日本製鉄の,U.S.Steel 買収におけるガバナンス方針
日本製鉄による U.S.Steel 買収計画は バイデン米大統領が中止命令を出す方向で最終調整に入ったと報じられています。同盟国である日本の企業に対して安全保障上の理由からというのは 日本を信用してないということでしょう。
日本製鉄は9月4日に,米国の,買収に伴う様々な懸念を払拭するための 声明をリリースしています。
下記,拙訳・転載します。
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NIPPON STEEL
News Release
Sep. 04, 2024/Nippon Steel Corporation
Nippon Steel Announces Governance Policy for U. S. Steel
日本製鉄,U.S.Steelに対するガバナンス方針を発表
2024年9月4日 – 東京,日本 – 日本製鉄株式会社(以下「日本製鉄」)(TSE:5401)は本日,‘United States Steel Corporation’(以下 ‘U.S.Steel’)(NYSE:X)は保留中の買収(acquisition)(以下「本取引(Transaction)」)の決定(close)に伴い,そのガバナンス方針を発表した。
日本製鉄は,本取引により,U.S.Steelとその国内生産能力が強化され,最先端の技術が米国にもたらされ,最終的には米国の産業基盤とサプライ・チェーンの強靭性(resilient)が高まり,将来的に政府支援を受ける中国の競合企業からの圧力に対抗する上で有利な立場が確保されることにより,米国の国家安全保障が強化されることになると引き続き確信している。
本日発表されたガバナンス方針は,本取引の利益を確保するとともに,U.S. Steel を象徴的な(iconic)米国企業として維持するために策定された。
発表された方針の詳細は次のとおりである (下線部分は本日新たに発表されたもの):
Structure, Domestic Ownership and Headquarters/組織,国内所有権および本社
1.U.S. Steelは,ニューヨーク法人である ‘Nippon Steel North America, Inc.(“NSNA”)’が所有する米国企業であり続ける。NSNAは米国で50年以上操業しており,間接的に複数の米国施設を所有し,これらでは2,500人以上の従業員が雇用されており,そのうち約620人がUSWに所属している。NSNAは日本製鉄の子会社(subsidiary)である。
2.NSNA傘下の U.S. Steel は,引き続きペンシルバニア州ピッツバーグに本社を置き,次の運営体制をとる:
a.U.S. Steel の取締役会の大半は米国市民が占める。
b.U.S. Steel の取締役会には,米国市民である独立取締役 3名が含まれる
c. U.S. Steel の中核となる上級管理職は米国市民となる。
U.S. Domestic Production/米国国内生産
1.日本製鉄は,米国鉄鋼市場の需要に応えるため,U.S. Steelでの生産を優先する。
2.すでに発表されているとおり,日本製鉄はU.S.Steelの国内生産能力を強化するため,以下の(a)~(d)の事項に取り組む。
a. U.S. Steel の既存の生産施設への多額の投資:
i. USW(United Steelworkers:全米鉄鋼労働組合)と U.S. Steel 間の基本労働協定で要求されている以上の,USW が代表する施設への少なくとも 14億ドルの投資。
ⅱ. モン・バレー工場(the Mon Valley Works)の,歩留まりの向上,エネルギー効率の向上,製品品質の向上,全体的な運用効率の向上などを含む競争力強化のため,少なくとも 10億ドル。この取り組みには,モン・バレー工場の熱間圧延機(hot strip mill)およびその他の設備の交換および/またはアップグレードが含まれる。
iii. ゲーリー工場(Gary Works)の高炉 #14 の改修(revamping)。これには約3億ドルの投資が必要になると予想される。
b. U.S. Steel の生産能力または雇用の米国外への移転は行わない。
c. 本取引の結果として、U.S. Steel の施設のレイオフ,工場閉鎖,休止は行わない (USW と合意した特定の例外を除く)。
d. 経済的および技術的に実現可能な場合,高炉製鋼からの炭素排出量削減に関連するものを含め,日本製鉄の強化された製造能力および技術能力を U.S. Steel に独立条件で移転する。
Trade / 貿易
1. 日本製鉄/NSNAは,日本製鉄が事業を展開している国々に関しても含め,U.S.Steelの貿易問題に関する決定や,反ダンピング/相殺関税命令やセーフガード措置など不公正貿易に対する米国法に基づく貿易措置を追求する決定に干渉しない。
2. U.S.Steelは,米国民で構成される社内役員レベルの「貿易委員会(trade committee)」を維持し,貿易問題に関してU.S.Steel取締役会に勧告を行い,意思決定プロセスを文書化する。
3. 貿易問題に関する決定は,日本製鉄/NSNAの干渉を受けずに決定が行われることを保証し,U.S.Steelの意思決定プロセスを文書化するために,取締役会の独立した米国市民メンバーの過半数の承認を必要とする。
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日本製鉄は,この取引が米国の鉄鋼ラスト・ベルトを活性化させ,他の方法では得られない方法で米国の労働者,地域社会,国家安全保障に利益をもたらすと確信している。簡単に言えば,日本製鉄の米国鉄鋼への投資により,U.S.Steelと米国鉄鋼業界全体がより強固な立場に立つことになる -この投資を行えるのは新日鉄だけである。
日本製鉄は,公正かつ客観的な規制審査プロセスがこの成果を支えると信じており,取引をできるだけ早く完了させることを期待している。
For inquiries/問い合わせ先
https://www.nipponsteel.com/en/contact/
(転載了)
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さて 今後 どうなるでしょうか?
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