スペインで大洪水,8時間で1年分の降雨!
‘BBC’,Oct.31,2024付け
“Spain battles deadliest flooding disaster in decades as death toll rises”
「スペイン,死者数増加の中,数十年で最悪の洪水災害と闘う」
の見出し記事を 下記,拙訳・転載します。
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スペインは,東部のバレンシアなどを大雨が襲い,少なくとも95人が死亡,数十人が行方不明になるなど,ここ数十年で最悪の洪水災害に見舞われている。
火曜日の豪雨(torrential rain)で鉄砲水(flash floods)が発生し,橋や建物が流され,人々は生き延びるために屋根に登ったり木にしがみついたりせざるを得なくなった。
ペドロ・サンチェス大統領は,荒天が続き,救助活動が制限される中,3日間の国民服喪(national mourning)を宣言した。
政府は「依然として多くの人が行方不明」としており,死者数はさらに増える恐れがあるという。
・実際にあったこと - スペインの洪水報道
・「まるで津波のようだった」:スペイン人が語る致命的な洪水の恐怖
・責任追及が激化する中,スペインの洪水警報のタイミングが精査される
・科学者ら,気候変動がスペインの洪水を悪化させたと主張
サンチェス大統領は水曜日の国民向け演説で,国民に警戒を怠らない(vigilant)よう呼びかけ,完全な復興を誓い,被災者らに「スペイン全土があなた方とともに泣いている…私我々はあなた方を見捨てない。」と語った。
サンチェス政府は「前例のない」異常気象と気候変動との明確な関連性をまだ示していないが,科学者らはBBCに対し,地球温暖化が豪雨(downpours)を悪化させたのは明らかだと語っている。
国立気象局アエメト(Aemet)によると,最初に被害を受けたバレンシア近郊の町の一つ,チバ(Chiva)では火曜日,わずか8時間の間に1年分の降雨量を記録した。
水曜日に同国中東部の雨が弱まると,気象当局は雨が北東のカタルーニャ地方に移っていると警告した。国内の他のいくつかの地域でも気象警報が発令され,洪水に備えて避難するよう人々に呼びかけていた。
スペイン軍と救急隊が水曜日の朝,バルコニーや車の屋根から人々を吊り上げ安全な場所へ運ぶなど,救助活動に急ぐ中,バレンシアの生存者は火曜日の夜の洪水の恐ろしさを語った。
突然の水面上昇(surges)で大通りや道路が川と化し,多くのドライバーが不意を突かれた。
バレンシア近郊パイポルタ(Paiporta)出身のギジェルモ・セラノ・ペレスさん(21歳)は,水が「津波のように」高速道路を流れ,両親とともに車を放棄して橋に登って生き延びたと語った。
別の目撃者は,高速道路の運転手たちが自分たちに向かって激流(torrent of water)進んでくることに気づき,中央分離帯(central reservation)に沿って人間の鎖を作って逃げた場面を語った。
「誰も滑らなかったのは幸いだった。もし誰かが落ちていたら,流されていただろうから。」とパトリシア・ロドリゲスさん(45歳)はエル・パイス紙に語った。
ラ・トーレ(La Torre)の住民の一人はBBCに対し,友人の何人かが家を失ったと話し,火曜の夜には「水に浮かぶ車」や「壁を突き破る波」を見たと語った。
一方,バレンシア郊外の町オルノ・デ・アルセド(Horno de Alcedo)の市長は BBCニュースアワーに対し,水位がわずか数分間で1メートル以上上昇したと語った。
「流れ(currents)が非常に速かったので,我々は緊急サービスを呼び,首まで水に浸かった人々の救助を始めた」とコンスエロ・タラソンさんは語った。
スペインでは,多くの場合,災害救助当局(disaster relief authorities)が警報を出すのが遅すぎたため,人々が道路から逃げたり,高台に避難したりできなかったという非難(accusations)が広がっている。
国家災害の際に派遣される民間防衛機関(the civil protection agency)は,現地時間火曜日の夜20時15分まで警報を発しなかったが,その時点でチバや他のいくつかの町はすでに少なくとも2時間浸水していた。
バレンシア州政府はまた,洪水や山火事などの自然災害に備えて前政権が設置したバレンシア緊急対策ユニット(Valencia Emergency Unit)を廃止する決定を擁護せざるを得なくなった。
スペインは水曜日,救助活動を支援するため1,000人以上の兵士を派遣したが,多くの隊員は冠水した道路や通信・送電線のダウンにより町から孤立したままとなっている。
欧州連合(EU)のウルズラ・フォン・デア・ライエン事務総長は,スペインの救助隊の調整を支援するため,コペルニクス衛星システムを稼働させたと述べた。他の欧州近隣諸国も援軍を派遣すると申し出ている。
スペインのマルガリータ・ロブレス国防相は水曜日,この地域の洪水は「前例のない現象」だと発言していた。
洪水には多くの要因が関係しているが,気候変動による大気の温暖化により,異常な降雨の可能性が高まっている。
気象学者らは,この大雨の主な原因は「ゴタ・フリア(gota fria)」である可能性が高いと特定した。これは,スペインを秋から冬にかけて襲う自然現象で,地中海の暖かい海水に冷たい空気が降り注ぐ。
しかし,地球の気温上昇により雲がより多くの雨を運んだと科学者らはBBCに語った。
「化石燃料による気温上昇がわずか1度でも進むと,大気はより多くの水分を保持できるようになり,激しい降雨につながる」と,温暖化がこうした現象にどのような役割を果たしているか解明しようとしている国際的な科学者グループを率いるインペリアル・カレッジ・ロンドンのフリーデリケ・オットー博士(Dr Friederike Otto)は述べた。
「間違いなく,こうした爆発的な豪雨(explosive downpours)は気候変動によって激化した(intensified)。」
世界は産業革命が始まって以来すでに約1.1℃ 温暖化しており,世界中の政府が排出量を大幅に削減しない限り,気温は上昇し続けるだろう。
(転載了)
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8時間で 平年の1年分の降水量には驚きました,日本ではせいぜい 2~3ヶ月分?
世界各地の洪水の多さは明らかに気候変動(温暖化)の影響でしょう。
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