今年の夏は 一番暑かった - NASA もそう言っている。
‘NASA’,Sep 11, 2024付け
“NASA Finds Summer 2024 Hottest to Date”
「NASA,2024年の夏はこれまでで最も暑かったと発表」
の見出しの報告書を 下記,拙訳・転載します。
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同局はまた,科学者が1880年までさかのぼって,どの月や地域でも地球の気温をより確実に(with greater certainty)追跡できる最先端の(state-of-the-art)データセットも公開した。
ニューヨークのNASAゴダード宇宙研究所(GISS:Goddard Institute for Space Studies)の科学者によると,2024年8月は月間気温の新記録を樹立し,1880年に世界の記録が始まって以来,地球で最も暑い夏となった。この発表は,新たな分析により同局の145年近く前の気温記録に対する信頼性が裏付けられた下で行われた。
2024年の6月,7月,8月を合わせた気温は,NASAの記録にある他のどの夏よりも世界的に約0.2℉(約0.1℃)高く,2023年に記録されたばかりの値をわずかに上回った。2024年の夏は,1951年から1980年の平均夏よりも 2.25℉(1.25℃)暖かく,8月だけでも平均より2.34℉(1.3℃)高かった。北半球では,6月から8月が気象学上の夏とされている。
「複数の記録保管機関のデータによると,過去2年間の温度上昇(warming)は互角(neck and neck)かもしれないが,エル・ニーニョが強かった年を含め,それ以前のどの年よりもかなり高い。」とGISS所長のギャビン・シュミットは述べた。「これは,人間が引き起こした気候温暖化が進行中であることを明確に示している。」
NASA は,何万もの気象観測所から収集した地表気温(surface air temperature)データと,船舶やブイに設置された機器から得た海面温度から,GISS 地表気温分析 (GISTEMP:GISS Surface Temperature Analysis) として知られる気温記録をまとめています。また,南極大陸の測定値も含まれている。分析手法では,世界中の気温観測所の間隔の違いや,計算結果をゆがめる(skew)可能性のある都市の熱の影響を考慮している。
GISTEMP 分析では,絶対温度ではなく温度異常を計算する。温度異常は,1951年から 1980年までの平均気温からどれだけ気温が離れているかを示す。
New assessment of temperature record
気温記録の新たな評価
この夏の記録は,コロラド鉱山大学,国立科学財団,米国大気海洋庁(NOAA:the National Atmospheric and Oceanic Administration),NASAの科学者による新たな研究によって,同庁の世界および地域の気温データに対する信頼性がさらに高まった中で発表された。
「我々の目標は,特定の時刻や場所における気温の推定がどの程度正確であるかを実際に数値化することだった。」と,コロラド鉱山大学の教授で,米国大気研究センター(NCAR:the National Center for Atmospheric Research)のプロジェクト科学者でもある筆頭著者のネイサン・レンセンは述べた。
研究者らは,GISTEMPが地球上の表面温度の上昇を正確に捉えており,19世紀後半以降の地球全体の気温上昇 - 2024年の夏は1800年代後半よりも約2.7℉(1.51℃)高くなる-は,データの不確実性やエラーによって説明できないと断言した。
著者らは,NASAによる地球の平均気温上昇の推定値がここ数十年間で 0.1℉ 以内の精度である可能性が高いことを示す以前の研究を基にした。最新の分析では,レンセンらは 1880年までさかのぼって各地域と各月のデータを調査した。
Estimating the unknown
未知の推定
レンセンとその同僚は,GISTEMP記録内の統計的不確実性を厳密に(rigorous)説明した。科学における不確実性は,あらゆる場所で測定できるわけではないため,理解することが重要である。観測の長所と限界を知ることは,科学者が本当に世界の推移や変化を見ているかどうかを評価する上で役立つ。
この調査により,GISTEMP 記録における不確実性の最も重大な原因の 1つは,気象観測所(meteorological stations)周辺の局所的な変化であることが確認された。たとえば,以前は田舎だった観測所が,周囲にアスファルトやその他の熱を閉じ込める都市表面が発達すると,気温が上昇するかもしれない。観測所間の空間的なギャップも,記録の不確実性に影響する。GISTEMP は,最も近い観測所からの推定値を使用して,これらのギャップを考慮する。
これまで,GISTEMP を使用する科学者は,統計学で信頼区間(confidence interval)と呼ばれるものを使用して過去の気温を推定していた。信頼区間とは,測定値の周囲の値の範囲で,特定の温度プラス・マイナス数度として読み取られることが多いものである。新しいアプローチでは,最も可能性の高い 200個の値の分布である統計アンサンブル(statistical ensemble)と呼ばれる手法を使用する。信頼区間は単一のデータ・ポイントの周囲の確実性のレベルを表すが,アンサンブルは可能性の全範囲を捉えようとする。
2つの方法の違いは,特に空間的なギャップがある場合に気温がどのように変化したかを追跡する科学者にとって意味がある。たとえば,GISTEMP に 1900年7月のデンバーの温度計の測定値が含まれており,研究者が 100マイル離れた場所の状況を推定する必要があるとする。研究者は,デンバーの気温をプラスまたはマイナス数度報告する代わりに,コロラド州南部の同等の確率の値を多数分析し,その結果の不確実性を伝えることができる。
What does this mean for recent heat rankings?
これは最近の気温ランキングにどのような意味を持つか?
NASA の科学者は毎年 GISTEMP を使用して年間の世界気温更新情報を提供しており,2023年はこれまでで最も暑い年としてランク付けされている。
NOAA(National Ocean and Atmosphere Administration:国立海洋大気庁)や欧州連合のコペルニクス気候変動サービス(Copernicus Climate Change Service)など,他の研究者もこの調査結果を裏付けている。これらの機関は,地球の気温を評価するためにそれぞれ異なる独立した方法を採用している。たとえば,コペルニクスは再解析(reanalysis)と呼ばれる高度なコンピューター生成アプローチを使用している。
記録はおおむね一致しているが,特定の調査結果では異なる場合がある。例えば,コペルニクスは2023年7月が地球史上最も暑い月であると判断したが,NASAは2024年7月がわずかに上回ったとしている。新たなアンサンブル分析では,この2ヶ月の差はデータの不確実性よりも小さいことが示された。言い換えれば,事実上,最も暑いのは同率である。より大規模な歴史的記録の中で,新たなアンサンブル推定によると,2024年の夏の気温は19世紀後半より2.52~2.86℉(1.40~1.59℃)高くなり,2023年は2.34~2.68℉(1.30~1.49℃)高いと推定する。
(転載了)
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さて 2025年夏は どうなる?
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