パリ五輪の選手村の暑さ対策不公平?
‘The Guardian’,July 30,2024付け
“Paris 2024 organisers deny claims of two-tier Games in searing Olympic Village rooms”
「パリ2024大会の主催者,灼熱のオリンピック村の部屋による2階層大会の非難を否定」
の見出し記事を 下記,拙訳・転載します。
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Certain teams using paid-for air conditioning units
有料のエアコンを使用しているチームもある
Romania’s Bernadette Szocs: ‘It is too hot in the room’
ルーマニアのベルナデッテ・スッチ(Bernadette Szocs):「部屋が暑すぎる」
パリのオリンピック村の選手室にエア・コンを設置しない(forgo)という決定は,地球を気候危機から救うという崇高な(noblest)意図からなされた。
しかし,多数の(slew)苦情を受け,各国代表団(national delegations)が自費で移動式エア・コン・ユニットを予約できるように方針転換した(pivoting)結果,パリの主催者は,2階層のオリンピックを作ったという非難(accusations)に直面している。
フランス・チームを含め,ユニットの代金を支払った国の選手は快適に眠っているが,首都は熱波でうだるような暑さ(sweltering)で,ルーマニアの卓球選手ベルナデッテ・スッチは,チームメイトと少しでも暑さから逃れようと,一晩中テラスのドアを開けっぱなしにしていたと語った。
「エア・コンがなく,扇風機だけなので十分ではない。」と彼女は語った。「外はそれほど暑くなかったので幸運だったが,今は暑く,部屋の中で暑すぎると感じる。
「(ファンは)パワーが足りず,こちらを向いている時はいいのだが,向きが変わると感じない。夜はドアを開けたまま寝ている。部屋は狭く,我々は2人だ。」
パリ2024の広報担当者は,選手たちは水分をたくさん摂り,夜は窓を開け,日中はブラインドを閉めておくようアドバイスされていると語った。
「高温に関しては,我々は選手村の設計と設備において,将来の持続可能な地域のモデルを作るという長期的目標と,ハイ・パフォーマンスのアスリートたちに最高の準備環境を提供するという短期的責任との間でバランスを取るよう努めてきたことを皆様に思い出していただきたい。」と広報担当者は述べた。
「選手にとって生涯最大の大会となることが多いため,一部の国内オリンピック委員会は,追加の移動式冷却装置を装備することを選択した。
「これらの機器は各国の費用で購入するが,パリ2024は,パラリンピック選手にエア・コン提供を提案することで支援している。ファンや,最も暑い部屋用の移動式エア・コンなど,追加のソリューションが選手に提供される。」
エア・コンの問題はオリンピック前から大きな話題となっていた。パリの,より環境に優しいオリンピックへの取り組みの一環として,エア・コンは設置しないことが決定され,その代わりに建物の下に冷水を送り込む地熱水システムによって選手室を涼しく保つと当局は約束した。
パリ大会は,総炭素排出量を過去のオリンピックの半分に削減することを目指している。
昨年この問題について問われたパリ市長のアンヌ・イダルゴ氏は記者団に対し,「私はアスリートの快適さを大いに尊重しているが,人類の生存についてもっと深く考えている。パリ大会が環境の観点から模範となること(exemplary)を望んでいる」と語った。
国際オリンピック委員会は,この建物のシステムにより,猛暑の日の最も暑い時間帯でも目標温度である23~26℃が達成されると主張したが,こうした保証は,英国,オーストラリア,米国,さらには開催国フランスを含む,より大きく裕福な多くの国々を納得させることはできなかった。
「これはハイ・パフォーマンスの大会だ」と,オーストラリア・オリンピック委員会のマット・キャロル最高責任者は昨年,オーストラリアのメディアに語った。「我々はピクニックに行くのではない。」
主催者は,予約した国にいわゆる「レート・カード(rate cards)」で追加料金を請求する臨時のエア・コン・ユニットを提供することに渋々(reluctantly)同意した。
主催者によると,各国の代表団は2,700台のエア・コンを注文したが,オリンピック村には7,000室以上の部屋がある。
裕福な国々が自国の選手を支援するために特別な努力をする一方で,他の国々が我慢するしかなかったが,選手たちからの不満がこれだけではない。
英国チームは,物資不足により高たんぱく質食品が配給制となり,オリンピック村の食堂で生肉が提供されることになったため,自前の調理人を飛行機で派遣した。
29歳のスッチは,競技を終えてオリンピック村に戻ったとき,レストランでたんぱく質がなくなっていたことに驚いたと語った。「普段は肉を食べるのが好き。」と彼女は語った。
(転載了)
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実行委員会がエア・コン無しの選手村を決定していながら,フランス選手の部屋はエキストラのエア・コン・ユニットを導入しているというのは ・・・ 。
この記事にあったシンプルな動詞 “forgo” を,浅学にして初めて見た,あるいは意識しました。
【forgo】(他動)
〔楽しみ・欲しいもの・達成したいことなどを自発的に〕諦める,控える,慎む◆【同】abstain from ; do without
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