に,いくつかの研究では,さまざまな国の教育ランキングを知性の比較の基準として使用している。
2023年,経済協力開発機構(OECD)は3年ごとに実施されるPISA(Program for International Student Assessment:国際学習到達度調査)の結果を発表し,2022年度の81ヶ国の約70万人の生徒の数学,読解,科学のテストのスコアを比較した。トップ10は以下の通り。
2018年の成人教育レベルを含む複数のデータ・ポイントを使用した別のOECD調査では,カナダが最も知能の高い国に選ばれた。日本が2位,イスラエルが3位だった。他の上位国には,韓国,英国,米国,オーストラリア,フィンランドが含まれている。
知性に関する独創的な研究の 1つに,2017年の ‘Intelligence Capital Index (ICI)’ がある。この研究では,いくつかの要素を使用して,全体的に最も賢い国ではなく,最も賢い国民の知性を活用して「知識のフロンティアを拡大し,知識経済の技術やイノベーション (ビッグ・データ,クラウド・コンピューティング,人工知能など) を導入する可能性が最も高い国」を特定した。
ICI の調査では,米国が第1位となり,A+ 評価を受けた唯一の国となった。2位は英国,3位はドイツだった。ICI の上位国には,オーストラリア,シンガポール,スウェーデン,スイス,カナダ,フィンランド,デンマークなどがある。
国家のIQに関する実質的な研究は,心理学者のリチャード・リン(Richard Lynn)(1930-2023)が故タトゥ・ヴァンハネン(Tatu Vanhanen)(1929-2015)と共同で,また2019年の著書 “The Intelligence of Nations” ではデイビッド・ベッカー(David Becker)と共同で行った。
ベッカー の推定値はソース別に分類される。T =値は,該当国の実際のテスト結果に基づいている。E =値は,近隣諸国の測定値に基づく最善の推測値である。
ベッカーの貢献は大いに議論を呼んだ。彼は特定の人種や性別が遺伝的に他の人種や性別よりも知能が高い傾向があるという理論を提唱し,その方法論と客観性はしばしば疑問視された。しかし,彼の研究は同分野に注目を集め,彼はしばしば(不本意ではあるが)国家諜報の分野の先駆者とみなされている。
OECD の国際学習到達度調査 (PISA) は,世界中の 15歳の生徒を対象に 3 年ごとに実施される調査で,学習した知識を思い出し,学校内外で新しい状況にそれを応用する生徒の能力を測定する。PISA の結果は,2022年に最新のものとして発表された。
Intelligence Capital Index (ICI) は,経済学者の Kai L. Chan によって作成され、2017年に最新の更新が行われた。
(転載了)
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人種,民族で,生まれついての知的能力に差があるとは思えませんが,国の教育システム,風土などにより 差が生まれることが分かります。
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