米国における学生ローン(負債)の実態
‘Pew Research Center’,Sept.18,2024付け
“5 facts about student loans”
「学生ローンに関する5つの事実」
の見出し調査報告を下記,拙訳・転載します。
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2024年6月時点で,米国人は学生ローンを約1兆6000億ドル借りている。これは10年前より42%多い額だ。この増加は,米国の若者の大学進学率の上昇と高等教育の費用の上昇によって起きている。
ここでは,連邦準備制度理事会(the Federal Reserve Board)の2023年家計経済(Household Economics)および意思決定(Decisionmaking)調査を含む複数のソースからのデータをピュー研究所が分析した結果に基づいた,米国の学生ローンに関する5つの事実を紹介する。
1. 40歳未満の米国成人の4人に1人が学生ローンの負債を抱えている。この割合は40~49歳では14% に低下し,50歳以上では4%に低下する。
もちろん,米国人全員が大学に通ったり卒業したりするわけではないので,学生ローンの負債はそうした人たちの間でより一般的である。たとえば,少なくとも 4年制大学の学位を持つ 40歳未満の成人のうち,36% が未払いの学生ローンの負債を抱えている。
年齢による違いは,高齢者はローン返済に余裕があるという事実を部分的に反映している。しかし,他の調査では,若者が教育費を払うためにローンを借りる傾向が以前よりも高まっていることもわかっている。2018~2019年度,学部生の28%が連邦学生ローンを借りた。これは,大学入試委員会(SAT:standardized admissions testsなど)のデータによると,2001~2002年の23%から増加している。大学入試委員会は,おそらく標準化された入学試験(SATなど)で最もよく知られており,高等教育の動向も記録している非営利団体である。
2. 米国人が負っている学生ローンの負債額は,教育レベルによって大きく異なる。全体として,2023年に未払いの学生ローンを抱える借り手の平均負債額は$20,000から$24,999だった。
・大学に通ったが学士号を持っていない借り手の平均負債額は,2023年に$10,000から$14,999だった。
・借り入れをした典型的な学士号取得者は,$20,000から$24,999の負債を抱えていた。
・修士の学位を持つ借り手の平均負債額は$40,000から$49,999だった。
同じデータを別の角度から見ると,学士号を取得していない借り手の4分の1が2023年に少なくとも$25,000の借金を抱えている。学士号を取得している借り手の約半数(49%)と,大学院教育を受けた借り手ではさらに高い割合(71%)が少なくともその額の借金を抱えている。
修士の学位を持つ成人は,特に多額の学生ローン債務を抱えている可能性が高い。2023年に10万ドル以上の借金を抱えているのは,借り入れをしたこれらの上級学位保有者の約4分の1(26%)だが,借り手全体では 9%である。全体として,米国の成人のうち1%だけが少なくとも10万ドルの借金を抱えている。
3. 学生ローンを抱える若い大学卒業生は,この種の借金を抱えていない人よりも経済的に苦労している
と答える傾向が高い。ローンを抱える25歳から39歳の大学卒業生の4分の1は,経済的に苦しい,またはなんとか暮らしている(getting by)と答えているが,ローンを抱えていない人では9%である。また,未払いの学生ローンを抱える若い大学卒業生のうち,快適に(comfortably)暮らしていると答えた人はわずか29%であるのに対し,ローンを抱えていない人では53%が同じ答えをしている。
4. 学生ローンを抱える若い大学卒業生は,大学を卒業していない同世代よりも世帯収入(household incomes)が高い傾向にある。多くの若者にとって,学生ローンは,それがなければ達成できない教育を現実のものにする方法である。これらの学生は大学に通うためにお金を借りる必要があるが,それが後の人生でより高い収入につながるのであれば,その投資は理にかなっているかもしれない。
25~39歳の大学卒業生で学生ローンの負債を抱えている人は,同じ年齢層の大学を卒業していない人よりも世帯収入が高い(学生ローンの状況に関係なく)。しかし,彼らの世帯収入は,学生ローンの負債を抱えていない若い大学卒業生の世帯収入よりも低い。
学生ローンを抱えている若い大学卒業生の約半数(48%)は,世帯収入が少なくとも10万ドルである。これは,大学を卒業していない人ではわずか14%にしか該当しない。しかし,学生ローンの負債を抱えていない大学卒業生では,64%が世帯収入が10万ドル以上である。
世帯収入には,個人の収入と,一緒に暮らす配偶者やパートナーの収入が含まれる。したがって,これらの違いは,大学卒業生は結婚している可能性が高いという事実を少なくとも部分的に反映している可能性がある。
5. 学生ローンの負債がある若い大学卒業生は,負債のない人よりも,教育が その費用に見合う価値が
なかったと答える傾向が強い。少なくとも学士号を取得し,学生ローンの負債がある25~39歳の人の約3分の1(35%)は,学位の恩恵は生涯の経済的コストに見合わないと答えている。比較すると,学生ローンの負債がない若い大学卒業生で 同じことを言うのは 16%である。
(転載了)
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米国の大学の授業料は-
公立/州立大学の年間授業料:$8,000~$35,000,私立大学の授業料:プログラムと期間に応じて $25,000~$55,000,これに生活費をプラスすると- 米国といえど 全額負担できる親は 限られるでしょう。
英語の勉強-初めて知った意味
“get by” 【句動詞】
1.うまく通り抜ける
2.〔問題・異変などが〕(人)のチェックを逃れる[擦り抜ける],(人)に見過ごされる[気付かれない]
3.〔検閲などを〕通る
4.何とか生きていく
・I can get by on my salary, but only because I don't spend much. :
今の給料で何とかやっているが,それは単にお金をあまり使わないからだ。
・"How're you doing?" ,"Just getting by." :
(大阪弁で)「どないでっか?」,「ぼちぼちでんなー」
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