大統領選挙前の米独,各国民のアンケート結果
米国,ドイツの国民はそれぞれをどう見ているのか,又,世界情勢に対する見方の違いは-
米国の大統領選挙前に両国で実施された調査結果が ‘Pew Research Center’,Nov.11,2024付け」
“Before U.S. election, most Americans and Germans had a positive view of relations between their countries”
「米国の選挙前,ほとんどのアメリカ人とドイツ人は両国の関係について肯定的な見方をしていた」
のタイトルで報告されています。
下記,拙訳・転載します。
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ピュー研究所とケルバー財団(Körber-Stiftung)が両国で実施した調査によると,最近の米国大統領選挙前,米国人とドイツ人は両国の関係を概ね良好と認識していた。しかし,二国間パートナーシップ,世界各地の紛争,中国による軍事的脅威などの問題に関しては,意見に若干の相違があった。
同センターとケルバー財団による共同調査は,9月に実施された。米国大統領選挙の前だが,ドイツのブランデンブルク,ザクセン,テューリンゲンの各州で選挙が行われ,極右政党への支持が高まっていた。ケルバー財団は,米国選挙後にドイツで別途フォロー・アップ調査を実施した。
9月の調査に基づく,米独関係に関するいくつかの重要な調査結果は以下のとおり。11月5日の米国選挙を受けて態度が変わった可能性があることに留意する必要がある。
U.S.-Germany bilateral relations/米独二国間関係
ドイツ人の約4人に3人(74%)は,両国の関係は良好であると考えている。これは,ドイツ人回答者の3分の2が関係はやや良好であると回答したことが主に影響している。
ジョー・バイデン大統領の選出後,2021年以降,ほとんどのドイツ人は両国の関係について肯定的な見方をしている。しかし,一部のドイツ人は両国の関係をより否定的に見ている:
・旧東ドイツに住む人々の 35%が米国との関係が悪いと回答したのに対し,旧西ドイツに住む人々では 19%だった。
・極右政党「ドイツのための選択肢(AfD:Alternative for Germany party)」を支持するドイツ人の 44%が米国とドイツの関係が悪いと回答し,そのうち 13%が非常に悪いと回答した。
米国人は米独関係についてより楽観的だ。84%が関係は良好だと答え,23%が非常に良好だと答えている。2017年に初めてこの質問を行って以来,関係に対する肯定的な見方は着実に高まっている。
Top foreign policy partners/主要な外交政策パートナー
米国人は引き続き,英国を外交政策における最も重要なパートナーと見なす傾向が最も強い。これは,2017年に初めてこの質問を行ったときから変わっていない。
自由回答の質問では 20%が英国を挙げたが,他のいくつかの国も挙げられた。たとえば,米国人の 10人に1人が,現在,イスラエルが米国の最も重要な外交政策パートナーであると答えている。これは昨年から 6ポイント増加している
共和党員および共和党寄りの無党派層は、民主党員および民主党寄りの無党派層よりも、イスラエルをアメリカの最大の外交政策パートナーとして挙げる傾向がはるかに高い(21%対4%)。
さらに 7%の米国人が,中国を外交政策における米国の最大のパートナーとして挙げた。
ドイツでは,47%が米国を最も重要な外交政策パートナーとみなしている。逆に,ドイツを米国の最も重要なパートナーとして挙げたアメリカ人はわずか 4%だった。
ドイツ人の約4分の1(27%)がフランスを挙げ,2番目に人気の選択肢となった。
Partnerships on common issues/共通の問題におけるパートナーシップ
米国人とドイツ人は,お互いを共通の目標を持つパートナーとみなしている。例えば,米国人とドイツ人の約3分の2は,相手国を自由貿易を推進するパートナーとみなしている。
しかし,注目すべき例外が1つある:それは環境保護である。
我々が尋ねた 5つの目標のうち,ドイツ人が米国を環境保護のパートナーとみなす可能性が最も低いのは,米国である。この目標に関して米国はパートナーであると答えた人は約4分の1 (26%) で,他の目標については約半数以上がパートナーと答えている。また,ドイツ人の 71% は,米国は環境保護のパートナーではないと答えている。
ドイツ人が米国をパートナーとみなす可能性が最も高いのは,ウクライナ戦争への対処に関してで,この問題に関して 7人に 1人がパートナーシップを認めている。
アメリカ人の過半数は、イスラエルとハマス間の戦争への対処を除くすべての目標においてドイツをパートナーとみなしており、この分野では46%がドイツをパートナーと回答している。この問題については党派による違いがあり、民主党員の 56%と共和党員の 40%がドイツを戦争への対処におけるパートナーとみなしている。
中国への対処という目標についても党派による意見の相違がある。民主党員の約3分の2 (66%) がドイツをこの点におけるパートナーとみなしているのに対し、共和党員は半数である。
ドイツでは,我々が尋ねた目標のいくつかについて,同様の意見の分かれるところがある。
ほぼすべての問題において,AfD支持者の大多数は米国はパートナーではないと答えている。例外は自由貿易で,意見が分かれている:AfD支持者の 44%は米国をパートナーと見なし,48%は反対である。
イスラエルとハマスの戦争への対処に関しては,西ドイツ人の59%が米国はパートナーであると答えているが,東ドイツ人では約3分の1 (34%) しか同意していない。
Perceptions of global threats/世界的な脅威に対する認識
米国人はドイツ人よりも中国,ロシア,イランを自国に対する軍事的脅威とみなす傾向がはるかに強い:
・中国: 米国人の 64% が中国は大きな軍事的脅威であると回答しているのに対し,ドイツ人では 10% しか回答していない。
・ロシア: 米国人はドイツ人よりもロシアを軍事的脅威とみなす傾向が 20ポイント高い (59% 対 39%)。これは,ドイツがロシア・ウクライナ紛争に比較的近い(proximity)にもかかわらずである。
・イラン: イランを軍事的脅威とみなす米国人の割合はドイツ人のほぼ 3倍である (42% 対 15%)。
一方,これらの国は軍事的脅威ではないと答えるドイツ人は米国人よりも多い。
米国人の間での違いを見ると,これらの国すべてを大きな軍事的脅威とみなす傾向は,若者よりも高齢者のほうがはるかに高い。学士号以上の学歴を持つ米国人は,学歴の低い米国人よりもこの傾向が強い。
党派別に見ると,共和党員および共和党寄りの人は,民主党員および民主党寄りの人よりも,中国とイランを大きな軍事的脅威とみなす傾向が高い。しかし,両党の支持者はロシアについては同様の見解を持っている。
昨年以来,中国とロシアを大きな軍事的脅威とみなす米国人は減少している。ドイツ人の感情はほとんど変わっていない。
Views of China/中国への見解
ドイツ人は経済的な観点から中国に対する懸念が高まっており,その懸念は過去1年間で特に高まっている。現在,ドイツ人の 56%が中国は自国にとって大きな経済的脅威であると述べている。2023年には 49% だった。
米国人の 3分の2も引き続き中国を大きな経済的脅威と見ている。これは,中国が大きな軍事的脅威であると言う人の割合と似ている。
中国を軍事的脅威とみなすのと同様に,年配の米国人は若い米国人よりも中国が大きな経済的脅威であると答える傾向が強い。共和党員や高所得の米国人は特にそう答える傾向がある。
一方,ドイツ人と米国人は,世界における中国の影響力の拡大は良いことよりも悪いことだと同意している。米国人の3分の2とドイツ人の 61%がそう答えている。
Views of the Russia-Ukraine war/ロシア・ウクライナ戦争に対する見解
米国とドイツの人々は、ロシアとウクライナの戦争について意見が分かれている。両国ともウクライナは戦い続けるべきだと答えた人の割合はほぼ同じだが、代替案については意見が分かれている。
ドイツでは:
・47%がロシアから失った領土をすべて奪還するまでウクライナは戦い続けるべきだと答えた
・43%がウクライナは戦争を終わらせるために領土を譲るべきだと答えた
・6%はわからないと答えた。
しかし、ウクライナの戦闘継続に対する支持については、ドイツ人の間で政党によって差がある。AfD支持者のうちウクライナの戦闘継続を望むのはわずか 21%であるのに対し、中道左派の社会民主党(SPD:Social Democratic Party)支持者では 57%、中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)支持者では 51%である。
米国では:
・44% がウクライナは戦い続けるべきだと回答
・14% は戦争を終わらせるために領土を譲るべきと回答
・39% がわからないと回答
ウクライナの戦闘継続を支持する可能性は共和党よりも民主党のほうが高いが、共和党は確信が持てない可能性も高い。
Changes in influence of the European Union/欧州連合の影響力の変化
ドイツ人は,欧州連合の世界的な影響力について,米国人よりもずっと悲観的である。米国では,49%が近年のEUの影響力はほぼ横ばいだと答えている。さらに 23%は EUの影響力は弱まっていると答え,20%は EUの影響力は強くなっていると答えている。
しかし,ドイツでは,EUは弱まっている(44%)と,ほぼ変わらない(42%)という回答に分かれている。EUの影響力は強くなっていると答えたのはわずか12%だ。
米国人の間でも党派による違いがある。民主党員は共和党員よりも EUの影響力は拡大した,あるいは変わらないと答える傾向が高く,一方共和党員は EUの影響力は弱まったと答える傾向が強い。
(転載了)
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トランプが大統領になれば ドイツ人の両国の関係に対する見方は 当然 変化するでしょう。
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